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山陽電車混乱記

 

KAZ  2004年 9月 5日

 

■序

 通勤に使っている山陽電鉄ですが、最近列車遅延や災害抑止などが連続して発生し、その際に感じた事などを少し。

 

 

【車両故障による遅延・8/25】

 下り普通列車が浜の宮駅付近にて走行不能となったようで、高砂駅の副本線に推進編成と共に留置されていました。故障車が本線を支障した時間も長かったようで、さらに故障編成が副本線を塞いだため下り列車の整理ができなくなったのか、列車順序も大幅に狂っていました。その影響でしょうか、折り返しの上り列車も遅延・運休が発生していました。

 私の乗車する駅は近年の省力化で無人化されており、遅延している旨の掲示物もなく一斉放送しか告知手段がないため、入場した後に列車遅延を知った人も多かったようです(私もそのひとりです)。一斉放送は「下り線で車両故障が発生したのでダイヤが大幅に乱れている」という内容で、どの程度の遅延か、また運休列車の有無などは不明。本来なら来るはずの上りS特急がやって来ません。

 ようやく現われたのは 4連の普通列車で、高砂駅では副本線に入り「直通特急退避」と車掌が案内するも、本線に現われたのは 3連の東須磨行き普通列車。あれれ?と思っているうちに副本線の 4連が「S特急」に化け、「東二見まで先着」とのアナウンス。そのS特急も東二見到着時に再度「直特退避」のアナウンスがありましたが結局また先発。藤江・明石でも退避せず、神戸へ向かって走り去りました。東二見では放送を信じてかなりの利用者が降車して直特を待っていたのですが……。

 

 

【台風16号体験記・8/30】

 ○列車にて

 夕刻に近畿西部を掠めるはずの台風が気になり、色々と情報を集めていましたが、友人からの「国道の防潮堤閉鎖を検討・鉄道橋梁もきわどい」というメール、更に某掲示板の「網干線速度制限」の投稿を見て危険を感じ、慌てて阪神梅田駅 18:48発の姫路行直通特急に乗車しました。

 途中高速神戸駅で「東二見行きに変更」、更に板宿駅出発時に「全線で80km/h制限・塩屋〜垂水間は45km/h制限」との案内が。なるほど塩屋駅を出て標高が上がると急に風がきつくなり、車体が大きく揺さぶられます。その後も速度制限を受けながら何とか20時過ぎに東二見駅まで辿り着きましたが「加古川橋梁で風速25m超え・東二見〜高砂間運転中止」という無情の放送が流れます。

 暫くすると電車も車庫取り込みとなり乗客は暴風吹き荒れるホームへ。中にはタクシー乗り場に向かう人もいましたが、道路沿いは飛来物も多く危険そうだったので私は暫くコンコースで待機しましたが、猛烈な風と共にガラス片等も舞い込みます。そんな中で停電まで発生し、すぐ復旧したものの不安が増します。21時過ぎに「普通車のみ運転再開」との放送があり、列車も据え付けられましたが(最軽量級のアルミ車だったので少々不安でしたが)、再度風速規制とのことでまたホームへ出され、今度は「バスの用意ができた」と駅西側のバス乗り場に誘導されました。

 

 ○代行バス・その後

 わざわざ垂水から回送してきたのでしょうか、バス乗り場で待っていたのは黄色い山陽電鉄バス。そう言えば以前の事故振替でもそうでしたし、神姫バスとは振替輸送契約とかしていないんでしょうか。満員になると鉄道部門の係員が乗り「規定で駅に近いところでしか乗り降りできませんのでご了承を」と案内して 21:30頃発車。

 順番に各駅を回っていきますが、旧国道 250号線(通称浜国道)と駅とは微妙な距離があり、おまけに浜の宮駅には大型車が入るアプローチ道路がなく、浜国道にバスを停めたまま係員が乗客の有無を徒歩で確認に行き、ここだけでも約20分のロス。どんどん所要時間が延びていきます。

 尾上の松駅を過ぎれば問題の加古川渡河部ですが、様子を確かめてから慎重に渡り始めるも猛烈な海風にあおられ車体が傾いたまま。乗車口の折り戸が風に押されて開きそうになるのを係員が必死で押えていました。川から巻き上げられた水しぶきが車体を叩き窓からどんどん侵入してきます。何とか渡りきり、高砂旧市街を抜けるとようやく高砂駅、22:30頃の到着でした。

