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九州の玄関口、福岡・博多。
いにしえの大陸貿易の拠点として栄え、九州随一の人口を誇るこの街は、
1975年の山陽新幹線開業以来、新幹線の西の終点として旅人を迎え続け、九州の各都市とを結ぶアクセスの拠点として発展をしてきました。
近年、アジアのゲートウェイとしても整備の進む博多。
2011年3月12日、悲願の九州縦断高速鉄道「九州新幹線」が開通し、山陽新幹線との直通運転を開始します。
開業2週間前の日本最大級の駅ビル「JR HAKATA CITY」のグランドオープンや、住民参加の開通記念CMの撮影など、
開業に向けた盛り上がりは、景気の悪さもドコ吹く風のお祭り騒ぎ。
開業前日の13時前に行われた、航空自衛隊のブルーインパルスによる九州新幹線開業記念のリハーサル飛行には、
昼休みのサラリーマンやOLが殺到。平日にもかかわらず、大博通りでは両脇の歩道だけでなく、中央分離帯にまで人が溢れるほど。
盛り上がりは最高潮になっていました。
ブルーインパルスが博多駅上空を通過した約2時間後。
2011年3月11日14時46分頃。
ご存じの通り、東北地方の太平洋側でM9.0の大地震が発生。
刻刻と伝わってくる現地の惨状、夕方の帰宅時間帯には津波に襲われる三陸各地の映像がニュースで放映され、
1000km以上離れた福岡においても、開業のお祝いムードは、あまりの惨状に言葉を失う状況へと一変しました。
そんな中、福岡の街のあちこちで、即断がなされます。
九州新幹線開業記念イベントの全面中止。
自治体や地元経済団体、そしてJR九州までが決断。
随分長い間をかけて開通にこぎつけた新幹線の開業。入念に入念に盛り上がりを演出してきた一連のイベント。
九州で数十年に一度あるかないかのビックイベントは、その一切が中止されることとなりました。
被災者を想う気持ちがあってこその英断。これを下した方に対しては、ココロから尊敬を感じます。
しかし、そんな状況のままニューフェイスを出迎えるのも少し寂しい気持ちがしていたことも事実。
開業当日の朝、九州を変える一番列車を、そっと見に行ってみました。
(鉄道はサッパリの筆者。誤りなどございます際はご容赦下さい)
*文中におきまして、報道などで御著名やお姿が流れた著名人の方につきましては、写真の加工を行っておりません。
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| 3月12日 AM5:50 博多駅筑紫口 新幹線改札口。
自分と同じく、新幹線の開業を見に来た方々で、若干の賑わいを見せていました。 しかし、人も多くなく、ファンも整然と見学をしており、聞いていた新幹線の開業イベントとは、大きく異なる物静かな雰囲気でした。
電光掲示板には、つばめの文字。 アナウンスは「KAGOSHIMA-CHUO」。 九州は、もうすぐ、あと20分でもっともっと近くなります。 |
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| 一番列車は、新しくできたホームから出発。 以前の掲示では、関係者と乗客以外入場制限がかかるとなっていましたが、想定より見学者が少なかったのか、駅員さんに確認したところ「一番列車のホームに入っていただいて全く問題ありません」とのこと。
両脇が黒いエスカレーターを上がり、ホームに立ってみました。 |
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| 先頭車両付近は関係者がズラリ。 先頭部付近は、プレスだらけ。
決して華やかではありませんでしたが、何か静かにざわめいていました。 |
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| 先頭部を眺めていると、目の前にJR九州の唐池社長が到着。 式典こそ行われないものの、ホームで見送りを行うとのこと。 くすだまも、テープカットも、赤絨毯も、踏み台も全て用意されていない。 ただのホームで、社長自らお見送り。
事前の新聞報道などでも行われていましたが、2代目博多駅の最後の駅長にして、3代目博多駅の初代駅長(101歳)もいらしていました。 唐池社長に案内されて、写真撮影へ。 |
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| プレス向けの写真撮影タイム。 「社長!こっちに目線お願いします!」との掛け声と同時に、沢山のフラッシュが光ります。
他にも関係者の皆様や駅長の方も揃っての記念撮影。 |
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| 博多駅を、九州を支えてきたお二人。
カメラの前で、唐池社長自らご紹介をされました。 |
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| (左)新幹線関連の方も来訪され、カメラが取り囲む中、唐池社長からの紹介とご挨拶。
(右)おもむろに新幹線に手を触れていらっしゃいました。「頑張ってこい!」とでも声をかけていらっしゃるかのような雰囲気でした。 |
賑やかになるホーム。 その一方で、唐池社長のお顔には、緊張感が漂います。
JR九州が威信をかけて完成させた新幹線。 ちゃんと無事に飛び立ってくれるのか。成功を確信しつつも、そんなお気持ちも片隅にあるのでしょうか。 | ||
一番列車 つばめ 鹿児島中央行 出発 | ||
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| AM6:10 一番列車の出発時刻がやってきました。
鳴り響く発車ベル。整列するJR九州の関係者。場の雰囲気が張り詰めます。
そろりとドアが閉まり、静かに新幹線が鹿児島へ動き始めます。 |
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| 唐池社長も、小降りに手を振ってお見送り。
車内にはカメラや、手を振る乗客。
「行ってきます」「行ってらっしゃい」。 |
