このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

 

 

「結果」だけで「事実」が伝えられない

 

和寒  2004年12月11日

 

 

 東急・小田急・東武の3社が、来年3月に「値上げ」するという。なぜこの時期に値上げするのか、また値上げするというわりには平均値上げ率がひどく中途半端であり、報道に接した時には違和感が伴った。本日東武電車に乗り、車内の公告を見て、ようやく疑問が氷解した。半蔵門線直通化と野田線複線化がそれぞれ完成し、特特制度による積立金取崩と、今後生じる償却増加とを合わせ、不足分の負担を利用者に求める旨が記してあった。

 そのような目で報道を見渡すと、いかにも説明不足であることがわかる。

   毎日新聞
   共同通信

 この2つのニュースは比較的丁寧に背景を説明しているが、説明を簡略にしている新聞記事も見られるし、TVニュースになると値上げするという「結果」しか報じられていない。それでは見る側にはネガティブな印象しか残らないではないか。たったほんの数文字、「積立金取崩と将来の償却負担による不足分を転嫁」と付け足すだけで、「結果」に至るまでの「事実」が見えてくるというのに、それをしないとはどういうことなのか。

 過去には京王の「値下げ」という、信じがたい表現を使った報道もあった。これとて「事実」は、「積立金取崩と償却負担抑制による過剰分の還元」ということなのだ。このような「事実」を的確に伝えられないということは、分析能力の欠如を自ら露呈しているに等しい。

 勿論、利用者にとって「値上げ」「値下げ」という「結果」そのものは変わるものではない。しかしながら、その背景にある「事実」がどのように伝えられるかによって、受ける印象は大きく違ってくるはずだ。恣意的な世論操作ならばまだしも「編集意図」があるわけだが、報道者の分析能力不足によって世論が醸成されていくとすれば、たいへんおそろしいことではある。

 

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