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2011年1月29日、福岡市や西鉄等が協同で、福岡外環状道路を経由する社会実験バスの運行を始めました。
運行区間は、福岡市の南の副都心大橋から、福大病院まで(下図参照)。
向新町〜西片江一丁目で福岡外環状道路を経由し、かつ野多目〜堤間は新路線。
加えて停留所も若干絞り込まれ、急行運転となっています。
福岡市内の公共交通機関は、対天神・対博多駅中心の都心直通がメイン。
郊外同士を放射状に移動しようとすると、思わぬ遠回りを強いられたり、時間面で「天神経由の方が結局早い」なんてことを経験された方も少なくはないのはないでしょうか。
また道路環境においても、福岡市西南部は軌道系交通機関もない上に、片側1車線道路がほとんど。
良好な住環境が整っている反面、その不便さから「陸の孤島」と呼ばれていた地域でした。
そこに風穴を開けたのが、福岡外環状道路と、その上を走る都市高速5号線。
片側2車線で信号も少ない快適な道路です(現在井尻付近で引き続き工事中。都市高速5号線も野芥〜石丸間は工事中)
その外環状線を利用し、南区と城南区を放射状に結ぶ路線が、この700番(位置関係は、下左図参照)。
沿線には、九州ガンセンター・福大病院・長尾病院・さくら病院など数々の病院が位置し、
福岡自動車免許試験場・南区役所・福岡大学・九州大学大橋キャンパスなど数々の公共施設・文教施設も立地。
沿線は福岡市内でも有数の住宅街が立ち並び、
加えて起終点は、天神まで西鉄電車で6分(急行利用)のターミナル駅大橋駅と、西区橋本や城南区役所へのアクセスも便利な地下鉄七隈線福大前駅(福大病院に隣接)。
・・以前から、外環状線開通時には小型バスでの路線新設という話がプレスに掲載された事がしばしばありましたが、
この度社会実験というカタチで、ようやく実現し、運行を開始しました。
・・なお趣味的に見ても、大橋駅周辺での西行きのみ高宮通りの新道経由(上右図参照・大橋行きは従来の経路を走行)、西片江一丁目での13番専用バス停への停車等、
細かなサプライズも織り込まれた路線です。
その運行開始初日の様子を見てきました。
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平成23年1月29日 AM 7:15 大橋駅
土曜日と言うこともあり、人もまばらな大橋駅東口バスロータリー。 天候は曇りで寒気も強まる、あいにくの運行開始日となりました。 | |
第 一 便 | ||
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| AM7:18 大橋駅 初便到着。 ほぼ定刻で福大病院→大橋駅の第一便が大橋駅に到着。 急行700番の表示も誇らしげ。 西鉄バスの行き先番号の中では、最高値です。
乗客は10名弱。そのうち3分の1程度は、同好主のようにお見受けしました。
車は片江営業所所属の2001号車。 |
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| 駅ロータリーの待機所にて時間待ち。
通常の待機中であれば、LED表示は消されるはずなのですが、開業初便であるためか、数人のファンが写真を撮っていたためか、LEDを付けっぱなしで待機して頂きました。
700番というインフレ番号。 大橋駅前で待機する片江営業所のバス。 経由地の外環状道路の文字。
どれをとっても新鮮です。 |
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| 開業初便を狙うファンの方も数人集まっていらっしゃいました。
いくらファンとはいえ、通常の路線バスではなかなか見られない光景(高速バスの運行初便ならよく見受けられる光景ですが)。それだけ注目度や期待度が高いということでしょうか。
(下写真) AM 7:28 福大病院行き初便 定刻より少し早めに、待機所の前にあるバス乗り場へ到着。 初便の発車を待ちます。
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| 大橋駅を出発後、今まで路線バスが通ったことのない経路で向新町へ行きます。
(左)大橋駅前を左折後(通常の向新町方面行きは右折)、南区役所交差点を再び左折。 ここから三宅本町で385号線に合流するまでの間は、ノンストップながら新路線となります。
(中)西鉄天神大牟田線のガードをくぐる運行初便。 |
