このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

 

 

その7・雑感的なまとめ

 

 

 すっかり航空機利用のとりこになった感がありますが、そうした人を惹き付けるメリットとともにいろいろ問題が見えてくる事も事実です。

 

●ターミナルのあり方

 ギリギリに着いてすぐ搭乗を、と考えている場合、あまりごちゃごちゃしている空港は使い勝手が悪いです。そう考えた時、伊丹はコンパクトですし、羽田も上下移動はありますが、大きさの割りにスッキリした感じですが、関空はちょっと動線が長いです。羽田のように上や横に商業施設を分離するほうが使い勝手が良いようで、アクセス側から入ってすぐの吹き抜けスペースに商業施設を置き、カウンターからゲートまでの距離を短縮していれば、と思います。ただ、関空のエアロプラザのように明後日の方向を向いた場所に集約してしまうと、これも使いづらいわけで、難しいです。

 セキュリティ通過後の問題ですが、伊丹は東阪シャトルを集約したエリアには売店、コーヒー・軽食のスタンド、新聞・雑誌スタンドがありますが、羽田はあったり無かったりという感じ。関空は到着利用のみですので分かりませんが、降機したゲートの感じでは少なそうです。

 セキュリティ通過に時間がかかるという印象があり、またアクセスが早めに着いた時を考えますと、早めに入ることも多いわけです。この搭乗前の時間が短縮出来ない、ということは、そこを有効活用したくなるわけで、伊丹の設備はそうしたちょっとした時間にはちょうどよいです。

 

●セキュリティ通過

 安全対策上強化せざるを得ないことは理解出来ますが、やはり煩雑です。羽田のチケットを機械でチェックする手順はだいぶ手馴れてきましたが、それでも時間がかかります。

 ただ、乗客によっての要領の良し悪しもあるわけです。そこでどうせチェックは簡略か出来ないのであれば、セキュリティチェックを受ける時の「コツ」を予め周知することで、搭乗前の「儀式」として当たり前のように感じさせることが必要でしょう。

 例えば、例の小さなカゴにはポケットの小物、チケット、ペットボトルを予め取り出して置いときましょう、といってそれが習慣化されれば、ゲートでブザーを鳴らして靴の中までチェックされる、ということも減るわけです。

 

●アクセス

 これが総てという感じです。羽田と伊丹、関空を比較すると、関空は論外、伊丹もいまいちです。利用者数の問題があるのは承知していますが、羽田と比べますと、伊丹、関空のリムジンは、軌道系交通に対してドアtoドアの利便性がセールスポイントのわりに発着地が少ないです。つまり、阪神間の芦屋〜神戸市灘区のように設定自体が無いケースのほか、発着地エリアでの乗降箇所が少なく、ピンポイント輸送になっているように見えます。例えば三宮の場合でも、何箇所か停留所を設けて最後は神戸駅やハーバーランド方面まで回すと言うような面的カバーがあれば、バスのメリットを活かせるのです。

 このあたりは、リムジンの停留所には必ずといっていいほど係員が待機し、チケットの発売やトランクの扱いをしているため、それが確保出来る場所以外に展開出来ないのかもしれませんが、例えばトランク扱いの停留所を限定するといった方策で停留所は増やせないのでしょうか。

 「あいのりタクシー」も楽なんですが、あの空間でギッシリとなると小一時間の東灘、灘区程度なら良いんですが、よく見かける姫路、東播からのはくろタクシーの乗合ワゴンあたりの時間だと相当しんどいでしょう。そのあたりは半夜行で長野県あたりから成田や羽田、セントレアに向かう空港タクシーなんかの評価が気になります。まあその状態で強気に出たら客が付かないからこそのお値打ちに感じる価格設定なんでしょうが。

 

●その先の接続

 最終便が遅れた話で身をもって体験したわけですが、航空機自体がリムジンその他のアクセスがあってはじめて機能するとともに、そのアクセスも末端の利用者の目的地への交通手段とリンクしてはじめて機能します。

