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皆さん今晩はTAKAです。先日仕事の打ち合せと施工の立会いで18日と24日に箱根湯本に行った折
先月19日から運行開始
した小田急電鉄の
新型ロマンスカー50000形VSE
に乗る機会がありました。
本来18日は午後からの箱根での現場説明でそれに加え市ヶ谷で13:00に書類を届け18:00に新宿で人と会う予定が有ったので、VSE車両の新宿発13:40スーパーはこね27号と箱根湯本16:18発はこね32号の展望車(27号は前・32号は後ろの展望車)を予約していたのですが、午前中
海老名〜座間間で水道管破裂事故があり2時間ほど運休
しており、その影響でロマンスカーも16時過ぎまで運休してしまい、箱根での打ち合わせが延び新宿での予定を後日に変更した為、VSE車両の箱根湯本19:00発のはこね42号(前向き展望席一番前)に乗る事がで来ました。又24日は仕事の日程が決まった3日前に特急券を取ったのですが流石に展望席は満席で、行きは9:00発のスーパーはこね9号の普通席を取り、帰りは1本後のロマンスカーの喫煙席(私は愛煙家)と天秤にかけたのですが、VSEの誘惑に負けて14:18発のスーパーはこね24号を取りました。
そういう訳で箱根への仕事での移動の為の利用ですが、新型ロマンスカーVSEに展望席と観光利用の多い時期に新型ロマンスカーに乗る事ができましたので、その試乗記を書きながら「新型ロマンスカーがもたらした物」について考えたいと思います。
☆ロマンスカーVSE登場の背景と概要
「ロマンスカー」と言えば「箱根観光の定番交通機関」で「小田急のイメージリーダー」です。過去においては狭軌世界最高速度記録を持つSE車3000形、ロマンスカー=展望車のイメージを確立したNSE車3100形等、鉄道の歴史に残る名車を生み出し、「ロマンスカーは箱根観光の特別な車両」と言うイメージを作ってきました。
しかし近年「箱根観光の低迷(箱根の入れ込み客数91年2250万人→03年1930万人・ロマンスカー新宿〜箱根利用客87年550万人→03年300万人)」「近郊区間でのロマンスカー需要の増大(ロマンスカー全体利用客87年1100万人→03年1400万人・箱根直通客以外利用客87年550万人→03年1100万人)」等が要因となり、30000形EXEの様な汎用輸送に使える個性の乏しいロマンスカー車両を使用するようになり、ロマンスカーの個性は没個性化しロマンスカーのブランドイメージも変質していました。
本来はマニア的な話で好きでは有りませんが、
SE車以来歴代ロマンスカー車両は30000型EXEを除いて鉄道友の会「ブルーリボン賞」を受賞
しています。ブルーリボン賞は鉄道マニアの人気投票の結果ですが、注目を受けるロマンスカーの新型が登場しても人気投票の賞が取れなかったと言う事は、それだけ30000型では普通の特急と変わりが無くなり、ロマンスカーが没個性化しブランドイメージに差が無くなったと言う事になります。
その様な状況の中で「小田急=ロマンスカー」と言う中で小田急の強いブランドイメージの根幹に関わる「ロマンスカーブランドの復権」と「
小田急グループ内での箱根統括会社設立による組織改革
」「
西武グループとの提携
」等の一連の「箱根観光活性化」方策の一環として、50000形VSEが今回投入されることになったのです。
実際今回のロマンスカーはデザインに関空のターミナルを設計した建築家を起用し、技術的にも今までのロマンスカーの特徴の連接構造の他に車体傾斜制御に台車操舵装置等の最新技術を導入していますし、沿線での各種キャンペーンの他に積極的CMを打つ等、過去の(車両の性格は違うが)20000系や30000系EXEと言った特急車両導入時よりデザイン・技術・宣伝の面で比べ物にならない程の力が入っています。
「
50000型ロマンスカーVSEの概要
(小田急電鉄HP)」
その様な訳で、直接的理由は「更新修繕時にバリアフリー化対向困難な10000形の代替用」と言う事ですが、それ以上の本質的理由として「ロマンスカーイメージ回復の原動力」としての「ロマンスカーブランドのイメージリーダー」「箱根観光梃入れ策の一環」と言う小田急電鉄の箱根戦略のキープレーヤーの一つとしての期待を担いVSEは登場したと言えます。
☆ロマンスカーVSE試乗記「1−展望車に乗って」
