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現場の知恵が反映できないシステム及び個人の意識双方に問題がある

 

Tom  2005年 5月 8日

 

 

 TAKA様の言われる点、システムとしての観点からはまさに仰るとおり、現場の視点の欠如があると考えます。

 

【システム面−JR西・管制共通の欠点】

 業務の仕組みをつくるに当たり、現場の実情を理解せずに作成されていたのが問題であると思います。

 JR西の方は、余裕時間がほとんどないダイヤ及び車両運用。羽田の管制でいえば、重要な連絡事項がきちんと伝わっているかを確認するシステムがないこと。これらは現場の状況がきちんと把握され、的確な対策がなされていれば放置されているはずのないことと言えます。

 

【リカバリーの仕組みのないJR西のダイヤ及び車両運用】

 JR西のダイヤについての問題はマスコミでも語られていますが、余裕時間の全くないダイヤというものが最も問題とされるべきでしょう。それと付随するのが、同じく余裕のない車両運用。

 JR西は関西圏では効率を最大限にすべく、片道 200km以上の長距離を走る新快速の車両をわずか数分で折り返す例があるようですが、そもそもいつも何も問題が生じないことを前提に運用を組むことがおかしくはないか?

 特に運輸業の場合、社員が注意していても、例えばお客が飛び乗りしてドアを再開閉したり、冬は着膨れラッシュがあったり受験シーズンは普段以上の乗客があるなど予想外のことが起きがちです。そういう時の「冗長性」を全く考慮しないと、何かあった場合は玉突きで遅れが波及することとなります。

 もちろん、JRといえども民間企業であり、利潤を上げることを考えることを否定するわけではありませんが、サービスの質を犠牲にしてまでの効率化は、結果的に顧客から背を向けられる要素となります。

 その遅れを運転士の責任にするJR西の仕組みは論外。この点では、余裕があり過ぎる故に批判が多くとも、ダイヤ及び折返しなど運用面でも冗長性のあるJR東の方が優れているといえます。

 

 なお、運用面での冗長性のなさはJR西だけではなく最近では航空業界でも目立ちます。羽田便など空港が輻輳しているのだから、多少の遅れはあって当然なのに、地方空港でのターンアラウンドタイムを40分以内に設定したり、また冬季の雪国便など上空待機が頻繁にある路線でも標準的なターンアラウンドタイムしか設定していないなど、冗長性のなさが目立ちます。

 まだ、遅れた場合は羽田や伊丹などの基幹空港で予備機材との差替えをする前提ならばまだしも、故障以外で機材が差し替えられた例はあまり聞いたことがありません。

 

【徹底する仕組みの欠如−−羽田管制】

 連絡を徹底するための仕組みとしてはマスコミ報道以上の情報を持っているわけではないですが、管制官への重要事項の連絡は回覧物と掲示板であるとのこと。

 もちろん管制官は業務の特性上、重要事項について自ら回覧物に注意を払ったり、一歩進んで周囲に注意事項などの情報を取る姿勢が求められるべきだと思いますが、報道の範囲ではバックアップする仕組みがないとしかいえない。

 これではヒューマンエラーを防ぐことは難しいでしょう。例えば管制室の機器のひとつとして、滑走路の閉鎖情報などを表示するシステムを付加することなどを考えてもいいのではないか? この程度ならFA用PCを活用すれば大したコストをかけずに出来ることです。

 また、根本的には管制業務の支援システムのようなものがあればなお良い。それを管制側だけではなく航空機側にも搭載しておけば、万一機体に故障が生じどこかの空港にダイバードする必要が生じてもダイバード先の空港の情報を表示することにより万一の事態を回避しやすくなります。

 幸い、航空業界でもコネクション・バイ・ボーイングなど航空機でもインターネット経由で情報がとれるご時世です。各国の空港の情報をサーバーにストックしておき、着陸前に最新の情報に更新されたものを入手すること位はたやすい事と思います。ただし、航空の場合はインターネットレベルよりはるかに高い信頼性が求められるため、どのようにバックアップするかも考えねばならないのはいうまでもありません。

 このへんの改善策については現場の意見をきちんと吸い上げる仕組みがあればある程度は反映されていてしかるべきものであると考えます。

 

【もうひとつの問題−プロ意識の欠如】

 もうひとつの問題としては、現場で業務に携わる人たちのプロ意識が薄くなってはいないかということがあげられます。これは、TAKA様がいわれる現場が軽視されていることの裏返しかもしれない。だけど、軽視されているからといえ、その仕事で給料をもらっている以上プロとしての矜持、意識が求められます。

 鉄道業者として求められるものは何か、管制官として求められるのは何か、というのが欠けているのではないか。勿論、責任までを各個人に求めるつもりではないですが、あまりにも求められているものの本質を理解しないで仕事をしていないと思われる例が目立ちます。

 これはJRや航空業界に限ったことではなく、先の投稿でも述べた三菱自動車や、会社が崩壊した雪印などにも当てはまります。それだけではなく、身の回りでも目立つようになってきた、そこに危機感を覚えます。

 運輸業だけでなく、仕事がきちんと進められるためにはきちんとした仕組みの整備と個人の意識の持ちようはクルマの両輪のようなものだと思います。今回問題を起こしたJR・管制やトラブルが頻発しているJALには是非そのような観点から仕組みの再整備、及び社員の意識を高める工夫をしてもらいたいものです。

 

 

 

 

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