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F-501 TVCM
F-501 TVCM

これは凄い。ニコンもこの時代になってやっとカメラの売り方が分かってきた模様。当時ガキんちょのおいらもこのCMにはシビれますた(死語)。

F-501のCM。若い人にカメラ買ってもらいたくてナウい(死語)カンジに仕上げたのは分かるんだけど、これはないんじゃないの・・・・・

事実上ニコン初のAFモビルスーツとして登場したF-501だったが、AFを搭載した一眼レフが本当に売れるのか探る実験機としての意味合いが強く、AFセンサーには米国ハネウェル社(現在の主流である位相差検知式のAF技術を開発した会社)のTCLセンサーが使用されており、CCDセンサーの画素数が48画素(ミノルタα-7000は128画素)しか無く、AFの精度は低く、性能も鬼低い。またファインダ内には絞り値が表示されない(露出の設定はLED表示の追針式で行う)。ファインダの出来も相当悪く、メガネ使用者はツライ。シャッターボタンも電磁シャッターのわりにストロークが無意味に長く感触も良くない(機械シャッターのNewFM2の方が100倍マシ)など、かなり中途半端な機種だった。

一方、前年に登場していたミノルタα-7000のバカ売れにより、カメラメーカー各社の名だたる名機は次々と生産中止に追い込まれ、α-7000の発売後たったの1、2年で各社のラインナップがAFカメラに様変わりした。これが世に言う『αショック』である。このαショックの影響でニコンでは「FA」や「FE2」といったマニア垂涎の名機たちが生産中止となった。

ニコン初のAF機として登場したはずのF-501もまたαショックに巻き込まれ、1988年に「F-801」が登場したのを見届けると、脚光を浴びることもなく2年足らずで姿を消した。従ってF-501は数が少なく、中古市場で見かけることも少ないが、人気もないのでモノがあれば数千円で手に入れることができる。


αショックによってAF一眼レフの方向性が定まり(つまりAFを搭載し液晶表示で徹底的に自動化したカメラを作れば売れるのだということが判明した)、一眼レフ市場は活気を取り戻した。ニコンでは1988年登場の世界初の1/8000秒高速シャッターを搭載した「F-801」がバカ売れしたという。

余談だがこのF-801のCMが頭の上の乗ったリンゴをブーメランで切り裂く瞬間を連写するカッコイイもので、当時小学3年だったおいらは子供ながらに大変衝撃を受けたのを覚えている。

これまでのあらすじ

 宇宙世紀1980年代初頭、各社のモビルスーツは売れない時代が続いていた。この時代には半導体の価格が下がる一方で性能は大幅に良くなり、小型化、低消費電力化が進み、家電製品に半導体が搭載されて自動化が進んだ。コンパクトカメラの自動化も急速に進み、一眼レフより一足先にオートフォーカス(赤外アクティブ式)が実用化、モータードライブが内蔵されフィルムの巻き上げも自動化、プログラムAEの登場で露出も自動化、挙げ句の果てにはフラッシュまで内蔵して、シャッターを押すだけで誰でもきれいな写真が撮れる『バカチョンカメラ』が登場し、値段が高くて重く自動化も遅れていた一眼レフは時代遅れとなりつつあったのだ。

 そこでカメラメーカー各社はAFを搭載し自動化された新型モビルスーツの開発を急ぐことになる。先陣を切ったのは 大阪民国 のミノルタだった。1985年に『ミノルタα-7000』が事実上世界初のAF一眼レフとして登場、バカ売れして『αショック』と呼ばれた。

  大阪民国 に遅れること1年、トウホグ勢のニコンからもAF一眼レフが登場した。F-501である。しかし、『質実剛健』『安全確実』『食堂死守(kwskはトウホグ大に聞いて下さい)というトウホグ人の理想を設計に反映させすぎたため、質実剛健で頑丈なボディは大きく重く、安全確実にピントを合わせるのでAFは遅く、ちょっとでも危うい時はすぐ合焦不能のサインを表示するようになっていた。また食堂死守の理念を体現するために極めて保守的なデザインでイモ臭く、近未来的な感じがしないので、まったく売れないのであった。

電源は単3電池4本。このため、ガワはプラスチックでも内部骨格が金属製の重いカメラがますます重くなる。3倍ズームを付けて1.24kgでは非常に重く(プロ御用達のF4に匹敵するほど重い)、これと旅行などに持って行こうとはとてもじゃないけど思わない。

昔の人は大変な思いをして写真を撮ってたものだ。

このカメラは兄弟機のF-301と共に、ニコンの一眼レフで初めてオートローディングを搭載した。フィルムをカメラに入れて先端部を引き出し、右下の赤いマークに合わせて裏ブタを閉じる。そしてシャッターを切ると自動的にシャッターが4回切れてフィルムが巻き上げられ、フィルムが1コマ目まで送られる。

また、DXコード(フィルム感度の自動設定)にも対応、フィルムのパトローネが入る部分にDXコード読み取り用のピンが付いているのが分かる。

操作は昔ながらのアナログダイヤル式である。

露出の切り替えはシャッターダイヤルで行い、緑色の「A」に回すと絞り優先AE、オレンジ色「P」「PH(高速プログラム)」「PD(デュアルプログラム)」がプログラムAE、それ以外の数字の部分がマニュアル露出となる。シャッター優先AEはない。

