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駅 ナ カ 店 舗 の 理 想 形 を 発 見 ?
−TXAVENUE守谷にみる駅ナカ店舗の理想形−



TAKA  2006年01月21日



  
(左:TXAVENUE守谷・右:TXCOURT内部)

  
(左:TXCOURT内部:右「築地銀ダコ」のたこ焼き&「ザボン」の豚骨ラーメン)


 私が「 JR東日本の駅ナカビジネス 」で述べて以来、色々興味を持って見てきた鉄道の駅ナカ店舗論ですが、この前偶々つくばエクスプレスを利用して、守谷駅で「小規模駅での効率の良い理想の駅ナカ店舗形態」を発見する事が出来ました。
 今までも「Dila西船橋」等の理想に近い「駅ナカ店舗」と言える店を見てきましたが、つくばエクスプレスの守谷駅に出来た「TXAVENUE守谷」は、汎用性の有る「理想の駅ナカ店舗」として広がる事も可能と言えます。
 その「理想の駅ナカ店舗」について見てみたいと思います。


 ●駅ナカ店舗に必要な物とは?

 先ず「理想の駅ナカ店舗」について語る前に、私の思う「駅ナカ店舗に必要な物」について述べたいと思います。必要な物を充たしている店舗が理想の店舗とも言う事が出来るからです。
 私が思う「駅ナカ店舗に必要な物」とは「普遍性が有り、利用頻度が高く、色々な目的に使える店」です。その中で条件を充たし一番重要な店の種類は、飲食店と喫茶店と本屋の存在だと思います。
 基本的に我々が鉄道を利用するときには移動する時です。その移動の快適さと効率さを補佐する内容の店舗が駅ナカ店舗に必要で有ると考えます。駅ナカ飲食店は移動中に駅構内で効率よく食事を取ることが出来ますし、駅ナカ喫茶店は仕事の打合せや待ち合わせをする時に駅から出て店を探す事が不要になり便利ですし時間調整等にも使えますし、本屋は移動中の時間つぶしに重要な本を入手できると言う点で、非常に便利です。
 これらの条件を充たす駅ナカ店舗が「理想の駅ナカ店舗」であると思います。その店では「 JR東日本の駅ナカビジネス 」出取り上げた「 Dila西船橋 」はひとつの理想形であると思います。大きな書店に落ち着いたハイグレードな喫茶店に複数の種類の飲食店が入っていて、乗換の時に食事や本を買いに寄っても飽きる事なく利用することが出来ます。
 しかしDila西船橋の欠点は「かなり大きな店舗面積を必要とする」と言う点です。多様なニーズを吸収するのにはそれなりの大きさが必要ですが、これだけの大きい店舗は「乗換利用の大きい駅」「スペースが取れる駅」に設置が限られますし、建設費の大きさを考えると、なかなか普通の駅に設置する事は困難です。
 駅ナカと言うのはスペースに大きな制約を受けます。特に民鉄の駅にはその傾向が強いと言えます。そうなると大部分の駅にはDila西船橋は大きすぎる駅ナカ店舗になってしまいます。
 その欠点を補う駅ナカ店舗は無いのか?とは今までずっと思っていましたが、その様な駅ナカ店舗を見つけることが出来ました。それがつくばエクスプレスのTXAVENUE守谷です。此処は駅改札直近の飲食店舗TXCOURTが、私の言う理想の駅ナカですが、書店が無い飲食店メインの駅ナカ店舗ですが、カフェテリア型式で飲食店と喫茶店を上手く兼ね備え、しかも効率よく複数の店を配置し多種多様なニーズに答えられるという、有る意味理想的な「駅ナカ店舗に必要な物」を備えた店舗で有ると言えます。


 ●TXAVENUE守谷の概要

 去年12月の有る日午前で仕事が終わったので、ラーメン試食後関東鉄道めぐりの試乗に出かけ、それが終わった後つくばエクスプレス(以下TXと略す)の流山セントラルパークで16:30過ぎに到着し、20:00からの豊島園(日帰り温泉)での忘年会まで時間が余ったので、流山セントラルパーク→守谷→新御徒町(大江戸線)→豊島園と移動して久しぶりにTXに乗ってみようと言う事にしました。
 その折り返しの守谷で、このブログの本題の「駅ナカ店舗の理想の形態」ともいえる店を発見しました。それがTXAVENUE守谷(以下守谷店舗と略す)です。
 「 TXAVENUE守谷概要
 駅改札を出てコンコースで見つけたときには「この前TX試乗記の時には工事中だった店舗が出来たか?」位の軽い気持ちでしたが、中に入って見てそのコンセプトの素晴しさにビックリしました。
 「 つくばエクスプレス試乗記
 TXAVENUE守谷は広場に面した1階部分とTX〜関東鉄道乗換コンコースに面した2階部分に分かれています。1階部分は普通の店舗構成ですが、注目は2階のフードコートのTXCOURTの店舗構成です。
 TXCOURTにはコンコースに直接面した洋菓子「ルフラン」と、TXCOURTの中に有る立ち食いそば「あじさい茶屋」パン&喫茶「ヴィ・ド・フランス」豚骨ラーメン「ザボン」牛丼「吉野家」たこ焼き「築地銀ダコ」の5店舗が有ります。この5店舗の中心に大型ビジョンが据えられたカフェテリアが有り、5店舗で食べ物・飲み物を買いカフェテリアで食べる事が出来ます。


