このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
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福岡市の南にあり、新幹線車両基地もある那珂川町。 ここに位置する那珂川営業所から、ひたすら南下し福岡市と佐賀県の県境「佐賀橋」まで行くバスが、2008年3月末まで運行されていました。 那珂川に沿う国道385号線を行く経路でしたが、沿線には筑紫耶馬溪や南畑ダムなど景勝に富んでいました。
またこの佐賀橋から西へ山を登り、福岡市早良区の板屋集落までの定期バスも福岡市の援助を得ながら運行されていました。
佐賀橋の辺境ぶりもさることながら、福岡市内でも最深部に位置するといっても過言ではない限界集落「板屋」。
厳しい道路事情の都合により、同じ福岡市早良区の椎原集落から先の峠道にはバスを通すことが出来ず、公共交通を用いるならば、那珂川町へと大きく迂回して福岡市内へ出る経路を辿らざるを得ませんでした。
この那珂川ローカル線に、廃止前最後の週末に乗ってみました。
*運転士の方の許可を得て、車内からの沿線風景を撮らせていただきました。 *参考:方向幕は当サイト「幕!」のグリーンAに掲載しています。 |
9番 那珂川営業所→市ノ瀬→筑紫耶馬溪→佐賀橋 | ||
以前は福岡市中心部からの直通便が運行されていた佐賀橋。10年ほど前に大橋駅発着に変更され、そののちに那珂川営業所発着に路線短縮。 さらに行き先番号も那珂川幹線62番ではなく、那珂川ローカルの9番となってしまいました。
廃止間際は一日5往復が運行されていました。 | ||
(左)那珂川営業所を出発し、385号線へ曲がる始発便。末期は中型車の固定運用でした。
(右)国道385号線をひたすら南に走る佐賀橋行き。 辺りはのどかな田園風景です。 | ||
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| 沿線半ばの筑紫耶馬溪入口バス停付近を過ぎた辺りから、のどかな田園風景も終わり、山道へと変わります。 辺りは景勝地「筑紫耶馬溪」。決して余裕のある広さではない山道をグングン登っていきます。
なおこの辺りでは鮎がおいしいとか・・。 |
| (左)筑紫耶馬溪を登り切ると、そこは福岡市の水瓶、南畑ダム。 ダムの縁を国道385号線に沿って進みます。
辺りは古ぼけた展望台らしきものや、石碑があるだけで、民家の気配はありません。
(右)工事の関係か、途中突然道が立派になったりも。 |
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| ダムを抜けてしばらく、終点佐賀橋に到着。 那珂川営業所から40分少々の距離。隣はもう佐賀県です。
この先385号線は、坂本峠や最近開通した東脊振トンネルをぬけて神埼・吉野ヶ里方面へと道は続いています(バスは走っていませんが・・)
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佐賀橋→板屋 | ||
| 佐賀橋到着後、運賃を精算して一旦下車。 バスは直ぐに板屋行き(無番)へと変わります。 福岡市の補助金の関係でこんなことをしているとか・・。
進路を西に変えていざ出発。
実はこの周辺、五ヶ山ダムの建設が進んでおり、完成後はこの佐賀橋周辺もダムの底に沈む事になります。 路線の廃止も、ダム建設に伴う立ち退きが進み、乗客が減ってしまったことにあるとか・・。
巨大なはげ山が続きます。 |
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| もはや農道にも近い山道を進みます。 周辺には住宅もなくノンストップ。
UDのエンジン音だけが辺りにこだまします。 |
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交通量が少ない分、道幅がある程度狭くても何とかなるのでしょうか。20分弱の乗車時間中、一回も対向車とすれ違いませんでした。
板屋に近づくと、畑もみられま。 人の手が入っているものをこのような山奥で見るとに、少し安心感を覚えます。 |
| (左)唯一の途中停留所、背振少年自然の家。 宿泊研修施設です。
(右)坂を上ったところが終点の板屋です。 |
