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山陽道−中国道ラダーネット〜中国道の更なる活用・シフトはできないか



Tom  2007年 5月 6日





 私事で恐縮ですが、このGWに実家の家族と共に中国・四国地方を旅行して来ました。家族を同行する以上旅行の目的は当然休暇を楽しむことではありますが、ついでに以前から気になっていた本州四国連絡道路と山陽道の山口JCT以東全通後の中国道の利用率などもチェックしようと思い、宿やルートを設定致しました。

 今回、山陽道は神戸JCT→岡山IC、尾道IC→広島IC、廿日市IC→山口JCTを、また中国道は吹田JCT→神戸JCT、山口JCT→門司港IC、下関IC→千代田JCT、落合JCT→吉川JCTを利用致しました(これとは別に以前吹田JCT→三次ICを中国道経由で利用したこともあります)。中国道も関西の重交通を担い、かつ山陽道利用者も利用する吹田〜神戸JCTは交通量も多く、休日共なると宝塚IC付近を先頭とする渋滞は有名です。この区間は平成17年の道路交通センサス平日24時間交通量(以降17センサスと略します)によれば最大で105,048台/日の交通量がありますが、この区間についてはバイパス的な路線の整備も期待したいところです。私も以前この区間で大渋滞に嵌ったことがある為、今回は中央・名神の渋滞を避けることも含め世間より一日早く出発した為たいした渋滞には嵌らず済みましたが、さすがに交通量の多さは実感されます。

 さて、この先の区間ですが山陽・九州方面へ行くクルマの多くは神戸JCTから山陽道を選択しているようです。以下、比較においては走行した日が違うこと、またGW中という特殊条件もあることはご容赦ください。



 日中の山陽道では概ね交通量も多く、第二車線にも90km/hリミッターをつけたトラックが進出し流れを乱すこともしばしばです。なるほど17センサスのデータでも岡山以東は概ね25,000-35,000台の交通量がありますが、この交通量は関東でいえば東北道矢板IC以北とほぼ同等であり、流れが遅いのはトンネルが多いこと、及び意外にも制限速度が80km/hとなっていることも影響していそうです。また、広島近辺ではさすがに中国地方の中心である政令指定都市を通るだけあり、渋滞こそ発生しませんでしたが車間ギリギリで走ることが多く、交通量の多さは実感されます(17センサスでは広島付近・西条IC-五日市IC間での交通量は31,000-52,000台/日)。

 ただ、さすがに岩国から西に行くとさすがに台数が減りますが、17センサスでも11,000-19,000/日はあり、地方交通の根幹をなしているとは言えそうです(東日本でいうと東北道盛岡〜西根程度の交通量に相当します)。山陽道全般での利用状況は一部にすいている箇所があるとはいえ、山口県内を除いては概ね20,000-40,000の交通量があり、概ね良好といえそうです。



 さて中国道ですが、こちらも山陽道と合流する西部の山口JCT以西はそこそこ利用されており、山陽道同様第二車線を遅い車で塞がれることもしばしばです。これは、山口JCT以西は丘陵地帯を通るせいもあり線形が非常に悪く、R=400以下のカーブも多い為制限速度80km/hを下回る速度で走る大型車が多いせいもあろうかと思います。交通量としては20,000-25,000/日であり、格別多くも少なくもない水準といえると思います。

 一方で、山口JCT以東の山口・広島県西部の中国道です。山口JCTでは見た感じ、だいたい3:2の比率で山陽道方面方面へ多く渡っていきます。17センサスによると中国道の方が多くなっていますが、山口南から山口宇部有料道路経由で山陽道の支線に接続している関係もあると思われます(実際17センサスでも山陽道は山口南-山口JCTだけが落ち込んでいます。9,156台/日)。



 問題はその先です。この区間を走行したのは5/1の日中で、GWの谷間で営業車が少ないということもあると思いますが、何しろ対向車が来ない。あまりにも対向車が少ないので、徳地IC→鹿野IC間で対向車線のクルマの台数を数えてみました。最初は10時30分から10分間、と考えていたのですが、途中でトンネルに入ったため8分間となりましたが、台数は25台だけ。3台位でつるんでくる車もいたため、1分近く対向車がいない時間帯もありました。8分で25台というと、大雑把に考えれば60分で187.5台、と考えてしまいそうですが、こちらも反対車線を走行していたため、定点観測に置き換えればほぼ16分相当をカウントしていたことになります。とすると1時間94台相当となります。

