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東武北関東ネットワークの今後の方策は?



TAKA  2006年 1月12日





 迷月赤城山様初めましてTAKAと申します。私のコメントへ御返答を書いて頂き有り難う御座います。迷月赤城山様は足利在住との事ですが、私自身は東京在住で、桐生と太田に大学時代の友人が居り、東武の伊勢崎線方面は時々利用しています。先ずは迷月赤城山様に頂いたコメントについて私なりの考えをご返答したいと思います。



・基本的に久喜・南栗橋以北の切捨ては正しい?

 私は大筋では今回のダイヤ改正での東武の「久喜・南栗橋以北切捨て」「近郊輸送強化政策」は正しいと思います。残念ながら既に経営的に見れば東武の北関東ネットワークは大部分が重荷になっている状況です。その為に今までの危機感への現実の対応の第1弾として「久喜・南栗橋系統分割」という方策を取ったと考えます。

 但し前の投稿でも乗降客数を示して述べたように、東武北関東ネットワークを東武社内に残すのなら、「久喜〜館林間」は切り捨てるには勿体無い需要が存在するというだけの話です。その先の戦略として「分社化」を考えていて、今回のダイヤ改正と一連の設備投資が「分社化への基盤つくり」という視点で考えたら、「久喜・南栗橋系統分割」も分社新会社の為にはありかな?ということです。

 今まで中途半端に対東京輸送を行っていて、地域の実態に即していない「国鉄的」輸送を行っていた東武が、分社化で小回りが効くようになるのならば、全体を見れば今回のダイヤ改正は地域のためにもなるのかな?と感じています。但しその分社を東武・地域が一体となって支える事が、非常に重要なことです。それを忘れた時には、それこそ末端路線廃止が始まると言えます。その点では「終わりの始まり」であるといえます。



・東武の「北関東都市間の地域輸送」について

 私は根本的に東武が「北関東都市圏地域輸送」を真面目に考えた事は無いと思います。確かに群馬東部には東武線沿線には館林・太田・桐生・足利・伊勢崎等の都市があり、それらの都市は富士重工等の大企業に支えられ繁栄しています。ですから地域輸送の市場としては面白い存在であり、それらと県都前橋や交通の拠点高崎との輸送も成立しそうに感じます。しかし東武は現実としてそれらに見向きをしない状況です。

 なぜならそれは東武設立以来の歴史的背景だと思います。東武鉄道は明治38年の利根川架橋工事完成と足利市延伸以来一貫して上毛地域と東京間の輸送を主眼に考えてきています。それが目的で設立された会社だから仕方ないともいえますが、私が知る限り「北関東都市圏地域輸送」に本腰を入れたことは過去に無いと思います。ですからその過去が色濃く残っている現体制では「北関東都市圏地域輸送」に力を入れるというのは難しいでしょう。

 もし東武が「北関東都市圏地域輸送」に力を入れる可能性がある状況が発生するとしたら、それは今回のダイヤ改正のコンセプトが究極に進化した体制、つまり「久喜以北分社化」が行われた場合です。もし行われた場合、分社新会社は「東北線久喜へのフィーダー輸送」「『りょうもう』による対東京輸送」しか収益源がなくなります。その時に自社の生存の為に「北関東都市圏地域輸送」に力を入れる可能性は有ると思います。

 問題は「県都前橋や交通の拠点高崎に向けた路線網になっていない」点です。現行東武路線網では伊勢崎でJR両毛線、または赤城で上毛電鉄に乗り換えないと前橋・高崎へ行くことができない点です。この区間でのシームレス輸送は困難と言えます。それに桐生・足利・伊勢崎にはJR両毛線がありますので、太田・館林〜前橋・高崎間の輸送であれば、東武が注力するより高速バスの方が輸送力的にも効率的だと思います。そう考えると、潜在的能力を持っているて公共交通のニーズはそれなりにある地域でも、鉄道の輸送力を充たすほどあるのかというと疑問です。それならばバスがベターだと思います。



・「りょうもう」の将来は?

