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プリウスによる道東ドライブ記
Tom 2003年 3月30日
■序
Tomです。先週の連休、バースデー割得を利用し道東に行って方々走ってきました。道路の問題については別の機会に書いておりますので、今回はレンタカーとして使用したプリウスについて少々書いてみようと思います。
プリウスがどのようなクルマか、ということについては既にご存知とは思いますが簡単に下記におさらいをしておきます。
エンジンは専用設計の1NZ-FXE型 1.5L水冷直列4気筒DOHCエンジン、DOHCではありますが、トヨタいうところの「ハイメカツインカム」、つまり効率を重視したエンジンをベースに、モーターとの協調、発電機としての性能を重視したチューニングになっており、ネットでたったの72PS(53KW)しか出ません。このエンジンに加え、出力33KWのモーターとのハイブリッドとなります。このモーター、出力は大したことはありませんが注目すべきは最大トルクで35.7Kg・mというとんでもないトルクを0〜400回転で発揮します。カタログ上の10・15モードは31km/Lとなっています。バッテリーとしてはニッケル水素バッテリーを搭載し、インバーターで交流・直流を変換することになります。
また、マルチビジョンが標準装備(ナビ機能はオプション)されていますが、ハイブリッドならではの表示機能として「エネルギーモニター」「5分間平均燃費計」の機能があります(これについては後述)。
プリウスは実は3年前にも一度借りたことがある(それも狙ってではなく、たまたま)のですが、ハイブリットという環境コンシャスなクルマであるにもかかわらず操縦性も悪くなくドライバビリティも良好であることから今回は「狙って」レンタルした次第です。一部、上記のエネルギーモニターで遊んだため、省燃費走行になった部分もありますが、基本的には「飛ばし屋Tomさん」(社内では○○○のナイジェル・マンセルといわれてます)ベースでの走りをしています(○には会社名が入りますが文字数は3文字とは限りません)。
■実走記
まず一日目は釧路空港から阿寒丹頂の里で丹頂を撮影した上、弟子屈からR391にて濤沸湖へ向かい白鳥撮影、折返しR244〜R334を知床・ウトロへと向かうルートをとりました。だいたいは郊外ルートとは言いながら、阿寒丹頂の里から鶴居村までは丘陵越えのワインディングロード、R391の川湯〜小清水間は野上峠の峠越えになります。
釧路空港から丹頂の里まではR240を坦々と走ります。この間は特に難所もなく、また路面も氷点下の気温ながら凍結は一切なく80キロ程度で軽く流すといった走り、燃費が悪くなる要素は全くありません。丹頂の里で90分程丹頂の撮影を楽しんだ(但しこの日はロクな写真が撮れず)後は農道・一般道道を利用し、丘陵地帯を越えていきます。ここは日陰は凍結路面も多少ある為、谷筋はやや徐行気味に、日の当たる所はハイペースで走りを楽しみます。
プリウスの良さは実はこのようなシチュエーションにも発揮されます。というのは、スペックの項で書いた「モーター」ですが、低回転でグッと力が出るため、いわばスーパーチャージャーがついているクルマのように低回転から力が湧き出します。また、下りではミッションを「B」レンジに叩き込むと回生ブレーキがかかる為、ワインディングでも思ったより燃費は悪くならないと思います(この日はエネルギーモニター画面は全然見ていなかったので実燃費は不明ですが……)。但し、狭い道ではプリウスの数少ない欠点、ブレーキのタッチがやや唐突、という面が出てきます(ややカックンブレーキ気味、といえばわかるでしょうか)。
その後、道道53号〜R391経由で濤沸湖へ向かいます。野上峠は、本州基準でいうと高速コーナーの連続という感じであり、またさすがに釧路・網走を結ぶ幹線道路だけあって除雪も行き届いている為もあって、路面は完全にドライということもあり、80Km/H以上のハイペースで上がっていきます。が、下りではまたまた回生ブレーキを多用したせいか、燃料計のセグメントはひとつ減っただけ……。小清水に下りた後は平坦な道を飛ばしますが、いたって快適、とても小排気量のクルマとは思えない走りです。
濤沸湖からウトロまでの道については、R334が改良途上ということがあり、改良区間は走りやすいが未改良区間については本州の県道のような区間が続きます。とはいえここは北海道、飛び出しの危険がないから、と飛ばしていたら知床に入っていくにつれ、道端にエゾシカの群れが……。どうやら国道付近は雪解けが進んでいるため、エサの乏しい山中から餌を求めて下りて来たようです。こんなのにぶつかったらクルマは大破必至、注意走行モードに頭を切替えて走行しました。
二日目はウトロから阿寒湖温泉へ向かいます。但し、まともに直行するワケはなく、R334〜R244根北峠越え〜野付半島〜道道363〜道道8〜R243〜屈斜路湖〜R241と進みます。平坦な箇所のドライバビリティは至って良好、ただしこの日は根北峠・阿寒横断道路という凍結ワインディングが控えています。
