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FEDEXの事故から〜〜国際空港のリタンダンシーについての一考



Tom(north-wind)  2009年 5月 7日





 もうかなり前の話になってしまいましたが、今年 3月23日の FEDEX事故による成田空港A滑走路のほぼ終日閉鎖となった事故の際、 NH009便にて JFK空港から成田空港への便に搭乗しており、新千歳空港へダイバートするという経験をしました。この時の現場の対応についてご報告させて頂くと共に、国を代表する国際空港が万一の事故で閉鎖された場合の対応についてどうあるべきかを提起してみたいと思います。





■事故発生からダイバート着陸まで

 米国時間の3月22日、NH009便は定刻通りJFK空港を出発。当日は特典航空券でビジネスクラスのBコンパートメントに搭乗しておりましたが、見た目で85%程度の搭乗率、 2-3-2の横 7人がけの座席のうち 3人掛け中央席がほとんど空いているが他はほぼ埋まっている・・・・・・という程度の乗り具合でした。

 事故の知らせが入ったのはちょうど二回目の食事が終った頃。食後のコーヒーがサーブされている時に操縦席から「成田空港の滑走路が閉鎖されているので、目的地を新千歳空港に変更する」とのアナウンスが入ったのです。

 直後からCAが乗客への対応に当たり始めましたが、CAとて出来ることは地上からの情報を知らせるだけなので、私もエリア担当のCAと「ダイバート先が羽田空港に変更になれば良いですね」と話し、そのまま新千歳着陸になった場合に備え、国内線の時刻表をもらうに留めました。

 が、期待もむなしく飛行機は新千歳空港に着陸。時間はおおよそ 14:30頃。ランディングしている間に、15:30発東京行きとおぼしきピカチュウジャンボが見え、「あれに乗れれば一時間遅れで東京に戻れる」という目算を立てたのですが・・・・・・。





■混乱する新千歳国際線ターミナル(税関まで)

 が、事はそんなに簡単に推移しなかったのです。

 到着してから30分機内待機・・・・・・。理由は入国審査場が混雑しているからとのことでしたが、これは降機した後、入国審査場の建物に差し掛かったところで実態判明。新千歳空港の国際線ターミナルは 170万都市札幌の国際玄関とは思えぬ貧弱な作りで、何とボーディングブリッジが全くなく、どこかの地方の役場のような建物となっていました(当然飛行機は全て沖止め)。

 で、入口を入るとそのまま二階へ上がるのですが、エスカレーターもエレベーターもなく、階段だけ。今回の旅行に同行した私の両親のうち、母親は足がやや悪く、どうしたものかと思うところですが、この階段からして渋滞していたおかげで助かりました。

 ようやくの思いで二階にたどり着くと、入国審査場は五列で処理しているのですが、日本人専用が二列、それに海外・日本人兼用が二列で一列はお休み。(窓口が開いていなかった)。

 そんなこんなで入国審査を済ませると、今度は手荷物引き渡し場が大混雑。まず驚いたのが、荷物引き取り用の回転台はたった一台。着いた時は JL009便の荷物受け渡しをやっており、 「NH001便ワシントン発はもう20分ほどお待ちください」。

  NH009はいつから引き渡しをするのか、と思って聞いたら「ワシントンの後ですが、よくわかりません」との回答。で、ワシントン線の引き渡しが始まったら「ニューヨーク便はあと30分ほどお待ち下さい」と推移。

 結果として、バゲージクレイムに入室してから都合一時間ほど経過したのちやっと税関を通過した次第ですが、回転台が一台しかないことからもわかるように、新千歳のバゲージクレイム及び税関は狭く、ロクに椅子もないような状況です。

 早い話が、後から来たNY線乗客は立ちん坊のまま待たされた次第(この点で、若干なりとも機内待機させたことは正解だった)。いったん表で足の悪い母を休ませようと、外に出ていいかと聞いたら「ダメ」と。だったら、「こういう事態に備えてきちんと施設を整備せよ」と声を大にして言いたくなりました。イミグレ・税関にはサービス精神がないのか?税金という名のサービス料を払っているんだけど・・・・・・。