 ●TXCOURTを利用して見て

 そういう訳で「駅ナカ店舗の理想の形態」の存在に感激し、早速TXCOURTを利用してみました。
 色々な種類の店が入っているので何処の店で食事をしようか?迷う所ですが、ラーメンフリークの私としてはラーメンは外せません。又1店舗利用だけでは「複数店舗を入れた」と言うコンセプトの素晴しさに申し訳ないので、ザボンのラーメンと銀ダコのマヨタコを注文しました。
 味は別に普通です。ザボンもTXは「味の説明は敢てしません。激戦区新宿・六本木・中野で可地のこった味をご堪能ください。」と説明していますが、私的には「ザボンは歌舞伎町の2次会の後食べるラーメン」です。只茨城の守谷と言う都会とはいえない町の駅に有る構内店舗に、ラーメン界では一応ブランド力の有るザボンを持ってきたTX担当者の努力に☆☆☆☆☆です。
 それに食事をする場所のTXCOURTのカフェテリア部分のデザインも素晴らしい物が有ります。やわらかいクッションの椅子やセンスの良いテーブルが置いてあり、白の壁・天井が清潔感を木目調の床がシックさを醸し出しています。 但しカフェテリア部分の落ち着いた内装に「吉野家のオレンジの看板」「ザボンの提灯の看板」が似合わない感じもしますが、各店舗の個性と言う事で致し方ないでしょう。それぐらいは許容範囲だと思います。


 ●TXCOURTの素晴しさ

 この様なTXCOURTですが、その素晴しさは何処に有るのでしょうか?それは「利用しやすいカフェテリア型式」と「多彩な店舗構成」と「広くない場所に置けるコンパクトさ」に有ると思います。
 カフェテリア型式は入るのに抵抗感がありませんし、複数の人で入っても各人が好きな店を選択出来て食事にも喫茶にも対応可能と言う好ましい利用形態です。
 又TXCOURTの店舗構成は和食→あじさい茶屋と吉野家・中華→ザボン・洋食→ヴィ・ド・フランス・軽食や喫茶→銀ダコとヴィ・ド・フランスと言うように美味くバランスが取れた店舗構成をしているので、想定できる各種の需要に対し対応可能な店舗構成になっています。
 それに店舗は高架のTX守谷駅と地上の関鉄守谷駅に挟まれた高架2階に有ります。TX守谷駅は2面4線の構成ですので幅が約30mの中にTXCOURTは納まっています。これはJRに有るような大駅でなくても、複々線高架下やちょっと大きな2面4線の拠点駅の上部か下部のスペースに設置可能です。
 この様な素晴しいコンセプトの構内店舗は私は今まで見た事がありません。しいて言えばJHのサービスエリアに似た形態の店が有ります。東名海老名SAにも似た様なカフェテリアが有り、テナントとして吉野家・ザボン・神戸屋等が入ってますが、海老名SAは内装がチープで落ち着いて食事と言うには適さない感じの店です。この事から見るとTXCOURTの素晴しさは明らかです。


 ●TXCOURTの店舗形態がもたらす物

 この様なカフェテリア型式の店の形態であれば色々な需要に対応できます。例えばミセスが落ち着いてお茶をしても、サラリーマンが朝食事したりお茶しながら仕事での打合せをしても、学生が帰りに集まって軽食を食べても十分OKの雰囲気です。
 特にサラリーマンはTX開業で東京までの通勤時間が劇的に短縮されましたので、今まで関東鉄道とりで駅の立ち食いそば(つゆが美味いと有名)で急いでそばを食べていた物が、TX守谷駅のTXCOURTの「ヴィ・ド・フランス」でゆっくりコーヒーを飲みながらパンを食べたり、ラーメンや牛丼で朝食を取った後にコーヒーを1杯と言う様に、TX開業で短縮された朝の通勤時間を使って、ゆっくり余裕の朝を楽しむ事が出来ます。これは利用者の豊かさが増す事で素晴らしい事です。
 この様な構内店舗の存在が駅に真の多様性を与えます。しかも専門店を呼んで来るのですから運営する鉄道会社の方もノウハウがなくても対応できますし、駅に存在する多様なニーズにも形態の違う店を複数店を導入すれば簡単に対応できます。
 駅に多様性を与えれば駅の利用者も増えます。それはJR東日本の「Dila」「ecute」で証明済みです。しかし「Dila」「ecute」は余りにも大仕掛け過ぎます。「Dila」「ecute」が有る駅を見れば、大宮・品川・上野・西船橋等乗降客以上に乗換客が多くしかも旧国鉄のインフラである広大な駅構内土地を持っているという共通項が有ります。ですから「Dila」「ecute」は恵まれたインフラを持つJR東日本だからこそ展開する事が可能なのです。
 しかしTXCOURTはそこまで利用客が多くなくても成立する程度の規模で有ると言えます。似たようなカフェテリア形態で色々な食事を提供する「サンディーヌexpress」と言う店が有りますが、店舗は子会社が1社直営形態で行っています。これでは限界が有ります。それに対しTXCOURTは多種多用途の店を設置しやすい専門店誘致形態でおこなって居る点が優れていると言えます。
 専門店も今回TXが導入した店以外に「松屋」「クイックガスト」「マクドナルド」「スターバックスコーヒー」等々色々な形態・タイプの店が導入できると思います。カフェテリア型式なので組み合わせは無限大であり、可能性も又色々有ると言えます。