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| その後すぎに、南区役所入口交差点(高宮通りとの交差点)を左折。最近開通した高宮通りの新道へと進路を変えます。
・・運行開始初便の、高宮通りを走る光景を写真に納めたく、駅で写真を撮った後、先回りしてここで待機。
高宮通りへの信号待ちをする初便。 野間四角以南の高宮通りを走るバスは、旧50番の廃止後、約20年(?)以来のことです。
いつも方向幕販売会でお世話になっている同好主の方から、車窓越しに手を振って頂きました(笑) |
第 二 便 | ||
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| 次の便は30分後。 土曜日の朝のラッシュの中、急行700番の福大病院発2便目が大橋駅に姿を現しました。
車は片江営業所所属の2002号車。 残念ながら、乗客は一人だけ・・。
(写真下) 大橋駅には700番運行開始の大きな看板が取り付けられていました。 バス停のバスナビの画面にも700番の文字。下のお知らせの欄にも、700番が運行を開始した旨の案内がスクロールしています。 |
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2便目は南区役所入口交差点にて、別アングルから狙ってみました。 運がよいことに車も少なく、スッキリとした写真を撮ることが出来ました。大橋駅の西口側を走る西鉄バス。とても新鮮・・というよりも、見慣れない光景です。
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第 三 便 | ||
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| 三便目も30分後。 車は片江営業所の2003号車。・・連番ですね。 朝の那珂川方面から次々に運行される62番や47番に混じっての到着です。
(左)南区役所入り口交差点から、少し南に下った場所より撮影。 この道を定期の路線バスが走るとは。何とも不思議な光景です。
・・この後、九州ガンセンターまで散歩してみました。
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沿線風景(九州がんセンター) | ||
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| 外環状線から、野多目バス停へと右折する700番。 ・・この光景を見るまで、野多目バス停には止まらないモノと思いこんでいました。
九州ガンセンター構内のバス停に停車します。 48番や61番と共に、上り下り双方向共に停車するため、結構な運行本数があるように見えます。
*大橋駅の朝の一部便は、ガンセンター構内には入りません。
ただ通院や見舞いの方々にとっては、非常に便利な路線となるのではないでしょうか。 |
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沿線風景(西片江一丁目付近) | ||
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| ここ最近まで「長野町」を名乗っていた西片江一丁目バス停。
通常の福大病院方面や片江営業所・堤方面行きのバス停ではなく、これも4年程前に路線延長された13番の専用バス停に停車します。 (南片江で左折し、旧道を経由する既存路線のコースではなく、南片江からも外環状道路を経由します)
・・病院までの距離は確かに近いのですが、 信号との位置関係や道路幅の狭さから、渋滞の原因になりそうなバス停位置です・・。 |
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| (左)福岡大学の南側を通過する700番の大橋駅行き。 奥に見える福大病院を出た後は、病院南口を経由せずに、そのまま西片江1丁目へと向かいます。
(中)右手に福大トンネル出た福岡都市高速道路を見ながら坂を下る700番。 この交差点の先が西片江一丁目です。 |
沿線風景(福大病院・出発式前) | ||
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| 10時40分から出発式があるということで、福大病院終点へ行ってみました。 今年の1月4日からバス停が新病棟前に移設されたとバス停の掲示を見てはいましたが、こんな綺麗な建物が出来ているとは驚きました!
