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車両更新のドミノ倒し



和寒  2005年12月 4日









 本件の報道に接した時、TAKA様とまったく同じことを思ったのですが、E751系を「白鳥」系統にもってくるべきだという結論までには至りませんでした。やはり、実体験で痛い目に遭うと、発想に違いが出てくるものだと感じた次第です。

 実のところ、JR北海道の特急用車両には、相当年季が入った車両がゴロゴロしています。

  781系電車(経年25年以上)
  183系-0気動車(経年20年以上)
  183系-500気動車(経年20年弱)
  785系電車(経年15年)

 「スーパーホワイトアロー」で活躍する 785系電車でさえ既に登場以来15年が経っていますから、鉄道車両としては曲がり角を曲がり切った車両といえ、そろそろ老朽車の域に達しようとしています。経年わずか10年弱にすぎない 281系気動車でさえ、「スーパー北斗」での酷使がかなり堪えているようで、エンジン換装ほかの大幅更新が施されるという話です。

 そんなJR北海道の特急ラインナップにおいて、新型車両で統一されている系統はといえば、わずかに帯広−釧路間の「スーパーおおぞら」しかありません。あとの系統は全て新旧混在です。「スーパーホワイトアロー」は老朽 781系「ライラック」が補完しています。最速 3時間フラットの「スーパー北斗」の韋駄天ぶりは素晴らしいですが、その一方で 3時間30分以上をかけて走りとおす「北斗」も未だ頑張っているわけです。

 JR北海道最新鋭の 789系は、ちょっと外観が安っぽいところもありますが、性能や内装は素晴らしく、一線級の特急列車といってよいでしょう。しかしながら、その直前の状況はといえば、老朽・鈍足・内装に不備が多く乗り心地に難がある50系客車だったことを思えば、ようやくまともな車両が投入されたにすぎない、と形容することも可能です。

 青函トンネルが開業してから10年以上もの間、JR北海道の代表的路線だというのに、路線の顔ともいえる優等列車はJR東日本の「はつかり」に負んぶに抱っこだったことを考えれば、遅きに失したテコ入れと形容しては酷評でしょうか。現に、青函トンネル開業以来、「白鳥」で盛り返すまで、利用者は減り続けていたという報道があったと記憶しています。鉄道車両は確かに高価なものではありますが、ここまで無策を貫いたのは如何なものか、という思いが私にはあります。

 JR東日本が、高温多湿の青函トンネルで運用される「白鳥」に老朽 485系を今後も充て続けるのは確かに問題ではありますが、東北新幹線が新青森まで延伸されれば余剰車となることは確実であり、新車投入まで求めるのは酷な要求であるように思われます。もし仮に求めるならば、東北新幹線新青森延伸時に他路線に転用できる見通しがないといけないでしょう。

 JR北海道が 789系増備を決めたことは、津軽海峡線へのさらなるテコ入れであると同時に(※)、東北新幹線新青森延伸時、そしてさらに北海道新幹線の開業時に余剰となることを見越し、その際に道央方面に転用し 781系や 785系を置換する意図があるのではと推察します。ということは、 485系以上に老朽劣化の度合いが激しい 781系は少なくともあと 5年程度は現役ということであり、いくら「ライラック」や「すずらん」といった比較的ローカルな特急列車とはいえ、これら利用者は軽く見られているなと感じざるをえません。

   ※ひょっとするとJR東日本 485系の運用を置換する可能性もある。

 そうはいっても、JR各社には投入可能な経営資源に限りがあることは確かであり、どこかで妥協しなければならないとも感じます。本件はかなり極端な事例であり、乗り合わせた利用者は極めて不快かつ不安な思いをされたと拝察しますので、あと 5年程度使うつもりであるならば、せめて故障しないようにメンテナンスしてほしいものだと思います。

 「女房と畳は新しい方がいい」といいますが、現実には女房を新しくし続けることは困難どころかまず不可能です。女房に「新しい方がいい」と面と向かって言おうものなら、とんでもない喧嘩になることは必至です(苦笑)。鉄道車両は女房と畳の中間やや女房よりの存在といえ、導入する(結婚する)のも、置換する(離婚してから別人と再婚する)のも、それぞれかなりハードルが高いといえます。それに対してどう取り組んでいくかが現実世界に生きる知恵なのかなとも思います。





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