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JR・東武相互直通……JR側のメリットは?
Philippe-Alexandre de Rosenbourg 2004年10月18日
既に報道されているとおり、2006(平成18)年春から、JR宇都宮線と東武日光線が直通運転を開始、新宿〜(栗橋〜)東武日光・鬼怒川温泉間に1日4往復の特急列車が走ることになりました。
埼玉新聞
かつては東京〜日光間で激しい競争を繰り広げたJR(国鉄)と東武が相互直通するというのは一面では驚きでもありますが、JRと相鉄線との直通も先日発表されており、今後鉄道事業者間のシームレス化が進んでいくという時代の流れの一つの表れなのかとも感じておりますし、今後もこういった複数事業者間でのシームレス化が進んでいくのだろうと予想しているところでもあります。
さて、この相互直通が日光・鬼怒川温泉の活性化に有益であることは間違い無いでしょう。東京西部・神奈川県の住民が日光・鬼怒川方面に行くとすると、これまでは自動車ならば都内の渋滞の中を通過しなければならず、また鉄道で行こうにも浅草・北千住に行くのは不便だったわけですが、今後は新宿から特急列車を使って日光・鬼怒川方面に足を運ぶことも予想され、それは観光需要の落ち込みが続く日光、そして足利銀行の破綻で苦しい鬼怒川温泉、双方にとって大いに期待できることでしょう。また栃木市・鹿沼市にとっても、新宿直通の特急が走るメリットは大きいと思われます。ビジネスで利用する乗客にとって、浅草と新宿では全く利便性が異なるはずです。
また東武鉄道にとっても、新宿から特急列車を走らせられることには期待が大きいと思われます。上記のとおり、また根津嘉澄・東武鉄道社長も言うとおり、これまで日光方面には足を運ばなかった新規の客、それも南栗橋以北の閑散線区を有料特急で利用してくれる客を獲得できますから、当然大きな期待を寄せているでしょう。
では、一方の当事者たるJR東日本にはどのようなメリットがあるのでしょうか。無論、メリットは幾つか挙げられます。
1.宇都宮線〜日光線ルートに比べて距離・所要時間が短くなる
2.また栃木・新鹿沼に停車することで、新幹線・宇都宮線の沿線以外の客に、JR線の栗橋以南を利用してもらえる
3.自動車を利用していた客に鉄道を利用してもらえれば、新規顧客を開拓したことになる
しかしながら、これらのメリットのうち、3についてはこれまでも臨時列車を新宿〜日光間に走らせていましたし、1についても決定的とは思えません。東武直通に比べて距離・時間が掛かるといっても観光輸送である以上一分一秒を気にする乗客は多くなかったはず。2については間違いの無いところでしょうが、これだけでは東武鉄道と直通する理由としては弱そうな気が致します。
この「JR〜東武直通」という事業は、栃木県にとって大きなメリットがあること、また東武鉄道にとっても経営面でかなりのプラスが予想されること、さらに設備面での投資が栗橋駅構内の接続線設置のみで足りることなど、費用対効果の面からも極めて好ましいものであると思われます。ただ、東武鉄道側のメリットが一目瞭然であるのに対し、JR側のメリットについては今一つピンと来ません。JRにとってはこの東武日光線直通にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
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