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西鉄バスの廃車

 

 

 

西鉄バス写真集 「廃車の美学」 去りゆく最期の顔を見つめる


西鉄バス5111

 

華々しく新型車がデビューする先、

必ず迎える最期の時。

「廃車」。

 

 

走り続けた街との今生の別れ。

 

混雑した朝のラッシュ。

買い物客や高齢者の生活を支えた昼下がり。

超満員で走った休日のイベント臨時。

青春の詰まった学生たちの帰り道。

家路を急ぐもやわらかい雰囲気の夕方ラッシュ。

疲労と酔客を乗せて今日の最後まで走り続けた深夜便。

 

幾千の役目を果たし、誰にも知られず街を去る。

もう舞台は無い。現実を前に凛と佇む美しさ。

最後の姿を記録しました。

 

 

★撮影に当たり、営業所への見学許可、および車内への立ち入る場合はそれに対する許可を得ています。

西鉄バス2823

 

西鉄バスの廃車

 

西鉄バス宇美営業所、ハンペン

 

西鉄路線バスの寿命は、昔は15年程度、

今は20年弱が目安。

2014年現在、58MCの退役が急激なペースで進んでいます。

 

(写真上)宇美営業所/2823号車(1993年式)

 新製から廃車まで、宇美地区を担当し続けた生え抜きの車でした。

 

 

 

1990年代後半に宇美営業所で撮影。

「ハンペン」こと西工53MCと、58MC初期の「銀サッシ二段窓」が肩を並べて最期の時を待っています。

 

・宇美営業所/3748号車(1983年式)

 最後は教習車で走っていました。

 

・原営業所/1859or1864号車?(1984年式)

 かん高いエンジン音が特徴のいすゞCJM。晩年は二日市発着の路線で活躍していた車です。

西鉄バス、銀サッシ、宇美営業所

 

・原営業所/1864号車?(1984年式)

 営業所の駐車場に留置中のいすゞCJM。

 抜き取られた方向幕と、力なく開いたままの扉が、

 この車の運命を物語っています。

 

 左側の3929号車(1985年式)も、

 どうやら廃車の模様。

 わずか1歳違いながら、モデルチェンジのため

 印象は大きく異なります。

早良営業所、西鉄バス

 

・早良営業所/3888号車・3886号車(1983年式)

 和白営業所に大量配置されていた、

 21番志賀島線用の58MC初期の豪華仕様車。

 見かけこそ赤バスですが、車内は急行仕様でした。

 

 末期に短期間だけ早良に転属。

 そのまま廃車を迎えました。

愛宕浜営業所、バス廃車

 

・愛宕浜営業所 左から

 ・8565号車(1991年式)

 ・8562号車(1991年式)

 ・8708号車(1992年式)

 

 いずれも城南線経由の路線などで活躍した、

 日野58MCの中堅大型路線車。

 純正路線バスのデビューにより、

 続々と廃車が進みました。

 

赤間急行、西鉄バス

 

 

・廃車の車内。現役車両に無い寂しさ。

 屋根からの運賃表や、運転席横の運賃箱。

 運転席周辺の機材は既に取られています。

 

 赤間急行専用車として活躍したE型。

 赤間営業所/8818号車(1993年式)

西鉄バスE型

 

 

同車の側面。

宗像から天神までの中距離輸送用に、

採用されたスタンダートデッカーのトップドア。

 

残念ながら、全車姿を消しました。

 

月の浦営業所4600

 

 

ナンバーを切られ、営業所の隅に留置される廃車群。

全て月の浦営業所で、住宅地対西鉄電車駅輸送を

担っていた車輛です。

 

・4600号車(4600号車)

・8921号車(1994年式)

・8920号車(1994年式)

 

中型車の寿命は、大型車よりやや短めです。

廃車の西鉄バス

 

・金武営業所/2591号車(1991年式)の車内。

 

廃品モケットと一緒に処分待ちか?