■混乱する新千歳国際線ターミナル(振替搭乗まで)

 やっと税関を通過し、徒歩で国内線ターミナルへと移動、そして16時過ぎには振替手続きをやっているという 2階15番へ。が、まずカウンターのある二階へ行くエレベーターが大混雑。何せ、私の便を含めみんな欧米帰りですから、みんな大きなスーツケース+αの荷物をもっており、台車で荷物を運んでいるから当然といえば当然。

 これを待つとまた10分位かかりそうなので、私は台車ごとエスカレーターに乗るという禁じ手で二階へ・・・・・・。二階へ着いたとき、台車からスーツケースがひとつ落ち、少々焦りましたがかろうじて後が糞詰まりになるのは避けられました(だから台車での乗車を禁止しているのかと妙に納得)。

  2階15番カウンターも大行列。ワシントン線の後ということがいけなかったのでしょう。荷物のセキュリティチェックと振替手続きに一時間。かくして、搭乗できたのは 17:30発の羽田行き。但し、搭乗手続きできたのが出発30分前だったので、 009便の後部キャビンに乗っていた旅客はおそらく 18:30以降の便になってしまったものと思います。





■機内と羽田

 疲れていたので有償でもプレミアムクラスにしたかったのですが、残念ながら売り切れ。また、空席がある便だったので、ダイヤだから 4人席に 3人割り当て・・・・・・ならば当然端はブロックかとおもったら、 D席には他の客が(前の列には空き席があったが・・・・・・ダイヤ歴の問題でしょうか?)。まあ、優先搭乗で乗ったので、持ち込み手荷物を収納するスペースは確保しましたが、後からきて置く場所に困っている客多数。なにせ、本来の札幌線客もスキー帰りなどで沢山荷物を持っているから堪りません。

 さらにずっこけたのは羽田。まさかここからはすぐ帰れると思ったら「本日は預かり荷物が多く、荷物の引き渡し開始が遅れます」。なんで? どうして? と思わず言いたくなってしまいました。

 日本人からみれば天下の羽田なのですが、世界的には首都空港としては小規模空港、設備的にも世界の首都空港と比べれば劣ることが暴露されてしまった瞬間でした。

 結局荷物引き取りまで25分程度・・・・・・。優先タグがついていて(しかもダイヤでCクラ利用の為「First Classのタグがついていた」)ため早く出てきてこの有様です。

 私は成田までは公共交通機関を利用していたのでそのまま京急で帰りましたが、私の両親など成田までクルマで来ていた人は更に成田行きのリムジンバスに乗り継いで行きました。ちなみに、米国人など海外乗継客もいたのですが、リムジンの増発はなかったようですが、これは成田へ行ってもホテルが満室という事情もあったようです。





■問題点と解決策【1〜〜国際空港の活用】

 後ほどウェブなどで調べると、当日はB777-300/A340-600は全てダイバート、貨物機も原則ダイバートその他は下ろせるだけB滑走路に下ろし、ダイバートした便は新千歳の他、名古屋、関西、仙台に降りたようです。他の方からの情報では、当日成田ではB滑走路への着陸不可能機材として「777-300・A340-600・A380・B747」が上げられていたようです。運用時間延長と併せ、777-200以下の機材はほぼ全て離着陸できたようです。

 今回の規模の事故は成田でもそうはないようですが、実は天候による滑走路閉鎖などは頻繁におきており、成田クローズ時の対応策はもっと真剣に考えるべきものと思います。今回は幸いにもB滑走路が使えたのでまだ被害の程度は軽かったと言えますが、バンコクの空港封鎖や災害などでA/B滑走路とも終日閉鎖ということも想定しなくてはなりません。