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| 到着! 反対側には小さな待合い小屋も設けられています。
那珂川営業所を出たときは雨でしたが、ここまで山を登ると、もやの方がスゴイ。 標高1000メートルの背振山の麓なだけに、このバス停で600メートルほどの標高はあるようです。
(右)乗客を降ろすと、少し離れた展開場まで回送。 | |
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待合い小屋。 質素ながらも、パイプイスやゴミ箱など、最低限のファシリティは揃っています。 中には迷い犬の張り紙が出されていますが、バス廃止後はこの待合室はどうなったのでしょうか。 | ||
板屋→佐賀橋 | ||
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| 10分弱でバスが戻ってきました。 運転士の方のご厚意で、ちょっぴり写真撮影タイム。 廃止を惜しむ同好主数人と一緒に往復です。 |
| 板屋出発。 相変わらずのモヤの中を、バスだけが進んでいきます。
(右)背振少年自然の家付近 |
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| (左)山道を巧みに駆け抜けていきます。
(右)居ました!沿線から写真撮影をされる同好主。 辺りはとにかく山!車で来られた気配もないようでしたが、無事に下山されたのでしょうか。その根性と粘り強さは見習わなくてはなりません(笑) |
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バス1台がやっと通れるような山道を、 来たときとは逆に下り坂で進んでいきます。 |
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| 木々をぬけると、五ヶ山ダム建設現場。 計画段階より数々の批判もあった建設工事のようですが、大雨で度々決壊の危機が来る那珂川と沿線住民の命には替えられなかったのでしょうか。
(右)ダム建設後のバイパス道路の橋梁も見えます。 |
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| 無惨なはげ山を見ながら佐賀橋到着。 ここでも一旦運賃を精算して下車。 すぐに那珂川営業所行きとして乗車します。
バス停も苔生しています。 |
9番 佐賀橋→筑紫耶馬溪→市ノ瀬→那珂川営業所 | ||
佐賀橋を出た那珂川営業所行き。
(左)ダムの手前のバス停で同行の主と思われるお二人が下車。 辺りは更地と山々になっています。 工事が進む前は。結構な集落があったとか・・。
(右)ダムを望みながら、へばりつくような国道を通ります。 | ||
(左)ダムの脇道。いまにも土砂崩れが起こりそう。 この道を、かつては大型車が天神方面より運行していたとのこと。
(右)景勝地、筑紫耶馬溪を駆け下ります。 | ||
筑紫耶馬溪付近にあるトンネル。 大型車の離合は難しそうです。
耶馬溪を降りると、電力会社の発電所と集落がある「筑紫耶馬溪入口」バス停。
以前はここで折り返す便も若干ありました。 | ||
もう少し下ると、現在の最南端「市ノ瀬」。 まとまった集落があります。
市ノ瀬には現地出退勤(現在は不明)の小さな車庫も併設。かつては天神方面や急行便も発着していましたが、現在は朝夕以外は大橋駅発着しかありません。
少し前には、廃止対象にも挙げられてしまいました。 | ||
那珂川町街に戻ってきました。 (右)右はあの南畑ダムから流れ出た那珂川。 数年前の大雨では周囲を水浸しにし、那珂川町内全域に避難を促すニュースも流れました。
その時は那珂川営業所もご多分に漏れずとのことで、同営業所管内のバスが、数時間に渡り全便運休となりました。
南畑ダムの水位が溢れる直前で、雨がやみ、最悪の事態は避けられたようです。 | ||
気が付けば車内は自分たち以外は無人。 支線の割りには比較的長い距離を走るだけに、とても残念です。
終点の那珂川営業所に到着。 結局乗り通したのは自分達だけでした。 |
福岡都市圏路線の中で、最も辺境とも言われていた「佐賀橋」、そして「板屋」。
バス路線が廃止されただけでなく、このバスが走っていた道さえも、
新しくできるダムの底に沈もうとしています。
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