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競争は利便性向上に寄与するのか?

 

TAKA  2004年10月11日

 

 

 今日は議論の種としてに一つ書き込みをします。お題は(ちょっと大袈裟ですが)「競争は利便性向上に寄与するのか?」です。具体的には“湘南新宿ライン”に伴う競争と各社の利便性向上の検討です。拙文ですがどうぞ御笑覧下さい。

 

□10月16日JR東日本ダイヤ改正による変化

 さて今度の16日の土曜日はJR東日本のダイヤ改正で“湘南新宿ライン”が大増発されます。
    〜JR東日本ダイヤ改正の概要〜 JR東日本HPより

 今回の増発は、「池袋駅立体交差工事完成」と「新宿駅での埼京線一部配線改良」で設備上の制約が無くなったことで可能になった増発ですが、グリーン車付きの車両が、新宿〜大船間で毎時4本・東海道線方面へ毎時2本(内特別快速1本)・横須賀線方面へ毎時2本で運行される事は、湘南地域から新宿・池袋への利便性がかなり向上すると思います。又特別快速の新宿〜小田原71分は、ロマンスカーより遅いものの、現行急行より早く、小田原から東京都心への選択肢が広がったと言う意味ではプラスです。

 

□“湘南新宿ライン”登場以来の変化

 JR東日本の“湘南新宿ライン”は神奈川地域と東京都心西部をJR路線で直結させた「既存設備を有効利用した新路線」ですが、湘南新宿ライン完成により新たに渋谷〜横浜間で東急東横線と新宿〜藤沢間で小田急小田原線&江ノ島線と新宿〜小田原間で小田急小田原線と直接的競合関係が発生しています。

 間接的には、神奈川県の民鉄各線全体に取り「池袋・新宿・渋谷へ向かう乗客」に関して、全般的に“湘南新宿ライン”との間で競合関係が発生しています。

 JRは今までの新宿方面への乗換の必要性を“湘南新宿ライン”新設で解消し大きく利便性を向上しましたが、それに対応して競合各社でも“湘南新宿ライン”登場と前後して、東急は「東横特急」投入で速達化を図り、小田急は「湘南急行」投入でやはり速達化を図っています。

 

□小田急も12月11日ダイヤ改正へ

 今回の“湘南新宿ライン”増発で、JRは神奈川県地域対渋谷・新宿・池袋への利便性向上を図りましたが、今回もJRに合せたように小田急のダイヤ改正が発表されました。
    〜小田急12月11日ダイヤ改正の概要〜 小田急HPより

 今回の小田急ダイヤ改正は「梅が丘〜喜多見間複々線完成」と「はるひ野新駅開業」が直接のダイヤ改正の理由ですが、その中身を見てある部分に正直言って私も驚きました。

 なんと「湘南急行の2本共の快速急行格上げ」です。小田急では複々線完成で今までの向ヶ丘遊園でのサーバー区間とインター区間の区分けを近・中・遠の区分けに分割した上、本線以外の区間を強化するダイヤを組んでくるとまでは想像出来ましたが、遠距離対応種別を2本も江ノ島線に振り向けてくるとは正直言って思いませんでした(単に前のダイヤ改正の「多摩急行」「湘南急行」投入の流れを加速させたとも捉えられますが)。

 これは如何見ても”湘南新宿ライン”対応を視野に入れているとしか考えられません。小田原の場合「ロマンスカーも運賃的に『湘南新宿ラインへの戦力』になる」と言う事から、無料速達列車の快速急行の振り分けを“藤沢2:小田原1”にした事は明らかです。

 今回のダイヤ改正が、小田急に取り「あと10年使う最後の暫定ダイヤ」である事は間違いありません。本当の意味で「暫定ダイヤ」が解消されるのは、東北沢〜梅が丘間複々線化工事と、和泉多摩川〜向ヶ丘遊園間3線化工事が両方とも竣工する10年後です。

 その様に未だ制約が存在する中で、小田急がこれだけ積極的なダイヤ改正に打って出たのは何故でしょうか? やはり“競合路線の存在”というのは大きいと思います。

 小田急としては“2500億円掛けた複々線を最大限有効活用”したいのは当然です。それには“競合路線への逸走を防ぎ小田急線で都心まで誘導する”と言う事は今後巨額の減価償却費を負担しなければならない小田急に取り経営的にも重要です。

 又その為の重点攻略路線は“京王と競合の多摩線”と“東急・相鉄・JRのフィーダー路線としての役割が強くなってきている江ノ島線”であり、その路線の乗客を特に昼間に(朝だと混雑が激化する。通勤客を招致したいのは暫定ダイヤ解消時)小田原線を利用させ、都心3駅(新宿・代々木上原・下北沢)まで招致出来るようなダイヤを組み、利便性を向上させることは沿線利用客に対してメリットがあり、又小田急の経営にとっても収入の増と言う面でメリットのある事です。

 

□“湘南新宿ライン”登場と利便性向上がもたらしたもの

 今回JRと小田急が利便向上に対し“積極的なダイヤ改正”を行ってきました。前にも述べたように、神奈川県内〜東京西部副都心間の鉄道交通は、“湘南新宿ライン”開業以来「東横特急」「湘南急行」の登場と、今回の“湘南新宿ライン増発”“快速急行登場”と言う様に正しく競い合うように利便性が向上しています。

 利便性の向上には“インフラの改善”が不可欠であり、今回のJR・小田急のダイヤ改正もインフラ改善完成を伴っての改正です。ですから特に小田急の場合「他の目的の為にインフラ改善を競争に対する利便性向上に活用」と言う意味が強いです。だからこそ渋谷〜横浜間でインフラ改善を未だ実施中の東急はJRに対抗しての大規模なダイヤ改正を今回は実施できなかったと言えます。だから今回のJR改正への対応策は、宣伝面に限られる事になるのでしょう。
    〜東横特急の集中的なPRを開始〜 東急HPより
   (但し東急のダイヤはそれは又「完成したダイヤ」で現行でも十分利便性は高いと言えますが)

 しかし上記一連の既存民鉄のダイヤ改善により利便性向上は“湘南新宿ライン”が引き金を引いたと言えます。湘南新宿ライン開業後の神奈川県内〜東京西部副都心間の利便性向上は正しく相当な物があるといえます(特に横浜・藤沢〜東京西部副都心間)。

 これは正しく“競争が正の方向へ作用した”結果であると言えます。そういう意味ではこの地域においては「競争は利便性向上に寄与するのか?」と言う本題に関しては“YES”と言う結論になると思います。現在まではこの地域では“競争の正のスパイラル”が作用し、それが利用客に対しては“利便性の向上”という形で恩恵が帰ってきているとも言えます。

 しかし例えば小田急であれば、今回のダイヤ改正で毎時1本の新宿直通急行が復活したものの、「湘南急行」登場時に通過されてしまった南林間・長後では、「湘南急行」登場前の新宿直通急行毎時2本の時代に比べ、“競争の弊害”で現在でも利便性が低下しています。

 限られたインフラ等の制約や費用対効果の問題から考えると、全ての利便性向上は極めて難しいです。しかし、その様な“競争の負の側面”についても注目しつつ、総合的に利便性が向上する事を歓迎しながら見つめて行く事が必要ではないかと考えます。

 

 

 

 

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