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編成考察:14系・24系「はまなす」

スハネフ14スハフ14
寝台急行「はまなす」の車両:左が寝台車のスハネフ14、右が座席車のスハフ14。
2012年8月20日 青森駅にて撮影

2015年7月現在でJR線最後の定期の急行であり、且つ客車列車である「はまなす」。 青い車両を機関車が引っ張る姿は旅情を掻き立てるものなのではないでしょうか?

そんな「はまなす」ですが模型の世界では永遠に置いておくことができます。 古くからのNゲージャーには既製品を加工して車両を製作されている方もいらっしゃることでしょう。 2001年にMicroACEから、2007年に同社から改良品(2011年には再生産)が、2013年にKATOとTOMIXから専用品も発売されています。 かく言う私も4度の乗車ですっかり惚れ込み、2014年にTOMIX製を購入しています。

しかしいざ編成を組んでみようと思うとよく分からないことが出てきました。 収録されている車両が各社で異なり、また増結車を繋ごうにもどれをつなげば良いかがぱっと分からないのです。 幸いにしてインターネットが普及したこのご時世、調べれば情報は出てきますが断片的でつながりが見えにくいと感じました。 そこで私がネット上で集めた情報をまとめたものをここに記したいと思います。

当然ですが今も当該の列車が走っている限りは、実際に見に行くのが最良なのは言うまでもありません。

現存の車両

まずは存在している車両から見ていくことにします。 「はまなす」に用いられる車両はJR北海道の札幌運転所に所属しています。 なのでその車両の内訳を見てみましょう。

なお同所の客車のうち「はまなす」に用いられる14系と24系のみを取り上げます。 …と言っても残りは建築限界測定車のオヤ31 32と高速軌道試験車のマヤ34 2008だけですが。 24系には寝台特急「北斗星」に使われていた車両が含まれますが、都合により一緒に扱います。KATOとTOMIXから模型が発売された2013年当時のものを以下に示します。

札幌運転所所属の客車群(14系・24系、2013年版)
系式用途車番備考
※鉄道ファン2013年7月号による
*は保留車、@は特別保全工事施工車
#は2015年4月に札幌貨物ターミナルへ輸送(railf.jpより)
14系客車
オハ14一般座席車504@,511@,531@,535
カーペットカー512@,515@
ドリームカー503,505,507,508,510
スハフ14一般座席車
(車掌室付、発電用エンジン搭載)
501,502,506@,508,509,
551@,555@,556@,557@
550番台はオハフ14からの改造車
500番台が小樽向き、550番台が千歳・苫小牧向き(札幌駅基準)
スハネフ14解放B寝台車
(車掌室付、発電用エンジン搭載)
551,552
24系客車
オハネ24解放B寝台車501,502,503*更衣室設置
オハネフ24解放B寝台車
(簡易車掌室付き)
#501,#502たまに北斗星に入た
はまなすにはまず入らない
オハネ25解放B寝台車11,15
B個室寝台(ソロ)#551,#552北斗星用
B個室寝台(デュエット)#561,#562,#563,#564,#565,#566北斗星用
スハネ25B個室寝台(ソロ)
(シャワー室・ミニロビー付き)
501,#502,#503北斗星用
オハネフ25解放B寝台車
(車掌室付き)
3*,7*,#216*216ははまなすにはほぼ入らない
Bコンパートメント2,#4,#8,#15北斗星用
カニ24電源車502乗車できない

24系のうち確実にはまなすには入らない車両がオハネ25 550・同560・スハネ25・オハネフ25のBコンパートメント仕様・カニ24です。 要は北斗星用の車両ははまなすには使われないと言うことです。 逆に言えばそれ以外は全て使われる可能性があります。 一方の14系ははまなす専用ですので、これが無いと始まらないとも言えるでしょう。

はまなすは現在も定期一往復の運転です。 夜にそれぞれ青森と札幌を出発して翌朝目的地に到着しますから、2編成分の車両が必要になります。 オハ14のカーペットカーとスハネフ14は2両ずつしかありませんから、検査などで離脱している際には別の車両が入ることになります。 【さすがに同じ仕様の車両が同時に検査になることはないと思いますが。】 オハ14のカーペットカーの場合はドリームカーが入るのでしょう。ドリームカーもない場合は一般座席車になると考えられます。 スハネフ14の場合は24系の寝台車だけでは発電用のエンジンがないため、さらにそれを積んでるスハフ14を連結します。 つまり1両に集約している機能を2両に分散させて対処していると言う訳です。 このスハフ14は「電源代用車」と呼ばれ、連結時は基本的には乗車できないようですが、状況に応じては乗れることもあるそうです。

