このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

 

 

EUでより強化された航空旅客保護制度を導入

 

Tom  2005年 2月17日

 

 

 海外の話ではありますが、EUが悪天候でも飛行機が遅れた場合でも到着が五時間以上遅れた場合は乗客に運賃を全額返済するなどの乗客保護制度を導入することになったようです(ニュースソース: 2月17日付毎日新聞夕刊)。新しい乗客保護規則は以下の通り。

[遅延関連]
 1.到着が5時間以上遅れた場合乗客に対し運賃が全額返済
 2.2〜4時間の遅れの場合でもホテルの提供を義務付け
 以上については悪天候による遅れに対しても適用されるが、航空会社や空港職員のスト、テロ情報などによる遅れは対象外。

[オーバーブッキング]
 オーバーブッキング起因での搭乗取り消しの場合、航空券の払い戻しに加え、目的地への距離に応じ250−600ユーロの賠償を受ける。また、場合によってはホテルの提供を受ける。

[適用対象]
 EU各国からの出発便は全ての便が対象で、EU各国への到着便についてはEU諸国の航空会社が対象となる。悪天候に関して、EUは「技術の発達で現在ほぼ全天候下で航空機は発着できる」としている。

 この規制について、乗客の立場とすればこれにより万一大幅に遅れ、本来必要のなかったホテル泊分などについては航空会社から補償され、経済的負担が減るという意味では歓迎です。

 日本でも、例えば最終便などが遅れて到着空港から目的地へ公共交通機関を使ってたどり着けないというケースは珍しくありません。東京便などでは、到着遅れのためモノレール/京急ともに終電が終わっている為タクシーで帰らざるを得ないということがありえます。成田便では、成田への出発が遅れ運用時間帯内への到着が難しくなり翌朝着に到着変更などということもありますから、そうなると予定していた会議に出席できなくなるなどの被害も。

 今までも、ゴネてホテルに泊まったとか、タクシー代を払わせたという例は聞いてはおりますが、結果的にゴネ得が許される不公平な状況となっており、それよりはこのように規定で定めたほうがすっきりします。

 2時間以内の遅れについては補償なし、とはっきりすれば、リスクのある人(=到着地での予定が詰まっている人)は余裕を持った予定を立てるでしょうし、それ以上は航空会社の責任となれば、空港からの接続で最終便から終電までの余裕を2時間見るという習慣がつくことも考えられます。経済的にも、スケジュールの組み立てにもひとつのメドがつくという点ではいい考え方ですし、基本的な考えとしては国内にも導入してほしいものと思います。

 ただ、天候に関しても一律、というのは「欧州だからこそ」出来うるものかとも思われます。なぜなら、欧州は西岸海洋性気候、もしくは地中海性気候が大多数、日米両国のように台風や猛吹雪があるわけでもありません。

 故に、この仕組みをそのまま日本に持ち込むとなると、天候の点については問題が出てきそうです。結果的に、天候リスクのある沖縄や日本海側・北海道への便についてはリスク分運賃値上げという形で跳ね返ってこないとも限りません。

 地震リスクならばともかく、風水害については数日前ならば予測できうるので、予約時点での天候情報により賠償率を変動させる、という仕組みが有効ではないかと思われます。つまり、現在一般的な天気予報でもっともレンジが長い週間予報で、台風や大雨・大雪の恐れが告知されている場合、航空会社が発券の際その点を告げ、了解して搭乗した場合は賠償を減免するなど(考え方としては、JRの「遅れ承知特急券」のようなものです)。予報がない時点での予約について考えものですが、それらの場合台風や冬季の降雪に限っては賠償率、もしくは遅れ時間などの条件を緩和するなどの方策を考えても良いでしょう。

 逆に、「航空会社や空港職員のスト」は対象外、というのが欧州らしいかもしれません。私の感覚では、公共交通機関内部の問題を客に被せるこれらの方を賠償対象に含めさせるべきと思うのです。国内線ならともかく、国際線の場合、どこの国の航空会社/空港の労使関係が揉めているという情報など取りようがありません。多少の問題はあるにせよ、国内でも乗客の側に立った規制の導入が望まれます。

 

 

 

 

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