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公共交通の心理的バリアとICカード乗車券のメリット



Tom  2009年 1月18日





 海外旅行をする際、都市部では公共交通を使うことが多いと思いますが、その際に切符を買う際に料金を調べたり、買いたい切符を探したりすることにストレスを感じることが多いと思います。実際に私も過去、ロンドンやベルリン、ウィーン、パリ、NY等で地下鉄やトラムなどを使ったことがありますが、国によって切符の買い方や改札の通り方などのルールが異なり苦労した記憶があります。しかし、システムの組み方ひとつでこのストレスがかなり緩和されるということを香港のオクトパスカードで実感しました。



 例えば、一昨年行ったドイツやオーストリアでは、「改札」というものがなく、自分の利用方法に則った乗車券を予め買い求め、自分でホームにある刻印機にて使用開始印を押すシステムになっています。定期券を持っている地元客などにとっては改札などとという面倒がなく、一見便利なシステムだと思います。・・・・・・が、日本人をはじめ、改札がないことになれていない国民など、ついうっかりと「刻印」を忘れることもありがちだと思いますが、うっかり刻印を忘れると乗車券を持っていても不正乗車で摘発されることもあるとか。また、ベルリンはゾーン制の運賃で、運賃制度自体はわかりやすいのですが、Uバーンでは券売機がホームにあり、自分に必要な切符が良くわからず苦労した記憶があります。

 また、NYは料金制度自体は基本的には片道どこまで行っても2ドルという、とてもわかりやすい料金システムになっています。・・・・・・が、旅行者向けにはフリーきっぷタイプもあるようですが、これで乗り間違えが発生し乗り換えようと改札を入り直そうとしても一定時間開かないというシステムになっており、ガイドブックを熟読しておかないとつい引っかかってしまいがちな難点です。

 また、メトロカードというものもあり、これは磁気カードであること自体は良いのですが、欧米に良くあるホテルのカードシステム同様、磁気の弱いカードが多く、改札で引っかかったことが複数回ありました。 この時は、ニューヨーカーが「こうやって通すと通れるよ」と模範演技を見せてくれ、同じようなタイミングでカードリーダーを通したら通れたというオチがありますが、キヤッシュカードタイプの磁気カードの場合に共通する欠点だと思います。とはいえ、NYは料金システムが簡素なのでまだ良い方だと思います。



 この点、香港の場合は少なくとも日本人にとっては良く出来ていると思います。何せ、オクトパスカードさえ買っておき、ある程度の金額をチャージしておけば切符の心配はないと。こう書くと、「それでも行先毎の料金を分かっていないと、使い過ぎてしまうのでは?」という疑問もあると思います。この点は、香港の場合は行き先別に料金が異なるシステムとはいえ、日本に比べ料金自体が安く、正直なところ日本人の感覚ではあまり料金差が気になるレベルではないと思います。(但しエアポートエクスプレスだけは片道100HK$とやや高い)

 また、オクトパスカードのいいところは、使い過ぎても一度使い過ぎた時点では保証金によって補填され、出場すること自体には問題がないところです。上にも書きましたが香港のメトロやフェリー、トラムは日本の水準で考えれば格安で、フェリーは比較的距離の長いホンハム〜ノースポイントでも6HK$(約70円)、チムサチョイとセントラルなら2HK$程度です。エアポートエクスプレス以外なら100HK$(=1200円程度)もチャージしておけば一日程度なら十分使えます。難点はバスなどでチャージ出来ないことですが、一回マイナスに切り込んだら地下鉄の駅かコンビニでチャージすれば良いと。

 尚、腕時計式のオクトパスもあるようですが、これについては日本のモバイルスイカの方が便利かな? ともあれ、オクトパスのおかげで、香港において公共交通を使う心理的バリアは他国と比べ格段に低いと実感しました。

 また、旅行者向けにはエアポートエクスプレス(片道・往復が選べる)と、72時間メトロ乗り放題がついたオクトパスカードもあります。これの場合、使用後空港で返却する際、デポジットとチャージした残額を手数料なしで返してくれるというメリットもあります。・・・・・・が、オクトパスカードは既に香港の総人口以上の枚数が販売されているといわれ、記念品として持ち帰る人も多いようです。この辺は香港人の商売のうまさだと思います。

 日本でもJR東日本が外国人向けに成田で「SUICA & NEX」を発売しており、東京でも私鉄・地下鉄・バス等はほとんど対応しているため、同等に近い利便性が確保されていますが、ただ鉄道駅でないとチャージできないという点が少々不便かな、という気がします。どうせならば、せめて提携しているコンビニでチャージできるともっと便利だと思うのですが、JRさん如何でしょうか?



 最後にちょっと話がそれますが・・・・・・。

 今、電子マネーの元になる技術について、日本を初めとしたアジア圏で多く採用されているFerica(ソニー開発)と欧米で採用されているMifare(フィリップス開発)という技術があり、この二つは互換性がありませんが、各々の上位互換として、NFCを共同開発しています。

 かつてCDを共同開発した両社ですが、このタイプで廉価なタイプのものが早く実用化され、主要国の公共交通機関が提携し一枚の電子マネー機能付きICカードで使えるようになればもっと利便性が増すと思います。

 為替レート変換方法など多少のハードルはありますが、LSIの機能も進化していますし、近いうちに実現することを期待したいです。





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