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LRTやトランジットモールは「ツール」に過ぎないのでは?

 

TAKA  2005年 5月15日

 

 

 「LRTにしてもトランジットモール」にしても「町を活性化させる為のツールに過ぎない」ということだと思います。一番肝心なのは「街に来てもらい買ってもらえるだけの魅力がないと意味がない」ということでしょう。その街の魅力をより高めるための道具として「LRTなりトランジットモール」があるのだと思います。

 

☆「商店街=百貨店」「LRT=エレベーター」「トランジットモール=通りやすい通路」ということでは?

 敢えて単純化してわかりやすく考えて見ました。商店街はわかりやすくいえば「平面に広がった百貨店」ということであると思います。違う点は「商店街は経営母体が統一されていない」ということです。

 百貨店は一つの経営母体(及びそれが呼んだテナント)が「百貨」と言う名前が象徴するように百にも及ぶ多彩な商品を集めますが、商店街は個々の店のバリエーションが商品を多彩にして買い物の魅力を高めているということであり、形態は違えども根本は変わらないと感じます。

 そう考えれば、立体的な百貨店では移動手段はエレベーター・エスカレーターになりますが、平面の市街地商店街ではそれに変わるものがLRTなりコミュニティバスであり、百貨店でいう「フロアを変わる大移動」をエレベーター・エスカレーターで行う代わりに、商店街で端から端に移動する場合LRTなりコミュニティバス等の簡単に使える交通手段を使って移動するということであると思います。

 百貨店では「通路を広くとることが重要」といわれます。なぜなら通路が広く通りやすければお客さんがフロアを回遊して色々なところを見て買い物をしてくれるからです。その百貨店の通路に該当するものが商店街では「広くて通りやすい道路」であり、そこから道路で一番場所を占有する自動車を上手く減らして通りやすくする方策がトランジットモールであるといえます。

 但しLRTの場合は路線網が大きくなれば、郊外等から客を運んできてくれるので、集客力と言う店で考えれば商店街の中では「水平エレベーター」という役割に、集客力的な意味での「ターミナル百貨店の鉄道路線」という役割も加わるといえます。

 

☆百貨店でも商店街でも重要な事は「商品の魅力」

 さて「繁盛する百貨店」にはなにが要因としてあるのでしょうか? それは「集客力」等の要因があることも確かですが、最後は「商品力」であることは間違いありません。

 今業績が好調な百貨店を見ると「名古屋高島屋」「京都伊勢丹」「札幌大丸」のように「新しく出来たターミナル百貨店」で「集客力」があったり「新しい建物で構造上利用しやすい」等の要因がある店もありますが、「新宿高島屋」の様に上記例示の百貨店と同じような魅力があっても業績不振の店もあります。その中でブランド力等総合力が劣っている百貨店でも「商品力」「企画力」で好調な百貨店があります。

 それは有名な「京王百貨店」です。「京王百貨店」は確かにターミナル百貨店で集客力はありますが、隣接のターミナル百貨店に比べ業績は「頭二つ」飛び出しています。その要因は「中高年層に訴えかける商品構成」にあるのは有名な話です。つまり「百貨店のインフラの劣勢は商品力で挽回できる」ということを示しているといえます。

 商店街にも同じことがいえると思います。いくら自治体等がアーケード街や駐車場やらインフラを整備しても栄えない商店街は多数あります。それは整備するインフラがLRTやトランジットモールになっても同じことがいえるでしょう。少なくともLRT・トランジットモール=商店街繁栄のツールとはいえません。

 しかし「商品力・企画力」が街を活性化させる例は色々あると思います。一番端的な例はとも様が 「交通とまちづくりのレシピ集 レポート6」 で挙げられた「和泉明店街」だと思います。この商店街はそれこそLRT・トランジットモールを導入する様な大きな町ではありません。この商店街の環境は普通自動車が通るのも困難なほど狭く直角に曲がりくねった道が続き、水道の用水路の関係か(新宿から水道道路を下り環七にぶつかる交差点で和泉明店街につながる道を見ると道の両脇だけ木造建物が残っている。この道を進むと水道局の和泉給水所が有る)高層の建物も立たない環境です。

 私の場合この商店街が甲州街道上り→環七外回りへ通る時の大原交差点をバイパスする抜け道になり週一回くらいで通過していますが、「ボロッチイ商店街」という商店街のイメージはありましたが、こんなに繁盛していたとは知りませんでした。個人的には繁盛すると抜け道として通りづらくなるので困りますが……。時間制で車輌通行禁止になるのも個人的には困る……

 そのような「大型スーパーがある(商店街〜駅の間に京王ストアがある)」「車の通るのも厳しい細い道」「ぼろい建物が多い商店街」という衰退する商店街の代表格みたいな商店街が何故繁栄するか? これはとも様が指摘しているように「商品力・企画力」であると思います。この様な事例は非常に重要であると思います。

 

☆「LRT・トランジットモール」も「回遊性の向上」も手段にすぎない

 かまにし様も言われていますが、「LRTを導入する」「トランジットモールを導入する」した結果「回遊性が向上」しても結局「選択肢自体を魅力的にするためのまちづくり」をしないと商店街も街も活性化しないということに同意します。

 LRT導入・トランジットモール導入・回遊性向上はあくまで最終的結果ではありません。人が来てくれて物を買ってくれることで、商業的に成功する事が街の活性化であると思います。

 その為には何が必要か? 我々が一消費者になって考えてみれば分かります。例えば「LRTが大好きな人」でも、LRTが走っているが普通の商店街と和泉明店街のようなインフラが整っていなくても商品力で魅力の有る商店街(特に自分の欲しいものがある商店街)のどちらに行くでしょうか? やはり商品力のある商店街です。

 商品力という言葉にはニーズに合う等「お客様に応える」という意味も含まれる総合的なものですが、やはり根幹にその様な商品力がないと「物を買いに行く」ことが目的である以上、お客様はついてこないと思います。その優れた商品力があれば、そこにLRTやトランジットモール等のインフラがあればより映え魅力的になるということであると思います。

 あくまでも「街の活性化」が目的であり、そのための手段が「商店街の商品力の向上」が王道であり、サブの手段として「LRT・トランジットモール導入」等のインフラ整備が有るということを肝に銘じる必要があると思います。

 

 

 

 

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