また測光は中央部重点測光で全てカメラまかせとはいかない。経験とカンによる露出補正が欠かせない。

ワインダーを内蔵してフィルムの巻き上げは自動だが、巻き戻しは手動で、巻き戻しクランクをくるくると巻いて行う。巻き上げ速度はMF時最大2.5コマ/秒、AF時最大1.8コマ/秒であくまで巻き上げが自動というだけ(連写してみると本当に遅い)。

◇AFカップリング 

AFでレンズを駆動する動力を伝えるシャフト。先端がドライバー状で、レンズ側のカップリングと連結する。



◇レンズ着脱ロックピン

レンズが不用意に回って外れないようにロックするピン。このピンがレンズ側のレンズ位置決め溝に入りレンズが回らないよう押さえている。レンズ着脱ボタンを押すとこのピンが引っ込み、レンズが外れるようになる。

◇絞り連動レバー

レンズの絞りを動かすレバー。
ニッコールレンズは取り外した状態ではスプリングの力で絞りは絞られた状態になっている。レンズをカメラに装着すると、このレバーがレンズ側の絞り連動レバーを押し上げ、絞りは開放の状態になる。

シャッターを切るとこのレバーは下へ下がり、レンズ側の絞り連動レバーもスプリングの力で追いかけ、あらかじめ設定された絞り段数で止まり、レンズは絞られる。シャッターが切れ終わると再びこのレバーは上に上がってレンズ側の絞り連動レバーを再び押し上げ、レンズは絞り開放の状態に戻る。

◇レンズ焦点距離識別レバー

Ai-sニッコールレンズのうち、焦点距離が135mmを超える望遠レンズには、「焦点距離識別リッジ」という出っ張りが付いている。

135mmを超えるAi-sニッコールレンズを装着すると焦点距離識別リッジによってこのレバーが押し込まれる。

カメラはこれによって望遠レンズが装着されたことを識別し、高速プログラムに切り替わる(手ブレを防ぐためにシャッター速度が速くなる)。

◇開放F値連動レバー

Ai-sニッコールレンズの後端には「開放F値連動ガイド」という出っ張りが付いており、レンズの開放F値によって付いている角度が違っている。このレバーはAi-sレンズを装着した際に開放F値連動ガイドに押されて半時計回りに動く。

このレバーの回転角によってレンズの開放F値がカメラへ伝達される。

◇Sタイプレンズ識別ピン

1980年に登場したAi-sニッコールレンズを識別するためのピン。Ai-sニッコールレンズは簡単に言うとプログラムAEやシャッター優先AEで絞りをカメラ側から制御するために、正確に絞りを制御できるように改良したもの。

Ai-sニッコールレンズでは、このピンが来るところに識別ノッチと呼ばれる穴が彫られており(写真右)、Ai-sレンズを装着すればピンが出たままの状態となり、Ai-s以前のレンズを装着するとピンは引っ込んだ状態となる。

このピンの出入で装着したレンズがAi-sレンズかどうか判別している。

◇露出計連動レバー

1977年に登場したAi方式(開放F値自動補正方式)用のレバー。Ai対応のAiニッコールレンズには「露出計連動ガイド」という出っ張りが絞りリングに付いており、この出っ張りにこのレバーを押し当てて回転角を得ることにより、『絞り開放から何段絞ったか』がカメラ側に伝達される。

◇電子接点 AFニッコールレンズには写真右のようにピンが付いて
        おり、この接点でレンズと接続して情報をやりとりしてい
        る。AFニッコールレンズを使用した場合はこの電子接
        点での情報伝達を行う。

●ニコンF-501を人柱レポートしてみた(2008年8月2日)

 徳用メモ帳でも述べたように、武蔵小杉でF-501を買ってきたので、いじってみた。このカメラ、ニコン初のAF一眼レフなのだ(F3AFを除く)が、発売当初よりミノルタα-7000の陰に隠れて評価は低く全く持って売れないダメカメラだったのだが、機構的にはかなりマニアックなカメラである。

 このカメラは基本的にAFニッコールレンズを使用した場合には電子接点によってカメラ内蔵のマイコン(今や死語だが)とレンス内蔵のマイコンとでレンズの焦点距離や開放F値、ズームレンズの補正値といった情報をやりとりしている。が、それ以前のマニュアルフォーカスレンズとの互換性を保つために数々の男らしい機械連動メカが満載、歴代のニコン一眼レフカメラの中でも最も複雑な類に入るマウント構造をしているのだ。

 おいらはこの男らしいアナログ機械連動メカを見たさで武蔵小杉で\9800叩いたと言っても過言ではない。このマウント部の構造を以下に示した。

先日中古で購入したF-501に標準ズーム(AiAFニッコール35-70mmF3.5-4.5s)よりワンランク上のレンズ、AiAFニッコール35-105mmF3.5-4.5sを付けてみた。

中々キマッているが、カメラもレンズもとてつもなく重い。ニコンの悪いクセで、レンズまで『質実剛健』な設計であり、外装はプラスチックでも骨組みはしっかり金属ダイキャストを使用しているため、カメラとレンズと電源の単三電池4本でざっと1.24kgの重さがある。

普段使ってるネオ一眼コンデジの3倍もの重さだ。

中古価格が安いためかこのカメラで写真を撮ってる人のブログをちらほら見かけるが、一体どんな体付きをしているのだろうか・・・・・

しかもこのレンズも当時6万以上したにも関わらずさして写りは良くないような・・・・・・

                                                                                                  

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