まるで空港のターミナルを思わせるかのような作り。 筆者在学中は、陸上のグラウンドだった場所ですが・・。 |
AM 10:20過ぎ 若干遅れて700番の福大病院行き2002号車が到着。
10名程度の乗客が乗車中。 都心直通以外の路線については、あまり乗客が乗らない福岡地区・・なんてイメージを持っていましたが、運行開始初日の午前中からこの乗り具合。
この新路線がさらに周知され、沿線住民の生活パターンに組み込まれるようになれば・・。 想像以上に、未来有望なアタリ路線かもしれません。 | ||
本来であれば片江営業所まで回送・待機となるようですが、この後の出発式の車となるということで、病院バス停でそのまま待機となりました。
なお運行車両の側面には、社会実験実施中の部分ラッピング。 後方は、社会実験中に付きバス停車注意!の看板が掲げられています。 | ||
その間にも、10:41発の大橋駅行き700番が到着。 車は片江営業所所属の2005号車。
通院客と思われる客層数人を載せ出発していきました。 | ||
(左)マスコミも取材に訪れていました。 テレビ局は2社が来訪。
(右)地下鉄七隈線開業後も、多数の天神・博多駅直通便や片江営業所行き、早良方面の路線が発着する福大病院。 ・・出発式の待機車輌で、2台あるバス発着スペースのうち1台が潰れているため、西鉄の係の方が現場に付きっきりで、押し寄せるバスを巧みに裁いていらっしゃいました。
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沿線風景(福大病院・出発式テープカット) | ||
10時50分すぎ。 福大病院病棟の東側で行われていた式典が終わり、いよいよ出発式とテープカットの準備。
西鉄関係者のみならず、市・国・福岡大学・関係団体など結構な数の方々がお集まりでした。
西鉄バスでも時折、新路線での出発式は行われているようですが、ここまで参加者の多い式は珍しいのではないでしょうか。
バスの前にテープが整えられれました。 | ||
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関係者である、西鉄・国・市・大学病院・関係団体など来賓6名によるテープカット。順にお名前が読み上げられ、手袋とはさみが手渡されます。
(左)報道関係者のための撮影タイム。目線を頂戴しております。
(下左)カメラも注目するテープカット。 司会者の「どうぞ!」の掛け声と共に・・
(下右)見事テープがカットされました。
*このシーンにつきましては、画像の加工を行っておりません | ||
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円満なテープカットから、バスの出発までは10分弱。 人手が引く気配はありません。 活気に満ち溢れているバス乗り場。
関係者の方々での挨拶等も絶えません。 | ||
(左)大勢の方に見守られる700番。 この実験の成功を、誰もが無言で祈っているかのような時間でした。
(右)後方には福大病院止めの700番が到着。 700番が縦に2台並びました。
(下)沢山の乗客、来賓、関係者が見守る中、バスの出発時間は、一刻一刻と近づきます。 | ||
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AM11:11 福大病院発大橋駅行き。西鉄片江自動車営業所 所長様より出発の号令。 拍手に見送られながら、ゆっくりと福大病院を跡にしていきました。 | ||
夜の最終便 | ||
PM9:48 夜の最終便が大橋駅に到着。 数名の乗客が乗っていました。 | ||
休日の夜ともなると、那珂川・弥永方面行き以外は大きく乗客が減る大橋駅発着便。 700番も土日は夜21時台まで運行されていますが、この時間帯まで乗客が定着するのか、いささかの不安もあります。
(下)最終便の21時56分発福大病院行き。 乗客は一人だけでした。
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夜の南区役所入口交差点を左折し、高宮通りへと入る最終便。 向新町以遠まで乗客がいると良いのですが・・。 |
正式運行ではなく、社会実験で暫定的に運行される急行700番。
しかしながら朝から夜まで30分間隔の急行運転、そして市政便りやバス停や、沿線の複数の営業所のバス広告が張り出されるなど、
力の入れ具合に主宰者の本気を感じます。
病院を結ぶ通院客の足以外にも、地元住民の足として定着するのか。
これは地域の高齢化に直面する自治体だけでなく、
補助金に頼らない事業の構築が「必要なはず」の、バス事業者の課題でもあるはず。
そして何よりも、公共交通に対する住民の意識も問われています。
『・・誰かが何とかしてくれる』
なんて受動的な考えでは、そのものが潰れてしまう社会実験。
衰退を続ける都心周辺部での公共交通機関の活性化の実例として、
3月以降も存続できる結果が残ることを、沿線関係者の一人として祈っています。
注)一部の画像には、プライバシー保護のため、画像に加工をさせて頂いております。
注)出発式のテープカットにつきましては、他のメディアに掲載される可能性が十分考えられる光景であること、また公人の立ち位置をお持ちの方がいらっしゃることから、画像への加工を行っておりません。
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