実際の編成

それでは実際にどのような編成になっているかを見ていくことにします。 客車なので多くの電車のような固定編成と言う概念はありませんが、車両の数も種類も少ないだけにだいたい決まった組成になっています。 なお先頭に立つ機関車については考えません。

通常期
←函館青森・札幌→
備考
  • 用途の(指)は指定席、(自)は自由席
  • 対応車番の24:はオハネ24、25:はオハネ25、25':はオハネフ25
号車番号1234567
用途解放B寝台(指)一般座席車(自)カーペットカー(指)ドリームカー(指)一般座席車(自)
車種スハネフ14-55024系B寝台車スハフ14-550オハ14-500スハフ14-500
対応車番551,55224: 501,502,503
25: 11,15
25': 3,7(,216)
551,555,
556,557
512,515503,505,507,
508,510
501,502,506,
508,509

通常期は寝台車2両、カーペットカー1両、ドリームカー2両、一般座席車2両の7連です。 1997年にカーペットカーが連結されてからこの基本構成は変化していないようです。 自由席が3号車と7号車に離れて繋がりますが、組成の都合なのでしょう。 急行「はなます」の編成は2002年11月まで青森での折り返し待機の間合い運用で臨時の快速「海峡」に用いられていたことがあり、その際には寝台車を切り離していたとのこと。 編成端に車掌室付きの車両(つまりスハフ14)が来ないとまずいので、切り離し後すぐに使えるようにスハフがこの位置に入っているのだと私は考えます。 …もうそんな間合い運用はないと思うので、編成を並べ替えても良いような気もしますが。

さて、早速難しいところが出てきました。2号車です。果たしてどれが正しいのか? 答えから言うとどれも正解で、オハネ24・オハネ25・オハネフ25の3車種7両から1両をつなぐことになります。 上にも書いたとおり、オハネフ24がはまなすに入ることはまずなく、オハネフ25 216も北斗星に割り当てられることが多いようです。 逆にオハネ24は更衣室がある関係で連結される確率が高いようです。…が必ずしも連結されているとも限らないみたいです。 5・6号車のドリームカーは5両から2両をつなぐことになります。【これって予備車が常に1両ってことですね。】 また、スハフ14・スハネフ14に搭載されている発電用エンジンは自車を含めて4両に給電することができます。 なので上記編成ではエンジン搭載車が3両で7両に給電しますから、かなり余裕があることが分かります。 北海道では冬季に暖房が故障して使用できないのは死活問題ですから、このようになっていると言われています。 ちなみにですがこのエンジン、結構喧しいです。なので時候の良い場合には寝台車であるスハネフ14のエンジンが止まっていることもあるようです。

次に寝台車が増結された場合を見てみましょう。有名な「増21号車」で、1号車と2号車の間に連結されます。 当列車は寝台の需要が高いらしく、寝台車のみ増結という編成は少なくないようです。

寝台車1両増結パターン
←函館青森・札幌→
備考
  • 用途の(指)は指定席、(自)は自由席
  • 対応車番の24:はオハネ24、25:はオハネ25、25':はオハネフ25
号車番号1増21234567
用途解放B寝台(指)一般座席車(自)カーペットカー(指)ドリームカー(指)一般座席車(自)
車種スハネフ14-55024系B寝台車スハフ14-550オハ14-500スハフ14-500
対応車番551,55224: 501,502,503
25: 11,15
25': 3,7(,216)
551,555,
556,557
512,515503,505,507,
508,510
501,502,506,
508,509

寝台車が3両ですが1号車のスハネフ14は固定。なので24系B寝台車が1両増えるだけです。 さて、7両から2両選ぶとなると並び順を考慮すると7P2= 42通り、組み合わせでも21通りあります。 果たして同じ車種が2両並ぶことはあるのでしょうかというのが次なる疑問です。 …ところがこれが分からないのです。調べてみる限り同車種というのはほぼ皆無でした。 「ほぼ」というのは繋がっているのを見つけたからなのですが、それが2011年の5月末~6月頃の話です。 急行"はまなす"にエンジン代用車連結 という記事がrailfに出ていました。 ここでは寝台車がオハネフ25 3+オハネ24 502+オハネ24 501で確かに3両繋がり、且つオハネ24が2両あります。 しかしそのタイトルにもあるように先に述べた「電源代用車」が連結されているケースなので、これを除外とすると見つけられなかったという訳です。 長くなりましたが、基本的に同車種は2両は繋がないというのが正解のようです。

さらに座席車を2両増結した編成ではどうなるでしょうか?

