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IC定期券を一枚にできない不条理



Tom  2007年 4月 7日





 Suicaに加えPasmoが3/18にリリースされ、鉄道にさして興味のない方にもICカード乗車券は相当認知されてきました。ただ、便利になった反面、不便になった点・改善を要する点が多々あるのも事実です。通過連絡や乗継割引、振替の問題については既にエル・アルコンさんが書かれているので、私からは定期での連絡運輸の件を提起致します。



■複数社局に亘る定期乗車券

 首都圏では従来よりJR線と私鉄各線を乗り換えしての通勤はかなりの比率を占めています。新宿・渋谷・池袋・品川などのターミナルへ私鉄で乗り付ける定期客の内、そのままターミナル駅を目的地とする流動は多くはなく、多くはJRや地下鉄への乗り換え流動となっています。

 但し、その内の多くの駅では、社局数についての制限付きながらも磁気定期であれば1枚の定期券で済ますことが可能でした。今回のPasmo導入に当たっても、基本的に従来から1枚での定期で通用していた駅についてはIC定期乗車券についても1枚にできるようです。



■便利になると期待してたのに

 ところが、駅は同一名称、あるいは近接しているにも関わらず1枚の定期として発行できないケースがあります。その代表的なケースは小田急線・JR横浜線が交差する町田駅です。町田駅については、なぜか従前より連絡定期が発行できない駅とされてきました。

 これだけ取り上げると、なるほどJRと小田急は湘南新宿ライン開通を機に旅客争奪戦を演じているからだ、という見方をしたくなりますが、巨大ターミナル新宿では連絡運輸どころか連絡改札まであり、当てはまりません。俗説では、JRの駅名が以前は原町田駅と称していたから別の駅とされている、とも言われていますが、真相は連絡運輸協定が締結されていないからだ、とのことです。

 Pasmo導入後もこの体制は変わらず、ICカード定期券としたい場合、何れか一方を磁気定期券とするか、SUICA・Pasmoの 2枚持ちにするかの選択を迫られることとなります。結局、定期券を1枚に纏めることは不可能となります。



■片方だけIC乗車券/2枚持ちにする弊害

 上記のように複数持ちしなければならない状況であっても、従来であれば私鉄各社は磁気乗車券/定期券しかなかったため大きな問題はなかったのですが、共にICカードが扱え、かつ相互利用が可能になると厄介な問題が出てきます。それは、間違って使うつもりのないICカードを改札にかざしてしまうことです。

 筆者の場合、通勤はJRだけなのでIC乗車券はモバイルSuica1種類ですが、実は会社のセキュリティカードもICカードであり、常に 2枚のICカードを持っています(1つは携帯ですが)。本来、携帯とセキュリティカードなんて間違いようがないはずなのですが、時に急いでいると会社の入場ゲートでモバイルSuicaをかざし、あるいはその逆をやることがたまにあります。あわて者は私だけではないようで、勤務先最寄り駅や会社の入場ゲートで同じ失敗をしている人をたまに見かけます。

 間違えるのが、セキュリティカードや、他のカードでも例えばEdyであれば実害はないのですが、SuicaとPasmoですと乗車扱いがされてしまい、すぐに気がついても窓口で取消処理をしなくてはならないこととなります。それどころか、下車し改札を通っても気がつかなければ、残高がある限りかざしたSFカードでの乗車扱いとなり、残高が減じられてしまいます。連絡運輸については、当事者間ではいろいろと言い分があるのでしょうが、少なくとも利用者から見れば他の駅で出来ている以上、鉄道会社の怠慢と映ってしまいます。



■鉄道会社間では近接する駅同士は連絡運輸の扱いを基本に

 町田の例は、同一駅名の駅としては稀な例ですが、駅名が違うケースだと多々あります。というより、連絡運輸をしていないケースがほとんどと思います。私の会社の人に聞いた例でも京王相模原線の京王稲田堤とJR南武線稲田堤駅では連絡運輸がなされていません。せっかくICカード導入で便利にしようとしているわけですし、基本的には近接する駅については連絡運輸を行い、定期券を極力一本にまとめることを基本とするよう提言したいと思います。



■将来的には……

 技術面でいうと、SONYのFelicaチップはコストを優先しているようで8bit RISC CPU/4k byteのEEPROMという仕様となっています。但し、このカードを使用してマルチアプリケーション対応をすることは現時点でも可能なようですし、普及枚数が増え、更に安価・大容量な不揮発性メモリが実用化されれば、コストアップせずメモリの増量も可能です。

 また、モバイルSuicaであれば携帯電話本体で大容量のFlashメモリやアプリケーションCPUを搭載しており、今でもファームウェアの組み方次第で下車・乗車に要した時間などから最初の乗車・最終的な下車地を特定することは難しくなく、西日暮里乗り換えのような前後通算計算程度は携帯のCPUが処理してくれるでしょう。

 携帯については今後は総務省からGPS機能搭載を必須とするよういわれているようなので、モバイルSuicaであれば旧機種を除き地上線区間については乗車路線を特定することも可能になるはずです。

 携帯が一人一台となってきており、モバイルSuica、モバイルPasmo(まだ登場していないが)を基本としてサービス構築を考えるのも一考と思います。





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