 ●TXCOURTは何処に適用できるだろうか?

 TXCOURTは確かに素晴しい構内店舗の営業形態で有ると言えます。しかし何処の駅にも適用できる物では有りません。では果たしてどの様な所に導入すれば効果を発揮できるのでしょうか?
 先ず民鉄路線で考える(JRは当てはまる所がたくさんありすぎるし、もっと贅沢に作れる)と「(利用客が多い)乗換駅」「スペースに余裕の有る駅(最低2面4線のスペースがあれば線上・線下に導入空間が出来る)」と言う条件が必要になります。TX守谷はギリギリですがこの条件を充たしています。
 まして既存の民鉄線では「既存で不十分な所や老朽化やバリアフリー化工事の必要性が有り駅改良工事が必要」もしくは「導入スペースの基盤が確保されている」と言う事が条件になります。「ecute大宮」は駅のバリアフリー化工事に伴い人工地盤が作られました。今度作られる「ecute立川」もバリアフリー工事に絡んでいます。民鉄でも同じ様に「何かの工事に絡ませての工事」が導入には必要になるでしょう。
 この様な条件に当てはまる駅を考えると西武所沢・東武春日部が当てはまります。どちらの駅も乗換駅で有ると同時に地域の拠点駅で自社線内の乗換駅です。しかも跨線橋が老朽化しておりバリアフリー設備も整っていない為遠くない将来に改良工事が必要ですし、貨物運転時の遺産で敷地にも余裕が有ります。
 特に西武所沢は駅ビル等も作って有りますが、駅隣接の西友が老朽化していますからこれを解体して駅構内に取り込み東西自由通路もあわせて整備すれば、飲食店+食品スーパーと言う形態の店も出来ます。正しく飲食店のTXCOURTに食品スーパーの西友が加われば、規模ではJRに適わなくても、内容で密度が濃く極めて魅力の大きい駅ナカ店舗を作り事ができると思います。

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 駅ナカ店舗は前に私が「JR東日本の駅ナカビジネス」で述べたように、ラッチ外であった物を含めてみれば、元々は民鉄が始めた物です。それをスペースに余裕が有り利用客が極めて多いJR東日本がターミナルの駅ナカに持ち込んだ物です。そういう意味では駅ナカ店舗ビジネスでは民鉄の方が先輩と言う事になります。
 「 JR東日本の駅ナカビジネス
 只今まで民鉄も色々な駅ナカビジネスを行ってきましたが、開いているスペースに個別に店舗を出すと言う形態に終始してきた側面が有ります。それは「駅ナカの開いているスペースをひねり出す」と言う状況が多かったのでしょうから残念ながら致し方ない側面も有ります。又民鉄の大駅では駅の敷地を飲み込むように駅ビルを建てて百貨店を造るような例が多く、その分ラッチ内の駅ナカに店を作る必要性が低かったとも言えます
 しかしラッチ内に店が有る事の価値と言うのも有ります。特に乗換駅では、ラッチを出ないで食事・買い物等が出来ると言うのは客の望むことです。 その限られたスペースラッチを出ずに多少の買い物がしたいというニーズに応える事も可能です。小さくても効率的な店を作ることで、魅力的な構内店舗で多種多様な需要やニーズに対応することは十分できるのです。その可能性をTXCOURT守谷は示してくれたと思います。
 JR東日本品川駅みたいに店舗を構成するのに広大なスペースを設ける事が可能ならば「Dila」「ecute」と言う店舗形態で「ハイローミックス」を行い多様なニーズに対応することが出来るかもしれません。しかし民鉄でそれだけのスペースを持っている所は殆ど有りません。しかし「スペースと資金力」に頼らなくても多様なニーズを吸収する事は、創意と工夫で可能と言う事を示してくれたと言う意味で、TXCOURT守谷は「駅ナカ店舗の理想の一形態」と言う事が出来るのではないでしょうか?





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