このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

動く歩道〜無料巡回バス(丸の内シャトル)

丸の内シャトル


これまで無料バスというと,自治体主体のものやショッピングセンター送迎などでみられましたが,後者を除けばどちらかといえば社会実験的な要素が強かったのですが,今回取り上げる無料巡回バス「丸の内シャトル」は沿線企業・施設の協賛により運行する形態ですが,民間主体での本格運行という点は注目すべきものではないかと思います。

この無料巡回バスは日の丸自動車興業が運行しており「丸の内シャトル」の他に「メトロリンク日本橋」「東京ベイシャトル」があります。

丸の内シャトルの路線は東京駅丸の内北口寄りの「三菱信託銀行本店」を起点に大手町〜丸の内〜有楽町エリアを囲む形で反時計回りの周回ルートになっており,停留所は約200m〜400mおきに協賛企業の前など12カ所あります。1周30分で2両で15分ヘッドの運行です。
 

 


「新国際ビル」(右端にポール)


次々と都営バスが通過します。
 丸の内シャトルには「新国際ビ
ル」から乗車することにし,最
寄のJR有楽町駅から歩きました。
副呼称がビックカメラ前になっ
ていたのでその前を通るも,都
営バスの「有楽町」バス停でし
た。
その1ブロック先に丸の内シャ
トルの乗り場はあったのですが,
ポールは歩道ではなく「新国際
ビル」の敷地に置いてあり少し
分かりにくい感じがしました。
カードレールのわずかな隙間が
停留所スペースで,前後の車道
にはカラーコーンが置かれ,バ
ス停と分かるようになっていま
す。
この停留所の場合,前後のブロ
ックに都営バスの「有楽町」
「東京国際フォーラム」のバス
停があり,それらを共用すれば
いいと思うのですが,丸の内シ
ャトルでは停留所がスポンサー
建物の前になっていることや,
「無料」ということで既存バス
と棲み分けを余儀なくされてい
るのでしょうか。
   

やっと到着
 
混み合う車内
   
発時刻の5分くらい前から待っていたのですが,徐々に人が集まり,バスが
到着する頃には10数人になっていました。そして時刻表から遅れること10分
でやってきたのは,ロゴになっている電気バスではなくMAN社製のノンステ
ップバスでした。
乗り込むと,かなりの混みようで平日・昼間という先入観を覆されました。
買物客よりもスーツ姿での利用が目立ち,このエリア内での移動手段として定着していることをうかがわせました。
   

「三菱ビル」 スカイバスも発着
 「三菱ビル」では「スカイバス」の後ろに停車。ちょうど出発時刻らしく,かなりの人が 集まっていました。スカイバスも2階建てオープンバスという目新しさ,1200円,1行程45分という手軽さで人気を呼んでいるようです。
車内もここでかなり入れ替わりましたが,数名が立つ状態が「読売ビル」まで続きました。
   
 
   
車内はプラスチック丸出しでさっぱりとした感じです。その中で,
シートとポールに目が行きました。シートはセパレートタイプで硬めの
座りごごちです。タイヤハウス上は背中合わせで,中扉まではベンチ
シートの組み合わせです。また中扉から後方は2段のステップがあり,
座席がシアター方式で後方になるほど徐々に高くなっています。
 もう一つ,ポールは最近はゴムラバーを巻いたものが多い中,ポール
自体にやすり目のような凸凹がすべり止めになっていますが,デザイン
と実用を兼ねており新鮮に思えました。
 この車両は室内の見た目は味気ない印象ですが,シートなど体が触れ
る部分はしっかりと造り込んであり,ヨーロッパ的な合理性を感じます。
   

ホールドの良いシート
 
秀逸なデザインのポール
   
 
       「パレスホテル」→「第一生命」に至る車窓
         皇居の堀端,東京駅の赤レンガの駅舎など,ちょっとした観光バス気分
   
   

ボディ後部にスポンサー名


スポンサー企業と沿線施設のリーフレット

 
CMが流れている

無料運行だけにスポンサーはど
こ?と気になりますが,ボディ
後部とバス停ポールに企業名が
書いてありますが,バスに乗車
してもそれほど意識するもので
もなく控えめです。
また,車内には中扉向かい側に
企業と沿線施設のリーフレット
が置いてあります。
これとは別に車内には液晶画面
があり,CMを流しています。
また,ボディラッピングすれば
媒体としてかなりの収入になり
そうなものですが,イメージや
景観を重視しているのでしょう
か。
   
   

「三信ビル」→「新国際ビル」
有楽町駅付近
  
   

今回乗車した車両

車両のハード面でも従来のバスとは一線を画しており(特に下記のハイブリッドバスは),これもイメージ
を高める一要素になっているのでは
ないでしょうか。

 

   

ロゴマークにもなっているデザインライン社製ハイブリッドバス
それぞれ専用のカラーリングです。

 
 写真提供(2枚とも):シンコー様

丸の内シャトル
 
メトロリンク日本橋
 
 
乗車してみて,丸の内シャトルは昼間人口の多いエリアを運行しているので,利用が朝夕に偏ることなく効率的な輸送が行われているように思いました。乗客の流動は東京駅を最寄とする三菱ビル〜各停留所 を中心として,他の停留所相互間の利用も思いのほか見受けられました。

無料巡回バスの導入に至る経緯は,東京都内でも再開発などでビジネスエリアも分散傾向で,共に競合関係にあることから,「丸の内」のポテンシャルを高めるツールが必要だったということではないでしょうか。だから,この無料巡回バスは,これまでの路線バスとは異なり,エリア内の短距離移動,どちらかというと動く歩道,あるいはエレベータのような位置づけになるのではないかと思います。
こういうスタイルの公共交通は人口集積の高い地域以外ではなかなか実現が難しいと思われますが,今後どのような波及を見せるか注目です。

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