 梅田の場合、梅田周辺が目的地というケースはビジネス客くらいで、マルビルやハービスという立地はどうでしょうか。各線との乗り換えはいま一つです。こうした場所の不連続もありますし、ANA975便を利用した時に阪神電車への乗り継ぎがダメダメという体験を話したとおり、次への接続を考えてほしいです。特に尼崎リムジンは関空てこ入れ策として増発されたのに、阪神尼崎からの足を見ると西宮までの急行、次いで三宮行き特急はあってもこの 2列車だけ緩急接続がグチャグチャで前や通過駅に進めないのでは利用価値がありません。

 このあたりはアクセスが充実して始発や最終を考えなくて良い関空への来訪者には見えにくい話ですが、関西をベースにしてますと、夜半過ぎに着くと本数は少ない、場所によってはリムジンは無い、接続は悪いというわけで、これも関空の不人気を大きく後押ししています。

 遅延時の対応にしても、最終便に限り20分待つというのはやらないよりはマシですが、それを過ぎたら足が無くなるわけですし、待ち受けで遅れてもリムジンの終点からの足は保証されないのでは意味がありません。最終接続のリムジンの場合、泉北NT内の各駅前に停まる泉が丘行きはともかく、梅田行きは梅田(新阪急、ハービス)、神戸三宮行きは三宮、和歌山行きはJR和歌山までの直行であり、駅前に住んでもいない限り、利用者には「その先」があることは火を見るより明らかです。

 言い替えれば、航空会社が遅延時に責任を持つ範囲は、リムジンを待たせるだけではないのです。

 ちなみに私が見たひどいケースは、広島空港で雨と霧で遅れが出ていた時に、三原駅行きのリムジンが「定刻」に出てしまったことです。広島駅行きと違い、東京便受けの限られた本数しかないのに、遅れの東京便(15分程度)を待たずに乗客をほとんど乗せずに出てしまうのですから唖然としました。

 

●その他サービス考

 CAに限らず地上職員にも共通するのですが、うそ臭さすら感じてしまうくらいに徹底した笑顔での応対はさすがです。まあ遅延時に笑顔で「すみません」と言うのは「慇懃無礼」を地で演じることになるのですが、「輸送」であると同時に「客商売」であるという基本をきちんと押さえています。プッシュバック時に牽引車で誘導路に押し出した後、作業員が整列して手を振るのも見ていて気持ちが良いものです。

 このあたりは「安全に運んでくれれば良いんだから」「余計なことをさせても……」とやり過ぎだとの批判もあるのですが、常に乗客の目を意識することで、一挙一動を疎かにしない効果もあるわけです。

 CAは非常時要員という側面もあるため人数が多いから出来ると言われればそれまでですが、ドリンクサービス時に弁当を使っている人への配慮や、飲み切った人へそれとなくカップ回収に回ると言うような目配り、また子供連れの乗客への対応など、航空業界の基準としてはお仕着せとか、通り一遍なんでしょうが、鉄道やバスでもちょっと気を配るだけでかなり印象をよく出来る余地はあるのでは、と思わせてくれます。

 

●マイレージなど

 最後にマイレージなどについて。東阪間を特割で往復するくらいでは全然貯まりませんね(笑)。

 ビジネス路線ですからいわゆる「修行僧」らしき人の姿は見ませんでしたが、利用に応じてのいわゆる「上級会員」って、修行をしてまで入りたいものなんですかね。まあマイルの溜り方が早いとか、あれこれ特典があり正味の負担は少ないという説もありますが、優先搭乗を受けたり、空港で専用ラウンジを利用するといったあたりのサービスについては、2〜3分早く搭乗しても離陸は一緒だし(「優先降機」があれば話は別ですが)、無駄なく空港に向かうのであればラウンジでくつろぐ時間は無いわけです。

 そう考えると、実際に利用が多くて「上級会員」になっている層と、「修行僧」の割合ってどのくらいなのか気になります。まあ「修行僧」の方がおカネをより多く航空会社に落としてるのですからとやかく言う筋合いはないんですが。

 

 

 

 

 

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