 対応策を考える場合、どこを代替空港として、どの程度の整備を現状に追加すべきか? まず筆頭は関空・セントレアの両空港でしょう。この両空港はもともと国際空港であり、乗継便も充実していますから、ここで不足を補うのがひとつ。

 第二には北端と南端の大空港である新千歳と那覇の整備。ただ、那覇は東南アジア・中国からの空路を考えると若干ルートから外れている感もありますので、福岡の方がいいのかもしれませんが、福岡は現状でパンク寸前、かつ拡張の余地がありません。

 一方で、北は新千歳の充実を望みたいです。新千歳であれば欧米からの空路に近いですし、札幌という大都市も控えています。少ないながらも全国に直行便があり、また輸送力世界最大の羽田線を使い羽田経由で流すことも可能です。

 尚、設備に関して、災害・非常時対応であればオープンスペースがあれば何とかなる、という意見もあるでしょうが、利用者視点ではそうともいえません。米国のカリフォルニアのように、年中過ごしやすい気候で晴天率が高ければそれでもいいのでしょうが、残念ながら日本は雨雪が多く、寒さも暑さも厳しい国です。

 一方で、足の悪い親を同行してわかりましたが、障害者やそうといえないまでもやや不自由な旅客への対応も必要だと思います。人海戦術で、そういう旅客は片っ端からクルマで別の区域に運んでしまうというのも手ですが、何らかの措置を伴わないオープンスペースでの対応には賛同できません。





■問題点と解決策【2〜〜入国手続】

 今回強く感じたのは運用の問題もあります。たとえば上記で挙げた出入国や税関の件。建物が手狭だったならば、なぜ他の建物を有効活用しないのか。例えば今回の新千歳であれば、国内線ターミナルは国内では有数の設備が整った空港です。一部エリアを区切り、そこで臨時に出入国審査・税関検査をするという手もあったはずです(タイはスワンナブーム空港閉鎖にて代替空港使用の際ホテルで搭乗・出入国手続きをしていたと聞いています)。

 また、出入国検査と税関の人員配置の問題もありましたが、今回のような場合、ダイバート先に緊急に係員を応援派遣するなどの手順をあらかじめ決めておけばいいと思います。民間企業であれば、トラブル発生時の急な休日出勤や時間外勤務など当たり前のことです。

 少なくとも、すぐ集まれる人間を召集し、新千歳や関西・名古屋などダイバート先の空港に派遣すれば良いのです。それでもダメな場合、思い切って日本パスポートを持っている人は簡単な顔パスだけで通してしまうというのはどうでしょう?





■問題点と解決策【3〜〜手荷物】

 手荷物についても国内線のターンテーブルも利用し、場合によっては次の旅行先までそのまま送ってしまうというのも一つの手です。そうすれば、今回起きた再度の国内線搭乗の為の預かり荷物の検査が不要になります。そこまでいかなくても、通関後も荷物を開けていなければ、非常時は乗り継ぎ客については再検査なしで預けることを認めてもいいと思います。

 常時再検査なしだとテロの心配もありますが、非常事態発生の原因がテロでなければテロリストも非常事態発生を狙いテロをしかけることもないと思います。乗継客に限定すれば、テロリストだってテロ以外の非常事態発生を想定して飛行機に乗ることはないでしょうし。

 今回の新千歳でも、イミグレを通過したら、例えば次に予定されていたワシントン線の客を制限区域から出さずバスで護送し、国内線手荷物引き取り場を利用すると。これならば税関職員が 2名ほど国内線エリアに行けばすむ話です。





■まとめ

 有事の際のリタンダンシーの問題はひとつの問題だけ片付ければ良いわけではなく、費用との見合いもありますが、これをきちんとやらず放置しておくと日本の空港自体が他国との競争に負けてしまうと思います。設備の充実・既存設備の運用による活用、人員の有効な活用など是非総合的に考えたいものです。





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