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「にぎわい」の源泉を求めて
かまにし 2005年10月 2日
さいたま市民@西浦和様、コメントありがとうございました。既にコメントをいただいてからかなりの時間が経過してしまいましたが、さいたま市民様には重要な問題提起をしていただいたと考えておりますので、今さらながらレスをつけたいと思います。
サブカルチャー・カウンターカルチャーを都市計画、「街づくり」にあらかじめ取り入れるという発想はしないほうがいいかと思います。文化論をぶつつもりはないのですが、「サブ」とか、「カウンター」とかという言葉の意味を考えてみるとわかります。
確かに私は上記の点について、さいたま市民様とは正反対の立場をとっています。今回はたまたまサブカルチャー・カウンターカルチャーが題材だったので抵抗があったのかもしれませんが、私はこれからの時代はサブカルチャーも含めた経済活動・産業活動を踏まえてこそ、実効性のある都市計画・街づくりが可能だろうと考えます。
最近マスコミを賑わせているように、日本は早ければ今年から人口減少社会に突入すると言われています。しかしそれは国全体で見た場合の話で、既に一部の県ではバブル崩壊直後から人口が減少し続けています。その主な原因は、産業構造の転換によって地方の雇用が減少し、相対的に雇用機会の多い大都市圏に人口が流入しているためです。人口が大都市に流出すれば商圏人口も減るわけですから、商業の売り上げも落ち込みます。実際、地方の中心市街地の「シャッター通り化」が深刻になってきたのもバブル崩壊後であり、これらの現実を受けて「まちづくり3法」が作られたのも90年代後半です。
逆に言えば、地方の活性化を図るためには「雇用の場をどのように確保するのか」が最も重要なポイントと言えます。そこで考えられる方向性は大きく分けて3つあると思います。
1.既存産業の誘致 :製造業の工場などの立地促進を図る
2.新規産業の創出 :これまでにない新しいビジネスを興す
3.観光の活性化 :地域資源を活かして他地域からの観光客を増やす
1の「既存産業の誘致」は、全国各地で70年代に盛んに行なわれたわけですが、逆にバブル崩壊後には製造業の海外移転などで大きな痛手を被る原因にもなりました。最近では「製造業の国内回帰」が報じられていますが、それでもおそらくバブル期の水準まで回復することはないだろうと思われます。
以上の点を考えると、残された道は2の「新規産業の創出」か3の「観光の活性化」しかわけですが、どちらも成功の鍵を握るのは、地域に根ざした人的・物的資源にほかならないわけです。すなわち、自治体は地域活性化のために「いかに人的/物的資源を作り出し、それを雇用の増加につなげていくか」を考えていかなければならないのだと思います。少なくともこれまでのように、道路の建設や工場の誘致だけを考えればいい時代は終わったのではないでしょうか。
一方で、大都市圏の人的資源は非常に豊富です。それは単に「学力が高い」人材が多いという意味にとどまらず、文化や芸術を含めた様々な分野で優れた人材が集まっているという意味です。そういった優れた人材の多様な活動を通じて新たな資源を生み出し、それが世界の人々を惹きつけ、日本の国際的な地域を高めることもあります。
実際にさいたま市民@西浦和様が例に挙げられた秋葉原では、電気街のITやコンテンツ産業の集積を活かして、企業や東京大学・筑波大学などが参加する産学官連携の拠点づくりの再開発が進められており、具体的には秋葉原の来街者をターゲットにした新製品の実証実験などが検討されています。
逆に、日本人が他の国の文化に魅了されることもあると思います。その典型例が「韓流ブーム」であり、実際に多くの日本人が韓国のロケ地とともに首都ソウルを訪れています。背景は複数あると考えられますが、その一つとして日本では撮影の難しい市街地でのロケも自治体が警察をはじめとする関係機関と調整し、全面的にバックアップをする体制を整えていることが挙げられます。こうした動きを見習って、最近では全国各地で自治体や商工会議所が映画・ドラマのロケをバックアップする「フィルムコミッション」の設立が盛んになっています。
確かに個人の自由な(サブカルチャーを含めた)活動に対して、行政が必要以上に関与することには議論があると思います。ただ、行政もそういった個人の自由な活動の「場」や「情報」を提供したり、第三者として「コーディネート」をすることはあっても良いのではないでしょうか。
下北沢の件について言えば、防災面や物流面から見れば、やはり道路整備は必要だと思います。しかし最近になって、全国各地で街の「にぎわい」をどういう形で創出する取り組みが行なわれている中、下北沢はもともと持っている「にぎわい」を「道路整備」の中でどう折り合いをつけるのか、そこに私は強い関心を抱いているのです。
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