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魚心あれば水心



和寒  2005年10月 5日





 私が主張したいことはほとんど全てエル・アルコン様とTAKA様に先に記されているので、補強資料のみを掲げます。

 大手私鉄大株主

 上の表は鉄道要覧を基にして作成したもので、大手私鉄の株式保有比率上位5者を表示したものです。金融機関の合従連衡が深度化する以前時点の資料であるため、情報としてもはや古すぎるのは恐縮ですが、それでも表中に挙げられた株主の名を見れば意図は充分に達せられるはずです。

 まさに一目瞭然、生保と金融が上位を独占しており、特に関西私鉄の筆頭者は日本生命の独壇場という観があります。また、西武と相鉄を除き、筆頭者の持株比率は10%台前半でほぼ統一されているという点も特徴です。

 では生保・金融が株式保有上位かといえば、大手私鉄は安定した配当を得るという意味において魅力ある対象だからです。また、歴史的経緯からすればM&Aを防止するという意味もあるのでしょう。ここで、村上ファンドが大多数の株式を獲得したということは、これら大株主のうち誰かが売ったからと類推されます。大量買いというニーズが先行したことは否めないとしても、またタイガース優勝を契機とした市場の思惑が働いたとしても、売った側にとっても「このまま配当株として保有し続けるよりも売却して利益を出した方が得策」との判断が働いたはずであり、詰まるところ配当株としての阪神株に従前の魅力が薄れていたことが推測されるわけです。そして残念ながら、大手私鉄のなかで経営面という観点では、阪神の魅力の乏しさは指摘せざるをえません。少なくとも、経営の工夫という点でのアピールは圧倒的に不足しています。

 仮にこれら上位者が株式を売却していないとしても、鉄道株は(半定期的に仕手の対象となる東急などを除き)相場変動で利益を得る対象にはなりにくいですから、より多くの小口株主が「買い」に飛びついたのだとすれば、状況はさらに深刻といえます。

 村上ファンドの動きに胡乱な点が多いことは確かですが、阪神側にもつけこまれる隙はなかったのか、疑問なしとはいえません。そして、対策はエル・アルコン様が指摘されるとおり、泰然自若と構えることにつきます。鉄道とは、利用者ニーズと社会的要求に応えなければならず、しかも法的規制が多い「実業」であるがゆえに、相応の実力がなければ経営できるものではありません。だからこそ小林一三や五島慶太や根津嘉一郎らは、一方で悪鬼羅刹の如き悪評を受けつつ、トータルでは高い評価を得ているわけです(堤康次郎は敢えて除外)。もっとも「会社存亡の危機」などと簡単に慌てるようでは危なっかしいといわざるをえず、それゆえ阪神は狙われたという穿った見方も成り立ちそうなのですが。





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