寝台車1両+座席車2両増結パターン
←函館青森・札幌→
備考
  • 用途の(指)は指定席、(自)は自由席
  • 対応車番の24:はオハネ24、25:はオハネ25、25':はオハネフ25
号車番号1増2123456789
用途解放B寝台(指)一般座席車(自)カーペットカー(指)ドリームカー(指)一般座席車(指)一般座席車(自)
車種スハネフ14-55024系B寝台車スハフ14-550オハ14-500スハフ14-500オハ14-500スハフ14-500
対応車番551,55224: 501,502,503
25: 11,15
25': 3,7(,216)
551,555,
556,557
512,515503,505,507,
508,510
501,502,506,
508,509
504,511,
531,535
501,502,506,
508,509

一般座席車のオハ14と発電用エンジン搭載のスハフ14が増結されました。 10両ならばエンジン3つで賄えますが、余裕を見てスハフが連結されています。 編成としては理に適っているように見え、今までのルール通りだと思います。 しかし…これは編成としての問題ではないのですが…7号車の扱いです。 車両が増えたため、指定席が増えています。その指定席である7号車は何を隠そう一般座席車です。 いつもは自由席に使っている車両がこの度指定席になっているのは他の地域の特急でもあります。 ですが隣の5・6号車と比較すると明らかに見劣りする設備です。 ドリームカーは約150 °まで倒れるリクライニングシートですが、一般座席車は2段階の簡易リクライニングシートなのです。 しかもスハフなので床下で発電用エンジンが唸っています。 つまり、同じ指定席料金を払うにも関わらず設備の室が大きく異なるということです。 お客さんの多いシーズン故に増結しているのですから文句は言えませんし、少なくとも座れる席があるということはありがたいのですが…何とかなってほしいところでもあります。 もし乗車の際に座席指定券が取れたとしても、号車番号によってはあまり良くないケースもあり得る訳です。

それでは最繁忙期、さらに2両増えた12両編成の例を紹介します。これがはまなすの最長編成です。

最繁忙期
←函館青森・札幌→
備考
  • 用途の(指)は指定席、(自)は自由席
  • 対応車番の24:はオハネ24、25:はオハネ25、25':はオハネフ25
号車番号1増21234567891011
用途解放B寝台(指)一般座席車(自)カーペットカー(指)ドリームカー(指)一般座席車(指)一般座席車(自)
車種スハネフ14-55024系B寝台車スハフ14-550オハ14-500スハフ14-500スハフ14-550オハ14-500スハフ14-500
対応車番551,55224: 501,502,503
25: 11,15
25': 3,7(,216)
551,555,
556,557
512,515503,505,507,
508,510
501,502,506,
508,509
551,555,
556,557
504,511,
531,535
501,502,506,
508,509

寝台車3両、指定席車5両、自由席車4両の見事な編成です。昔はこんな混結の夜行急行がそこいら中を走り回ってたと言いますから、時代の移ろいを感じます。 一つ上の10両編成と比べると、スハフ14とオハ14が増えています。やはり電源の余裕を見てか、オハ2両の増結ではありません。 指定席車のうち2両がスハフ14という、言わばハズレの車両です。しかし仮に発電用エンジン未搭載のオハ2両(9・10号車)を指定席にすると、自由席車が散り散りになってややこしいのでしょう。 12両の場合、自由席は3・9~11なので編成端の9~11号車に乗客が多くなり、3号車が比較的空いている…と言うのはどうも幻想のようです。

これまで述べてきた以外の組成もあり得ます。何しろ客車は1両単位で増結できるからです。 なので最短7両・最長12両という制限、カーペットカー1両・ドリームカー2両・寝台車は編成端に最大3両連結すること、そしてスハフ14及びスハネフ14の給電能力を加味した編成ならばあり得ることになります。 電源代用車の他、車両メンテナンスを函館(五稜郭運転所)で行う都合で札幌~函館間に限って回送車を連結することもあります。 また軌道試験車であるマヤ34 2008が連結されていることもあり、編成に色を加えています。

模型ではどうなっているのか?

お待たせしました、それでは模型の話に入ります。 各社から発売されているセットは次のようになっています。 まずは発売の早かったMicroACEから。

MicroACE A5940 14系500番代 急行「はまなす」7両セット
号車番号1234567
車両番号スハネフ14 501オハネ14 ???スハフ14 505オハ14 ???オハ14 ???オハ14 508?スハフ14 509
用途解放B寝台一般座席車カーペットカードリームカー一般座席車

通常期の7連で、寝台車2両、カーペットカー1両、ドリームカー2両、一般座席車2両です。 何分古い製品で、かつ同社から下の改良品が発売されているために収録車両の車番はよく分かりません。 1号車のスハネフ14-500は道内急行用ではまなす専用の車両と言うわけではないみたいです。 2号車も24系ではなく14系が連結されているのは分かりましたが詳細は不明です。 3号車は500番台車ですが、これには違和感がありません。要は発電用エンジンを搭載した座席車ならば構わないのでしょうから。 他の製品と比べると収録車両が異質な気がしますが、冒頭でも述べたとおり発売は2001年。 まだ客車が多数あった頃と考えるとなんとなく合点がいきます。 …なのですがあちらこちらに問題が散逸しているというどうしようもない状況は否定できません。 緩急車の前面の何があったのか分からないと言われるテールライトの位置や、かなり青味の強いクーラーの色など、枚挙に暇がありません。 行き先シールは青森と札幌が収録されており、これについては無難なラインを保っているようです。

