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−車両の塗装と車体広告について考える−



TAKA  2005年11月27日



※本文はYahooblog「 交通総合フォーラム 」とのシェアコンテンツです。尚写真は携帯のデジカメで撮影したので鮮明で有りませんが御了承下さい。




 皆さん横浜〜品川間を移動する時、JR東海道線・JR横須賀線・JR京浜東北線・京浜急行の4路線の中からどの路線選びますか?
 品川や横浜でJRに乗り換える場合JRを使ったほうが有利ですが、私は拘って可能な限り京浜急行を利用しています。それも快特で一番前のかぶりつきをします。「鉄道が好きだ!」と言う皆さんにはこの心境分かりますよね?(良いストレス解消になります)
 そういう訳で此処数週間神奈川方面での打合せ等が多くなり、結構京急の快特に乗っていますが、先日は流石にちょっと驚きました。なんせ来た電車が赤い筈の車体が真っ青なんですから・・・。

 ●何故この車両は塗装色を買えたのか?

 レインボートレイン(600系)@津田沼
 

 レインボートレイン(2100系)@品川
   

 この塗装変更は、11月1日から走り始める「 レインボートレイン京急 」の一環との事で、何箇所かのHPでは話題になっていたようです。流石に実物を見ると驚きます。(私は2100系に乗りました)
 羽田空港駅開業7周年を記念して7都市の観光広告を出してキャンペーンとの事で、私が乗った車両も全部沖縄のポスターになっていました。但し今や京急のドル箱となっている羽田空港輸送に関するイベントと言うのに羽田空港には行かない2100系でイベントをすると言うのにちょっと?を感じましたが、それでも全体としては京急のセンス(企画会社のセンス)の良さを感じます。
 イベントの内容を見てみると、7周年・7つの都市・レインボー(7色)等さりげなく「7」を意識させる所や、車両にラッピング等をしなくても塗色を変える事で目立たせると言うやり方等は良いセンスを感じます。
 一般的なイメージとして「京急=赤色塗装」と言うのが感覚として染み付いていますから、車両にその対極の色が塗られたら普通ならば驚き興味を持つのも当然でしょう。イベントを目立たせる為に塗装を変えると言う作戦は当たりだと思います。
 
 ●今「車両へのラッピング」流行だが・・・

 今バス・電車の車両にラッピング広告をするのが流行りですが、東京都では 屋外広告物条例 が改正された事で大きな車体広告が可能になり、バスを中心に急速に広まっていき、近年ではJR等(特に東京都内で完結する山手線や中央線)でも広まってきています。
 
 車体広告車両(山手線E231系)@品川
 
 ※幾ら何でも車体に女性の広告は無いだろうに・・・。

 車両広告自体は広告収入による「増収」の効果が期待できるのですから鉄道・バス事業者は積極的に導入を図るでしょう。それ自体は否定は出来ません。なんせ 東急線で月の広告料が300万円 との事ですから・・・。

 元車体広告車両(東急9000系)@渋谷

 ※ 元は車体広告車両 だが、今は中の広告だけ1社専属。車体広告が無くても「特殊なカラーリング」で十分広告効果が有る?

 実際には東京都屋外広告協会による「 車体利用広告審査基準 」が有り、その基準の下に審査が行われ、美観や都市景観等に関しても配慮の上車両広告が実施されています。
 ※バスの車体広告のレイアウト例( 東京都屋外広告協会 車体利用広告審査基準
 けれども私的には、車両に広告の出るデザインは「何かえげつない」感じがして、その上ごみごみして好きになれません。本来その様な広告が有る前提で、車両のデザインをしていないでしょうからバランスが取れないのも有る意味当然でしょう。
 
 ●「車体ラッピング広告」以外にもっとセンス良く目立たせる方法が有るのでは?

 確かに「広告」をする以上、目立たせなければ意味は有りません。そうなると規制の範囲内でなるべく目立つ広告をする様になるでしょう。しかしそうすると上記のように車両のデザインが殺され美観的に好ましくない物になります。
 では如何すれば良いのでしょうか?それは京急のやり方が参考になるのではないでしょうか?今回の京急のやり方は、イベントトレインを目立たせるやり方として「標準の車両色とは対象的な色を塗る事で目立たせる」と言うやり方を取っています。又そのカラーリングも「赤の中に青が一つ」と言う「対照的だけど違和感の無い」カラーを選択し、珍しさ・新鮮さを出す事で人々にアピールし広告の効果を出しています。
 これは「目立たせる」と言う意味で効果が有りますし、デザイン的にも素晴らしいと言えます。
 只このやり方は決して珍しい物では有りません。昔は小田急でも「小田急百貨店開業」の宣伝に塗色を白と青→白とピンクに変えた特別塗装の2600系を走らせた事がありますし、江ノ電でも塗装を白と青に変えポカリスエットの大きくないロゴを入れた列車を走らせたりしています。
 これらは「車体への大きな広告を認められていない時代」に「如何に目立たせるか」を考えて行われた宣伝手段なのでしょうが、今写真を見ても「えげつなさ」より「バランスの取れた珍しい塗装の美しさと希少価値」と言う良いイメージに感心します。
 この様な「デザインのバランス」と「広告の目立ち度」がバランスの取れた広告を考えたほうが、鉄道会社のイメージ的にも広告のイメージ的にも好ましいと言えます。(えげつない広告は逆にマイナスイメージになる可能性が有る)


 鉄道企業にとって車両は会社のイメージを作る重要なツールの一つです。そのツールを使い宣伝するのでも「只単純に広告を張る」のではなく、「色を変える事で目立たせて広告効果を狙う」と言う今回の京急のやり方に、賛意を示したいのと同時に車両に只ベタベタと広告を張るだけの他の鉄道各社に、もう少しイメージと広告のバランスを考えて欲しい物です。
 その様な事を考えるのも企業のイメージ構築にとりて重要で有ると思います。私は車体広告自体を否定しませんし、京急がやった様な「イベントとコラボレートした企画・広告」自体は、やり方によって宣伝による増収だけでなく販促等色々な効果や鉄道の利用客を増やす場合も有り、効果を考えると積極的に行うべきものであると考えます。只鉄道の車両は駅と並んで鉄道利用者に触れる重要なツールなのですから、車両が作り出すイメージを無闇やたらな車体広告と言う形で安売りする事は避けるべきで有ると思います。





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