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山手トンネル実走記
和寒 2008年 1月26日
※本稿の写真は全て
TAKA様
が平成19(2007)年末に撮影したものです
■初台から
先日都心に行った際、せっかくの機会だからと思い立ち、靖国通から甲州街道を西進、初台ランプから4号線都心方面に上がってみた。料金所通過時刻は12時 5分。空いている日で本線に難なく合流、すぐに西新宿JCTが目の前にやってきた。
西新宿JCT
分岐部は首都高標準の規格といえるが、上り切った曲線部の半径は40mとかなり厳しい。さらに厳しいのは中央環状線本線に合流する下り坂で、長い連続下り 8‰勾配に加えて、上下線が堅固なコンクリート壁で区分されており、恐怖感さえ覚えた区間であった。
連続下り 8‰区間
■山手トンネル区間
本線に合流してから先は、線形が悪さが明瞭である。水平方向・縦断方向とも幾重にも(おそらくレギュレーションの限界近い)曲線が入っており、運転しやすい道路とは到底いえない。しかしながら、制限速度を遵守する限りにおいて、恐怖感を覚えるほどの区間とまではいえない。右側車線では 100km/h超過と思われる車両が追い抜いていくが、この線形でこれほどの高速度を出し怖くないのだろうか。他人事ながら気になる。
曲線が多い山手トンネル本線(この写真は内回り区間)
■最も怖いジャンクション
最も強い恐怖を感じたのが熊野町JCT→板橋JCTである。端から端までの車線変更は、改良前の箱崎や、小菅←→堀切や浜崎橋←→芝浦などで何度も経験があるから、それだけでは決して怖くない。問題は、制限速度遵守を抜きにしても、連続上り急勾配に車線絞りこみを経て速度が落ちた当方に対し、本線(特に右側車線)には制限速度大幅超過でビュンビュンすっ飛ばしている車両がいる一点に尽きる。これはかなり怖い。迂闊に車線変更すると追突されるか、あるいは相手の運転を誤らせそうで、判断が難しい。
熊野町JCT→板橋JCT
板橋JCTから先は何度も通った区間である。飛鳥山トンネルなどは線形が悪くとも、山手トンネルと比べれば延長が知れており、かわいらしいものだ。江北JCTを経て鹿浜橋ランプを通過したのが12時20分。所要時間は実にわずか15分、足立区内から中央道方面に向かう場合、有力な選択肢になると痛感した。
■感想
筆者は上信越道などで延長 4km超のトンネルを走行したことが何度もある。トンネルという閉塞空間そのものへの心理的抵抗が伴うことは否定しないが、走行しやすさとはまた別の概念で、実際のところ長大トンネルで事故が頻発しているわけではない。
山手トンネルは今回開通区間だけでも 6.7kmもあり、線形の悪さは歴然としているから、多くのドライバーに「走りにくい」印象を与えることは確かだろう。率直にいって、楽に走れるトンネルとは決していえない。しかしながら、制限速度を守ってさえいれば、恐怖感を覚えるほど厳しい線形ではないことも確かだ。
中央道・東北道・常磐道・東関道相互を往来する際、都心を経由する必要がなくなり、有力な選択肢が増えた効用は、客観的事実として現に存在する。渋滞しがちな都心を回避できるのは大きく、首都高の使用頻度が高いとはいえない筆者から見てさえ、有用・有効なルートができたと感じられる。従来の鹿浜橋−永福間は首都高経由・環七経由ともほぼ同じ所要時間だったのが、山手トンネル開通により首都高経由の所要時間の方が圧倒的に短くなった。これならば 700円を支払う価値がある。
あとは「走りにくい」と思わせるに足る長いトンネルを如何に巧く使うか、であろう。さらに飛躍すれば、自動車という交通機関を根本から変え、オペレーティング・システムを外部化する限界領域の入口までやってきた、……ようにも思われる。その観点からすれば、山手トンネルとは「時代の画期を超える長いトンネルの入口」なのかもしれない。
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