上の改良前のはまなすはあくまでもおまけだと思って下さい。次の改良品からが本番です。

MicroACE A5944 14系500番台改良品急行「はまなす」7両セット
号車番号1234567
車両番号スハネフ14 551オハネ24 501スハフ14 555オハ14 515オハ14 510オハ14 508スハフ14 509
用途解放B寝台一般座席車カーペットカードリームカー一般座席車

やはり通常期の7連で、寝台車2両、カーペットカー1両、ドリームカー2両、一般座席車2両の構成は変わりません。 2号車にはオハネ24を持ってきています。 2両しかないスハネフ14は551、カーペットカーには515を当てています。 テールマークシールははまなすの他に海峡などが、行き先シールは札幌と青森の他にやはり海峡が付属してい…るようです。 余談ですがMicroACEからははまなす用の増結セットは発売されていません。

続いてKATO。基本セットが通常期の7連、増結セットは追加の3両です。

KATO 10-1138 寝台急行「はまなす」7両基本セット
号車番号1234567
車両番号スハネフ14 552オハネ25 11スハフ14 557オハ14 515オハ14 508オハ14 510スハフ14 502
用途解放B寝台一般座席車カーペットカードリームカー一般座席車
KATO 10-1139 寝台急行「はまなす」3両増結セット
号車番号増2189
車両番号オハネフ25 3オハ14 531スハフ14 506
用途解放B寝台一般座席車

2号車にはオハネ25を持ってきました。この車種が私が疑問を持ったきっかけでもあります。 2両しかないスハネフ14は552で、MicroACEとは異なる車両を当てています。逆にカーペットカーには同じ515を当てています。 増結セットは増21号車用のオハネフ25と8・9号車用の一般座席車です。これで10連まで組めます。 最長の12連を組む場合には増結セットをもう1つ用意する必要がありますが、この時オハネフ25が1両余る上に10・11号車の車番が被ってしまいます。 この点はKATOユーザーを悩ませつつも楽しませていることでしょう。 余ったオハネフ25を北斗星に編入したり、オハの車番変更をしたりという模型ならではの楽しみ方もできます。 テールマークは変換式で、はまなすの他間合いで就いていた海峡と急行を収録しています。 側面の行き先表示は札幌が印刷済み。青森行きのほか海峡用とサボのシール、そしてジャンパ栓パーツがディティールアップ用に付いています。

最後にTOMIX。こちらは車番がインレタによる選択式になっており、面倒くささと選ぶ楽しみが共存しています。 基本セットはやはり通常期の7連、増結セットは一般座席車のみの4両です。

TOMIX 92856 JR 14-500系客車(はまなす)基本セット
号車番号1234567
車種スハネフ14-550オハネ24-500スハフ14-500オハ14-500オハ14-500オハ14-500スハフ14-500
用途解放B寝台一般座席車カーペットカードリームカー一般座席車
TOMIX 92857 JR 14-500系客車(はまなす)増結セット
号車番号891011
車種スハフ14-500オハ14-500オハ14-500スハフ14-500
用途一般座席車

2号車にはMicroACEと同じオハネ24を持ってきました。 スハネフ14は2両から選べるのですが、551と552では雨樋とエンブレムの位置関係が異なるそうで、TOMIX製品は551とするのが正当のようです。 カーペットカーは2両に差異はないので、MicroACEやKATOと異なる512にすることができます。 スハフ14の550番台が無いように思えますが、500番台とはほとんど差が無いのでインレタによる対応で問題ないでしょう。 増21号車へは単品で別売の北斗星用オハネ25が推奨されていますが、北斗星用のオハネフ25の0番台(と200番)台も単品で発売されているので自由に選べます。 【これが私をさらに混乱させた要因でもあります。】 増結セットは寝台車なしなので北海道内の急行に転用できるため、基本セットより先に売り切れた店も多かったようです。 …のちにKATOからジャストの製品が発売されましたが。 テールマークははまなすのみを収録していますが行き先シールはありません。またディティールアップ用のジャンパ栓パーツが付いています。

最後に

あくまでも自分用にまとめたものを公開しているため、非常に見難くなっていると思います。 ネット上にはもっと見やすいページがあるのかもしれませんが、私は見つけられませんでした。 資料としての価値は無いと思いますが、誰かの役に立てれば幸いです。

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