このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

 

 

「災」の歳を顧みて

 

和寒  2004年12月28日

 

 

 「今年の漢字」には「災」が採られたという。確かに、いつもどこかで大災害が起きている一年ではあった。この一年を象徴するかのように、クリスマスが過ぎ大晦日を控えた年の瀬になって、スマトラ島近くで最大級の大地震が起こってしまった。大津波はインド洋をかけめぐり、遠くケニヤに至るなど多くの国に災害をもたらし、死者は既に 2万名を超えたと報じられている(その後の報道によれば死者はさらに増え15万人以上に達したという)。実に痛ましいことだ。

 筆者にとって衝撃だったのは、タイのプーケット島とピピ島も大きな被害を受け、多数の死者を出したということだ。この両島は旅行で訪れたことがあり、たいへんいい雰囲気の島で、夫婦ともどもおおいに気に入ったものだ。特にピピ島には絶海の秘境という趣があり、「隠れ家」のような面白さがあった。いうまでもなく水面がたいへん綺麗で、魚も美しい色のものがたくさんおり、楽しみには事欠かなかった。

 そんな両島が大きな打撃を受けたという。かつて訪れたことがある場所だけに、わが身を虐げられたような心地がする。この地震で亡くなられた方々の御冥福を祈るとともに、被災からの一日も早い立ち直りを祈念してやまない。そして、災害そのものはなくすことができないとしても、災害が起こっても耐えることができる社会をつくっていかなければならないと思う。

 

 さて、本日(12月28日)には上越新幹線越後湯沢−長岡間が復旧・開通した。徐行区間がなお残るとはいえ、不通期間は66日と思いのほか短くすみ、まずは慶賀すべき出来事といえる。なによりも、年末年始の繁忙期に間に合わせた社会的意義はきわめて大きい。

 その一方で、一つの不満をどうしても拭うことができない。新潟県中越地震においては、魚沼・妙見両トンネルの被害が大きかったと報じられているものの、その被害状況の写真が選択的に提供されているとはどういうことか。トンネル内壁が剥落した写真はあっても、トンネルの床が盛り上がった写真はまったく出されていない。

 同震災では調査団が入っているから、いずれ被害状況写真が公表される可能性はあるが、開通に至るまでの期間に提供がなかったために、「どんな被害があってどう復旧されたのか」を充分に知ることができず、一利用者としては一抹の不安を覚えざるをえない。

 今日は情報公開の時代である。まして類例の乏しい事態であるのだから、幅広く情報を提供して衆智を募るべきではなかったか。そう、利用者が不安を覚えるのは、情報がないというよりもむしろ、情報提供側の感覚と態度に対してであるはずなのだから。

 

 

 

 

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