 ちなみに、1日この交通量が上下線あるとした場合は94×24×2でおよそ4500台となります。17センサスでは鹿野-徳地間は11,044台/日となっていますが、にわかには信じられない感じです。尚、広島北JCTからは広島道から合流してくるクルマも増え、それなりの台数になります。

 上記、山口JCT以東の山口・広島県西部の中国道の特徴としては以下のものがあげられます。

  ・制限速度が80km/h。
  ・カープが多い。但し山口JCT以西よりはまし。
  ・大型車がほとんどいない。大型貨物はもとより、大型バスもほとんど見ない。広島JCT以東になれば多少大型も混入する。

 この区間に並行する山陽道もアップダウンはそこそこありますが、カーブは少なく、制限速度も100km/hの区間が多く、かつ山陽道としては台数も多くない区間なので比較的快適に走れます。アップダウンも中国道と比較すると少ない。こうなると、特に荷物を運び加速に難がある大型貨物は山陽道を選ぶのはやむを得ない感があります。

 翌日、今度は米子道から落合JCTを経由し吉川JCTまで走行してみました。前日のように、自車以外対向車線を含め車が見当たらない瞬間があるということはないにせよ、やはり空いています。山陽道と異なり、警察の取り締まりさえなければ第二車線はいくらでも行ける、という感じがします。17センサスでは滝野社IC以西から20,000台/日を切り、福崎IC〜落合JCT間は10,000-15,000台/日で推移しています。道路環境としては制限80km/hで、かつカーブも多いですが、中央道の八王子IC−勝沼IC間に比べれば走りやすい道路です。

 総じて、山陽道が大型貨物を含め重交通を担っているのに対し、中国道は普通車主体で補助的な役割を担っているように思われます。



 中国地方は山陽道と中国道という二本の主軸となる高速道路が東西の端部を除き並行して整備され、この間も播但連絡道や岡山道、広島道が接続するなど有事の際にラダーネットとして機能できるようになっています。特に交通量が少ないと指摘した中国道西部区間も、昨年の台風被害で山陽道が玖珂IC付近で通行止めになった際も迂回ルートとして機能を果たしています。ただ、折角の4車線の1種3級としてのフル規格の高速道路を万一の際の迂回路として使うだけでは非効率と考えます。特に、山陽道の交通量が多い広島県以西だけでも、通過交通を中国道へのシフトが出来ないものでしょうか。

 中国道へのシフトを阻む理由は以下のものが考えられます。

  1)距離はやや短いが、全線で制限速度が80km/h以下で通過に時間がかかる。(山陽道は80km/hと100km/hが混在)
  2)カーブやアップダウンが多い。
  3)姫路・岡山・倉敷・福山といった瀬戸内沿岸の都市から遠い。

 これについての解決方法としては以下のものが考えられます。

  1)ETC車に限ってでも、中国道経由にした場合料金を割り引く。
    ETCならば、システム上通過情報などから中国道経由を特定できるはずです。

  2)普通車制限速度の見直し。
    1種3級での設計のため80km/hで制限されていますが、中央道などに比べると一部を除いてはさほど急カーブでもなく、普通車を80km/hに制限する理由は設計速度しか見当たりません。
    大型車も少ない道ですし、ここは法定速度でもある100km/hに緩和してもいいものと考えます。
    懸念としては、アップダウンが多いため非力な車に対して問題がないか、ということ位でしょう。
    私自身、リッターカーをレンタルして、大分自動車道でDレンジ走行だと90km/hしかでなかった経験がありました。この時はシフトダウンでしのぎましたが、クルマに関心がないドライバーはそのままDレンジでドライブすることも考えられます。

 大型車については加減速の関係で中国道へのシフトを促すのは難しいかもしれませんが、普通車にとってはさほど厳しい道でもなく、まず普通車だけでもシフトさせればいいと思います。結果として、遠距離流動が一部でも減れば山陽道しか利用選択肢がない瀬戸内沿岸都市の人にとっても悪い話ではないと考えられます。

 ラダーネットで整備するということは有事の際を考えるととても大事なことですが、平時においても多少なりとも利用率の乖離を埋めるべく工夫すべきと考えます。



  参考資料:24時間交通量(平成17年度道路交通センサス)





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