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製品・サービスの品質の低下を憂う
Tom 2005年 5月 1日
今回は少々抽象的な投稿になりますこと、ご容赦ください。
【頻発する品質トラブル】
今週は福知山線の大事故という、安全対策が進んだといわれる昨今では信じられないほどの大事故がおきました。一方、先日30日には羽田空港で閉鎖中の滑走路への管制官による着陸指示という、これももし滑走路上に工事車両でもいたら大惨事になりかねない事件が発生しています。
航空では、今年に入ってJALが何回か管制指示に反する離着陸や(ANAも一回あったが)、あげくの果てにはスチュワーデスが規定のドア操作をしないまま飛行するという事件もありましたが、共通しているのは業務遂行に対する意識が下がっているのではないか、ということです。
気になるのは、最近交通業界に限らずこういう広義の「品質の低下」があちこちで目立つことです。
製造業でも、三菱自動車のリコール隠蔽事件が記憶に新しいところですが、三菱自動車については、リコールしたものまでが再度不具合が生じるなど大きな問題になっており、最近ではPCを守るはずのセキュリティソフト「ウィルスバスター」でも検査工程をひとつ忘れたことにより大きな障害を招いたのは記憶に新しいところです。
【トラブルの背景はどこにあるのか】
事故などがおきると、自動化が可能なところについては何故自動化をしていないのだ、ということが議論される傾向にありますが、それと同時にシステムのバックアップに頼り、業務に従事している人間の業務品質に対する意識の低下も問題ではないかと思われてなりません。
品質ということに関して言えば、最近は主な企業では国際品質基準である ISO9000シリーズの認証を取得することが必須になってきていますが、これとて、企業が自分たちの業務品質が基準を満たすことを証明することに重きがおかれる傾向があります。
JRの事故でもそうですが、うわべを繕う例が多い、これは組織に問題があるものと思います。JR西日本の日勤教育の内容を見ていると減点主義の典型で、教育というより見せしめのような。 だから、減点を減らすためにオーバーランの数値をごまかすという発想がでてくるのでしょう。
システムを整備したことで、それに頼りきっていないか?
また、社員教育などに関して、システムがあることで問題なしとしていないのか?
組織の幹部はシステムの実効性をどこまで監視監督しているのか?
組織は減点主義に染まっていないか?
不具合を見つけた場合、それを改善する為にのみ注力しているか?
そして、品質面に対する組織トップの意識及び働きかけはどうなっているのか?
【では対策は】
人間はどんなに注意したとしても必ず間違いを犯すことのある動物であり、そういう意味では機械的バックアップができる分野についてはシステム化をすることはひとつの対策ではあります。ただ、システムも万全ではなく、結局は社員一人一人が自分たちの業務の本質をきちんと理解しないとミスが起こりやすくなると考えます。
自分たちの業務に求められているのは何か、ということ。その本質を真に突き詰めることが必要。それがきちんとなされるような仕組作りが必要だと思います。トヨタ生産方式では、業務遂行の際「ナゼを五回繰り返し、問題がなければ先に進め」という考え方があります。
先にあげた ISO9000についても、通常は予め審査日程が決められており、その日に向けていろいろ社内で準備するようなことが行われているようですが、こういう審査や社内の業務監査を抜き打ちでやってみることも必要かと。そうすることによって、問題点は少しでもピックアップしやすくなる。そしてその結果は減点の為の資料に使うのではなく、あくまで品質向上の為に使う。
また、そのような抜き打ち業務監査は実業部門だけではなく、トップに対しても行う。トップに対しても常に行うことで、トップのミスリードも防げるものと考えます。内部の人間だけだとつい先入観に囚われがちになりますが、 ISOの本審査のように社外の監査を定期的に行うことによって業務を常に見直す工夫も必要だと思います。
品質の問題は一歩間違えると、場合によっては犠牲者を出すこともありますし、企業・組織に大きなダメージを与えます。これが、組織を超えて日本全体に広がるようだと結果として日本の競争力低下・地盤沈下につながっていきます。業務を遂行する際には、常に問題点はないかを自問し、改善していくよう意識の向上を求めたいと思います。特に、トップ・幹部の方には。
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