 迷月赤城山様の言われる「りょうもう」の不満点も理解できます。東武がもう少し商売上手だったら、「りょうもう」ももう少し生かせるでしょう。

 近距離ビジネス特急だから座席が窮屈なのは致し方ないと思います。スピード向上は巨額の設備投資のいらない範囲であれば行うべきでしょう。ただし今直ぐできるかというと難しい問題もあるといえます。今の「りょうもう」の輸送形態が正しいか?もっと工夫する余地があるのでは?という点も東武はじっくり考える必要がると思います。

 「終電車延長」は分かります。私の桐生の友人はこの前も銀座でやった結婚式の二次会を中座して帰りました。なぜなら赤城行き最終「りょうもう」が北千住20時26分だからです。太田や名古屋の友人は 9時の閉会まで居る事が出来るのに、桐生の友人は 1時間も前に中座です。太田の友人はすぐ帰りましたが、名古屋の友人とはその後30分もお茶しました。彼の指定は22時00分の最終「ひかり」だったからです。桐生の場合高崎または小山まで新幹線を使えば名古屋の友人と同じ時間までお茶が出来ました。そのような視点から考えれば、確かに東海地方の名古屋より、関東の太田・(東武を利用しての)桐生が「対東京滞在時間が短い」というのは寂しい話です。そう考えると需要の存在が確認できれば利便性の側面からは、もう 1本「りょうもう」の赤城延長・太田行きの最終 1本増発が出来れば良いと考えます。

 御指摘の「特急回数券」等の企画切符も出来れば欲しいですね。企画切符はやる気になればすぐできるものですから、東武のやる気の無さを示しているともいえます。これは館林・太田・足利市・桐生を対象に始めるべきです。久喜系統分割で直通をなくした以上、特急でそのフォローは必要です。そのフォローが一番簡単にできるのは特急料金です。それに「りょうもう」に乗ってくれれば、北千住・浅草まで乗ってくれる人が増える可能性もあります。それは東武に取り企画切符での減収以上の増収をもたらす可能性があります。ですから、その必要性はまさしく迷月赤城山御指摘の通りであると考えます。



・東武は北関東のニーズをつかんでいるのか?

 この問題ですが、私は「ニーズはつかみきれて居ない」と思います。元々鉄道会社はこの手の「市場調査」「ニーズ把握」等は得意ではありません。本当ならこのような努力をしてダイヤ改正の方策を練るべきでしょうが、やっている会社も多いようですが、東武が北関東地域を対象にそこまでやっているか?といえば多分NOでしょう。

 ニーズを掴んだとしてそれに応じることが出来るか?というと難しいかも知れません。御指摘のように群馬は車社会が進んで居る等の事情があるので、ニーズの絶対量がそれほどないという状況が出てくるかもしれません。しかし御説のように調査等ニーズを掴む努力はするべきですね。



・結論に変えて

 私は迷月赤城山様の「公共交通が地域振興や都市の求心力に対して果たしている役割を考えますと、簡単に鉄道サービスを廃止してしまうことには疑問」と言われている事に関しては、残念ながら諦めています。日本の公共交通を営利企業に依存し、参入退出規制を緩和してしまっている以上、もう誰も押さえつけられません。鉄道会社は「美味しい」と思ったところで勝負するという事が認められてしまっている以上致し方ないでしょう。実際栃木の鬼怒川温泉の路線バスではこの様な事例が発生しています。

 こうなってくると逆に東武の北関東ネットワークは「本社に雁字搦めに縛り付けられている」よりかも「分社化して本社と協力しつつ地域の協力も仰ぎ、地域密着で経営する」方が地域全体にとっては良いのかもしれません。そうすれば「東武群馬分社は地域の補助と出資を受け入れつつ、上毛電鉄と合併して赤城経由で前橋とも接続する」というようなことも選択肢として可能になるかもしれません。

 確かに鉄道サービスを簡単に廃止することには疑問を感じます。しかし今それを阻止する方法は無いので、それならば営利の民間会社だけでなく地域を含めた全体で、生き残る方策を考えなければならないと思います。その生き残り策のスキームが決まった後に、迷月赤城山様が今回言われているような各種有効と思われる方策が生きてくるのではないでしょうか?今回のダイヤ改正は未だ「終わりの始まり」です。地域は今回のシグナルを敏感に感じ取って先回りして方策を打って行く必要があると思います。





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