斜里にてR334からR244に入ると、最初はドライ路面で、やはり3月だと思っていたのもつかの間、かつての国鉄根北線終点越川を過ぎたあたりから路面に雪が目立ち始め、しばらくいくと完全にホワイトアイスバーン状態になりました。ただし、R244は国道昇格時期が早かったこともあってか改良がなされており、60Km/H程度で走っている分には普通に走れました(但し、私は北陸に8年転勤で住んでいたので東京近辺でしか運転しない人とは感覚が違うと思います。念のため)。ここも下りは目一杯回生ブレーキで燃費を稼ぎます。
野付半島で流氷・国後島撮影を楽しんだ後は、メインルートばかりだと面白くない為、根釧台地を走るローカルルートを辿ります。ただ、ローカルルートとはいえ、道道であればやはり北海道だけあって、本州ならば主要県道レベルの道路で安心して走れます。ただ、根釧台地の風景はあまりに北海道らしかったので、ちょくちょくクルマを止めては風景写真撮影……。さらに、R243にはいりR272との交点は、R272側が鈴木宗男氏が作った道路とされる「春別道路」に当たっているためまたまた撮影……。結構ちょくちょく止まりました。
ただ、風景写真を撮っていたのが幸いして? レーダーパトが速度測定している地点の手前で親切にもパッシングしてくれるクルマと遭遇することが出来、辛くも一発免停から逃れることができました。ここ数年、毎年冬には道東に来ていますが、今まで速度取締りを冬季には見たことがなかったのですが、やはり3月も下旬になると再開するのでしょうか?? ということで、この先はレーダーパトには気をつけましたが、結局4日間通算3台見ることとなりました。
このあたりからプリウスにはエネルギーモニター機能があったことを思い出し、EMVの画面をエネルギーモニターに切替えます。ここから屈斜路湖・砂湯まではだいたい30km/L前後の極めて良好な燃費を示しました。
屈斜路湖でペットのように人懐こい白鳥たちを写した後で、いよいよ阿寒横断道路に挑みます。
ここは、特に峠の東側、弟子屈町側は谷の北面に道路がつけられている箇所が多く、また土砂崩れの罹災防止の為のシェルターが多いのですが、ここが冬季は隙間から吹き込む雪が凍結しとても走りにくいという難所です。麓のストレートでは目一杯走りましたが、凍結箇所にかかるあたりからは40〜50kmに落とします。
この区間ではさすがに上りのタイトコーナーが続くため、5分間平均燃費が最低12Km/L付近にまで落ち込みますし、それ以上にすべるすべる……。50Km/h程度で走っていても追いつかれはしないが、当然追いつきもしないというペースです。ただ、峠を越え阿寒町に入ると道が開け、凍結もなくなりペースも上がります、また下りなので回生ブレーキも利かせまくり、エネルギー回収効率も上がります。この区間では下りとはいえ、高速コーナーとはいえ山道なのに5分間瞬間燃費はなんと40Km/L、これが2区間も続きます。そんなこんなしている内に前のクルマが見えてきたためペースを落とすと、ややおいて後ろからも一台クルマが……(お前もなかなかの腕だな……と後ろのクルマに思わずつぶやいたり)。
結局、2日間で燃料系は半分+1セグメントの消費率でした。
この後、3日目は帯広へ行き、4日目は帯広郊外を走り帯広空港へ、というルートで走り、トータルの走行距離はおよそ 850km、消費燃料は41L強という結果でした。(この間で十勝スカイロードも走行、但し今回は写真撮りながらゆっくり走りました)
■まとめ
北海道という利点はありながらですが、結構燃費も伸ばすことができ、またドライバビリイティも満足のいくものでした。プリウスの場合、走行用のバッテリーが切れると「亀さんマーク」が点灯し、どんな場合でもエンジンだけで走ることになるためドライバビリティが落ちるといわれていますが、北海道というステージであったため、亀さんマークが点灯することもなかったです。
本州のようにゴー/ストップの多い土地では停止の際、回生ブレーキを多用するようにして、発進時などにはエンジン・モーター併用で走るようにすれば燃費は勿論、ドライバビリティにも良い結果が得られると思います。回生ブレーキを効かすには停止の際にレンジを「B」にすればいいだけですのでそんなに難しいことではありません。
余談ですが、ゆっくり発進すると充電状態が良ければ40Km/hまではモーターだけで発進しますし、また停止時はアイドリングもストップします。この為、停止時はとても静かですし、モーターだけで発進する時は、インバーターの音が良く聞こえます(蒲田住まいの私には京浜東北線に乗っているような錯覚に陥ります。停止時も)。環境に興味のある人だけではなく、鉄道好きの人にも薦められる商品かも……。
また、トヨタのクルマは平均的には「品質はいいけどドライバビリティが……」というクルマが多いのですが、何故か初代に当たるクルマは例外が多く、初代エスティマ同様、このプリウスも意外にもカローラあたりより乗って楽しいクルマに仕上がっています。レンタカー会社によってはカローラクラスの料金で借りられるので興味のある方は一度試してみては如何でしょうか?
※この記事は【検証:近未来交通地図】への投稿を加筆修正したものです。
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