 駅構内を見ると上下副本線にパンタを降ろした編成があり「まさか全線抑止?」と思いながら駅本屋に向かうと不安は的中。代行バスも抑止状況の見極めか、暫くは運転しない様子。残り 3kmとなったところでの足止めもくやしいのでタクシーをつかまえて帰りました。運転手に話を聞くと「ここ最近で一番酷い台風」「加古川駅は下手に電車が動いてるのでタクシー待ちが百人以上」ということで、JRに浮気しなかったのが逆に功をなした格好でしょうか。

 ということで23時過ぎになんとか自宅に到着しました(JRはその後須磨駅付近で高波をモロに被った車両が絶縁不良を起こして大混乱になったようです)。

 

 ○無人駅の異常時対応

 上記各事件で気になったのが、無人化した駅での異常時対応。列車遅延なら待てば来るのでまだマシですが、台風の場合は「身を守る」という意味でも情報が不足するのは危険です。今回の代行バスでは別府駅以外にはたまたま電車待ち客がいなかったのですが、別府で待っていた人達もバスが出ていることを知っていたのではなく、彼等には運行状況はほとんど提供されていなかった様子。

 また乗客のいない浜の宮駅まで係員が暴風雨の中を歩いて確認に行くことも、二次災害を考えれば避けたいところでしょう。駅員がいれば乗客の有無は電話なり無線なりで確認できたはずで、都市部での無人化を考えるなら何かしら目に付く案内・連絡装置は必須ではないかと思った次第です。山陽では監視カメラとインターホンを連動させた対応は平常時から行っているようですし(運賃精算時の案内など)、今回の台風時に無人駅でどのような対応が取られていたのか気になります。

 

 ○情報提供のあり方

 列車遅延の際、有人駅である明石駅では運転指令の無線などを情報源に、駅員が列車接近状況など最新情報をアナウンスしていましたが、無人駅では一斉放送が数分に一度あるくらいで、遅延の度合いや運休列車など細かな運転状況を知る手段は、乗客自らが問い合わせる形でのインターホンのみ。情報格差が大きいです。阪神の駅にあるような LED式文字案内システムらい付けられないものかと思います。阪神の文字案内システムもさほど密な情報を提供している訳ではありませんが、ないよりはマシというもので、今の山陽の体勢だと聴覚障害者は遅延情報を知る術がありません。

 鉄道電話の回線を使ってADSLを用いた情報システムなど組めないものでしょうか。もしくはバス事業者で見られるような携帯電話を用いた運行情報サービスなどでもいいかと思います。

  

 (左:阪神電鉄の文字情報案内機)     (右:山陽電鉄の無人駅案内システム−−インターホン)

 山陽に限らず大手私鉄でも特定時間帯の駅無人化は行われていますし、また一部の会社で進められている駅業務の外注などが進めば、例え有人駅でも異常時の対応がスムーズに行われるかどうか気になってしまいます。大規模混乱時や災害時という希なケースとはいえ、利用者が情報を必要とする事象の中では「最緊急事項」のことですから、これに応える方策ということも考えないといけないのではないでしょうか。

 

 

【おまけ・台風18号体験記・9/8】

 今年は台風の当たり年のようで、16号に引き続き18号も大きな被害を残していきました。台風当日は早くから列車は運休となっていたようですが、台風一過の翌日朝に「塩害」による車両故障でまた朝ラッシュ時の運用が大きく狂っていました。

 しかし案内体勢は相変わらず、当該線である下り線では列車遅延の案内は放送されていましたが上り列車の一部運休には触れられず、定刻になっても来ない列車に、ホームで待つ利用者も気が気でない様子。運転された列車に遅延はなかったものの、間引き運転となっているのならやはり案内が欲しいです。

 

 ○駅に求められるもの

 そもそも駅とは何なのか。乗降場としての機能ならば最低限の設備としてホームさえあれば良いのですが、都市部の駅に求められる機能は何なのか、色々と考えさせられる事件でした。

 都市部の鉄道は生活の一部として毎日の行動に組み込まれていることも多いでしょうし、そのリズムが乱されるのはやはり不都合が出ます。事業者側と利用者のコミュニケーションがもう少しスムーズに取れる工夫を考えてみる価値はあると思います。生活に根ざした交通機関となるためにも、各社の工夫を望みたいところです。

 

 

 

 

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