このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

 

 

航空手荷物三題

 

和寒  2005年 1月11日

 

 

 一読して、面白い切り口だと感じました。

 

■自分の個人的体験

 5年前に欧州出張に行った際、向こうで配る手土産(主に菓子)のぶん体積はかなり減ったものの、あちこちから資料(紙だから重い! なにしろ同体積の材木とほぼ同じ重さです)を山ほど貰ってきたため、日が経つにつれて重量が増えるばかり、という経験をしたことがあります。帰りの日航に乗る際の重量チェックでは、リミットの32kgを軽々とオーバー。これは追徴金は免れえないとひそかに覚悟を決めていたところ、どういうわけかお咎めなしで、えらく拍子抜けした覚えがあります。

 同じようなアバウトな運用が今日もありえるかといえば、いささか疑問はあるとしても、会社によって(あるいは時期によって)対応が極端に違うというのは、利用者を戸惑わせるばかりで問題があるといえるでしょう。

 

■国内線でも厳格運用される可能性は高い

 その当時から私には、国内旅行ではキャリーケース一つだけで移動し、これを機内に持ちこむくせがついています。サイズからすれば明らかに反則ながら、到着後の手荷物受け取りを省ける身軽さは捨てがたく、ついやってしまうのです。まあ、眉を顰められてもしかたないところではあります。

 ここで問題なのは、同じように発想する利用者が増えてきたということ。私の実感では、機内に持ちこまれる手荷物のボリュームは明らかに増え続けています。先日も千歳−羽田便でB747の二階席に搭乗したところ、キャリーケースを格納する空間がないためアテンダントに預けました。彼女はいちおう笑顔で受け取りつつも、のちほど後ろの方から、
「またキャリーケースを預かったわよ。今日はいったいなんなのかしら」
 と炸裂しかかった嘆き節が耳に届いたのでした。

 サービス業に携わる企業といえども、所詮は人間の集合体ですから、感情で動く面がないわけではありません。まして現場からの不満が高まり、労務管理上放置するわけにいかなくなれば、ある日突如として、手荷物機内持ちこみ制限の厳格な運用が始める可能性も指摘できます。直感でいえば、その日はさして遠くないと思われます。

 その場合、利用者は自らの不徳が自分にはねかえってくるといっても、唐突な対応変更はさまざまな軋轢を呼びかねません。その意味において、航空各社は今のうちから、手荷物の機内持ちこみ制限について充分なアナウンスを繰り返しておく必要があるでしょう。

 

■あるいは豪州の国民性か

 私にとって最初の外国旅行は豪州だったので、たいへんなつかしく思い出されます。そのなかで今でも強烈な記憶として残っているのは、豪州着陸直前における機内での殺虫剤噴霧です。

 豪州は農業大国であり、害虫の上陸を水際で防ぎたいという発想じたいは理解できます。ただし、そうはいっても、害虫を死滅させるほどの濃度で殺虫剤を噴霧するならば、機内の利用者も無事ではすまないはずです。それが無事ですんでいる以上、殺虫剤噴霧はただの形式にすぎず、つまりは「官僚的対応」そのものであると理解できます。

 豪州といえば広闊な大地という印象があり、鷹揚な人間性という連想がすぐに働きます。ところが現実には、以上のような堅苦しく形式的な「官僚的対応」も散見されるのです。クァンタスが「11月から急にうるさくなった」というのは、あるいは「本家がえり」しただけのことかもしれません。

 もっとも、たとえ厳格で堅苦しい「官僚的対応」であっても、最初からそうとわかっていれば利用者側にも心構えはできるわけで、今までアバウトだった対応が急変したからこそ、Tom様は不快な思いをされたといえます。この件で最も問題なのは、対応を急変させても自ら鷹揚にすませ、利用者への説明を怠っている点にあり、ある意味でものすごく豪州的な一面が垣間見えたのかもしれません。

 ただし、そういう点を除けば、豪州がたいへん魅力的な旅行先であることは間違いありません。私ももう一度行ってみたいものです。

 

 

 

 

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