整理券発券機などの機械も全て撤去されています。

58MC運転席

 

 

 

ふそうの運転席。

運行に必要な電子機器類は撤去され、

あとは廃車回送に向け走行に必要な機材のみ・・。

筑豊特急の西鉄バス

 

 

高速車の廃車。

 

・田川営業所/4911号車(1994年式)。

 新製当時から、福岡と飯塚・田川を結ぶ

 「筑豊特急」で活躍し続けた生え抜きのS型。

 

 一見、今から走りだしそうな外観ではありますが、

 後方の方向幕は撤去済み。

西鉄S型高速車の廃車

 

たそがれの4911号車。

 

ほんの少し前までは、西鉄の「顔」だったS型高速車。

 

県内の高速路線では、急激に数を減らしています。

冷水特急、S型旧グリル

 

・久留米営業所/8461号車(1990年式)

 懐かしいS型旧グリルの車ですが、

 側面固定窓+3列シートの豪華仕様です

 

 まだナンバーは切られていませんが、

 廃車待ちの定位置に止められた姿。

 

 新製当時は、福岡−佐世保間の高速車として

 活躍していましたが、同路線の4列シート化等により、

 晩年は久留米−飯塚の都市間特急バス「冷水特急」で

 活躍していました。

フェニックス号

 

 

長距離用のフラッグシップにも、

廃車の時は訪れます。

2008年、フェニックス号(福岡−宮崎)の新旧交代。

 

 

・福岡高速営業所/3129号車(1996年式)

 フェニックス号専用カラーのSD—Ⅰ。

・福岡高速営業所/9912号車(2008年式)

 

福岡高速営業所の最奥部の駐車スペースには、

廃車か、廃車待ちの車が泊まっていることが

多いようです。

ムーンライト号、西鉄バス3135

 

 

上記で紹介した、福岡高速の駐車スペース。

2014年夏には、ナンバーを切られたムーンライト色が

駐車。

 

・3135号車(1996年式)

 

幕を抜かれ、ナンバーを切られた姿。

エアもだいぶ抜け気味のようで、

車高が落ちています。

 

同カラーも、完全引退まで秒読みです・・。

伊田営業所、西鉄バス

 

 

昔の営業所が、そのまま留置車・廃車置き場に。

 

田川市の西鉄伊田営業所跡地。

未舗装の敷地には、用途の無くなったバスが、

一時的に留置されていることがあります。

 

営業所自体も退役しましたが、

細々と活用されています。

西鉄バス、脇山営業所

 

福岡市早良区の脇山営業所跡地。

 

四箇田団地・金武営業所・脇山営業所・・。

福岡地区には、大量に車輛を置き換える時期に、

一時的に廃車を集結させる場所がありました。

 

各地から集められてた退役車輛が、

旅立ちの時を待っています。

 

 

・宇美営業所/4807号車(1993年式)

・宇美(早見)営業所/5000号車(1995年式)

・宇美営業所/2817号車(1993年式)

・鳥栖営業所/2632号車(1992年式)

・鳥栖営業所/2653号車(1992年式)

 

 

現在は、西鉄の太陽光発電施設が建設されたため、

脇山に廃車が集結することは無くなりました。

西鉄バスの廃車

 

 

こうしてみると、ただ営業所の隅に

集められただけのように見えます・・。

油山、西鉄バス

 

 

油山と背振山に囲まれた丘陵地帯。

 

のどかな雰囲気の中、明日・明後日かもしれない

 

最期の日を待っています。

西鉄バス、バックミラー

 

 

毎日活躍していたはずが、

 

いつの間にか老体に。

西鉄バスの廃車

 

 

永遠に走り続ける車なんて、

 

存在しないことは分かっています。

 

バスとはいえ、大きな機械。

 

寿命が来れば代替される存在なのは、当たり前のこと。

 

 

西鉄バスの哀愁

 

 

バス停を見る横目。

 

「まだ走れる」

 

仮にそう思っていても、叶わぬ夢。

西鉄バスの画像

 

 

廃車が辿る道。

 

西鉄バスの場合、

海外輸出、現地で第二の人生を歩む車もある一方、

 

県内の自動車解体場で、多くのバスが

「鉄」や「資源」のかたまりに還されています。

 

 

 

ただの車。ただの機械。ただの物。

 

そこに愛着を感じ、一台一台の個性を見抜き、

想いとあこがれを抱くからこそ、

この趣味は楽しく、また別れも悲しくなるものです。

 

 

凛と去りゆく愛車達に、栄光あれ。

 

 

 

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