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| どんどん速度をあげる新幹線。 一所懸命手を振り、エールを送るJRの関係者。
いつの間にか、唐池社長が新幹線に向けて頭を下げていらっしゃいました。 |
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| 唐池社長の前を最後部が通過。
その後ホームから新幹線が見えなくなるまで、南の方向をむつめていらっしゃいました。
どこからともなく起きた、静かな拍手が起きていました。 |
そして、無言の握手。 一言も言葉は聞こえてこずとも、シッカリとした握手。 九州が結ばれ、新幹線が青森から鹿児島まで結ばれた瞬間を象徴する光景でした。
(下)その後唐池社長のプレス向けインタビュー。 ヒーローインタビューのようになっていました。 | ||
祝う人々 | ||
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| 一番列車が出発し、おちつきを取り戻したホーム。
関係者の挨拶や、フラッシュがなりやみませんでした。 |
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| 下の待合室階では、電光掲示板の写真を撮る人達で賑わっていました。
東京行きのぞみの横には、鹿児島行きのさくら。
まさかの光景です。 |
一番列車 つばめ 博多行 到着 〜 二番列車 さくら 鹿児島中央行 入線 | ||
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| 鹿児島行きの「つばめ」が飛び立って30分弱。 筑後船小屋を6時丁度に出発した、九州新幹線の上り第一便が博多駅に到着しました。
大勢の見物客に見守られながらの博多到着。
大きな混乱もなく、スムーズに、無事に博多着となりました。 |
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| 博多発の第二便は速達型の「さくら」。 車庫から回送されてきたようです。
少しづつ夜が明け始めましたが、まだ外は暗いです。 |
つばめ 初乗車 | ||
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| 実は九州新幹線に乗るのはおろか、見るのも初めて!
横から見ると、随分ヘッドライトが切れ長に見ます。 頭部が黒くなっているので、白いテントウムシのような印象を感じました。
しっかり「KYUSHU」生まれであることをアピールするロゴが、あちこちに入っています。 郷土愛が刺激されます(笑) |
ホームの向こうは、東京行きの「のぞみ」。 こちらは熊本行きの「つばめ」。
のぞみに比べると、走行距離も所要時間も両数も、随分短い列車ですが、九州に与えるインパクトの大きさとサービスの良さでは負けていません!
運転席から運転士の方の姿が見えました。 | ||
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| 博多7:35分発、熊本行き「つばめ」。 お隣の新鳥栖まで試し乗りしてみました。
大変な混雑を覚悟していたのですが、 残念ながら乗客は少なめ。 乗った自由席には、一両に10名も乗っていませんでした。
しかし2−2列シートは非常に快適! バスで言うと長距離向けの1−2シート並みと言いましょうか。 座席の間の肘掛けの「贅沢な幅」に注目! |
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| 木目調の落ち着いた車内。 座席も体に見事にフィット。
まるで豪華な図書館にいるような、静かさ&明るさ&快適さでした。
豪華と言われる九州の高速バスにおいても、これに匹敵するものは見あたらないように感じます。 車内については、文句なしです。 |
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| 博多から10数分。トンネルを抜けると新鳥栖到着。 乗る前に軽食を買い込んでいたのですが、必死で食べないといけないほどの、あっと言う間でした。
8両編成対応の簡易ながら、安全性が考慮されたホーム。 決して大規模ではありませんが、よくまとまっており快適でした。 ・・何となく、西鉄電車の花畑駅と似ていませんか・・?
新鳥栖を出発し、久留米へ向かう「つばめ」。 筑後平野の新しい光景です。 |
| 鳥栖駅から西へ数キロ。JR長崎本線と交わるところに、在来線との乗換駅としても開業した新鳥栖駅。 駅前の駐車場の充実ぶりには驚愕。 確かに建物もなく、非常にのどかですが、周辺は駐車場だらけです。
高速道路の要である鳥栖ジャンクションにも近い新鳥栖駅。 観光客の貸切バス乗り換え拠点を目指していると聞きましたが、非常に納得です。
改札口は2ゲートと、本当にこじんまり。 でもムダに大きな物を作るより、コチラの方が遙かに賢い作りだと想います。 | |
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駅前の開業記念イベントは全て中止。 テントやお祭り舞台の設営も全て完了していたようですが、9時を境に早々と撤去が始まりました。
トップページでもご案内していた、 西鉄バスの新幹線アクセス路線、「新鳥栖駅〜鳥栖プレミアムアウトレット線」の運行開始式典も当然中止。
しかし開業初便には、鳥栖営業所の支社長の方を始め、西鉄バスの関係者の方が集まり、見送りをされていらっしゃいました。 同好主の方とおぼしき方々も数名拝見いたしました・・。
この静かながらも賑やかな開業シーンについては、別編でご紹介する予定です。 |
無事に運行が開始された九州新幹線。
圧倒的な速達効果の一方で、運賃面では既存の高速バスと併存する土壌もできつつあるようです。
これから、もっともっと九州が近くなるはず。
九州を変えるニューフェイスは、沢山の沿線住民に見守られながら、静かに飛び始めました。
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