今回前書きの通り、18日箱根湯本より19:00発はこね42号の展望車に乗車しました。新宿から2時間かけて急行で箱根湯本に着いた後、帰りを如何しようかと思案してたら「はこね34号より運転再開」と案内していたので、打ち合わせの所要時間の余裕を見て18時以降の特急にしようと思い、18:19発はこね40号(EXE)と19:00発はこね42号(VSE)のどちらにしようと思い迷いながら試しに「40号の展望席有りますか?」と聞いたら「前方向の展望席有ります」と言うので、今までロマンスカーに数え切れない位乗れども一度も展望席に乗った事ないので、物は試しと40号展望席12A席(最前列一番左)を予約しました。
ロマンスカー予約後仕事を終わらせ17:30頃箱根湯本まで降りてきて、箱根湯本の駅前の蕎麦屋で夕食を食事後、18:30過ぎに商店街を歩きながら箱根湯本駅に向いました。月曜日夕方〜夜と言う観光には極めて不適な時間でしかも泊まりの観光客は宿で食事の時間帯でしたが、国道1号線沿い商店街〜箱根湯本駅前はすでに殆どがシャッターが閉まってしまい、車だけ通行して居るが歩行者も殆ど居らず、日本有数の観光地の表玄関とは思えないほど裏寂れた状況です。
[写真1]箱根湯本駅前商店街(18:30頃)
18:40頃箱根湯本駅に到着して駅構内に入ると、すでに18:37着はこね41号で到着したVSEが入線していました。箱根湯本駅はここ数年トイレ改修等が行われていましたが、この前着た時と又改良が行われており比べ壁や屋根が綺麗になっており表示類も新しくなっています。それにロマンスカーホームの1番線の壁には大きなVSEのポスターが貼られており、天井からもポスターが下げられています。今までのロマンスカー登場時にも各種の宣伝が行われていましたが、今回の場合は今までと違い洗練されており車両のイメージやコンセプトが前面に押し出されている宣伝です。この様な所にも小田急の新型ロマンスカーVSEにかける意気込みが感じられます。
[写真2]リニューアルされた箱根湯本駅 [写真3]VSEポスターとVSE先頭車両
駅構内や外環の写真を取っていたら社内整備も終わり、ドアが開いて乗車出来るようになったので早速乗車し車内を先頭車に向けて歩いてみました。箱根湯本停車中の10分強でVSEの車内・車外を色々見てみましたが、今までのロマンスカー車両と色々な意味で異なるいい意味で個性的な車両であると感じました。
[写真4]VSE外観(長さ4mのパノラマサイズの窓に注目) [写真5]VSE車内(白く大きなボールト天井が特徴)
[写真6]VSE先頭車外観(展望窓の大きさに注目) [写真7]VSE展望席車内
[写真8]VSE3号車サルーン [写真9]タッチパネル式表示装置(観光案内・前面展望等表示)
[写真10]VSE出入口(壁の木目調の壁・床の石調タイルが斬新) [写真11]連接台車部(空気バネの位置が高いのに注目)
上記写真はVSEの一部ですが、特急車に必要な「高級感あるが落ち着くデザイン」が極めて特徴的です。又建築家がデザインしただけ有って、建材系の材料も使用されておりそれが今までの鉄道車両に中々無い質感と落ち着き感を出していると言えます。
外観と内観を見ながら先頭まで移動してきたら早速発車時間です。発車時間が日帰り旅行の帰り時間には遅い事もあり箱根湯本では10%位の席しか埋まっていません。(この後小田原発車時点で20%・町田発車時点で40%位(どちらも前3両ぐらいなので参考))。私はせっかく展望車最前列を取ったのですから少しでも長く展望車で展望を楽しまなければ勿体有りません。なので早速展望席最前列の自席に着きました。
丁度私が自分の席に付いた頃ロマンスカーは定時に発車、展望席から見ていると漆黒の世界に踏み出していく感じです。しかし車内は明るい木目調と白を基調にしており落ち着いた色使いの中でも明るさが有り、暗いと荷台の下の2本のLEDライトのラインがアクセントとなり明るい時の車内と比べても非常に綺麗です。(周りが暗い方が綺麗かもしれない)
[写真12]VSE展望席での前面展望(小田原) [写真13]VSE展望室からの前面展望(梅ヶ丘) ※どちらも自席から
前面展望席に座っていると通過駅で待っているお客さんの視線を明確に感じます。それも看板列車展望席の優越なのかもしれません。小田原をすぎると車内販売の取次ぎの女性が回ってきます。今回は仕事帰りの夜なので生ビールを頼みましたが、このサービスは一時期廃止されていたサービスで今ではVSE以外のロマンスカーでは「ワゴン販売or何も無い」と言う状況です。昔ロマンスカーでカップに入れて持ってきてくれる紅茶が非常に美味く、新入社員の時に仕事でロマンスカーを使う時の「タバコと一杯の紅茶」が贅沢であった記憶が有ります。そう言う事も有り私にとっては感慨深いサービスですが、正直言ってワゴンでは味気ない物が有ります。やはり看板優等列車なので「走る喫茶室復活」ぐらいの贅沢はステータスとして必要でしょう。
又流石に乗り心地の向上の為に自己操舵台車・車体傾斜制御・アクティブ制震制御等の最新技術を導入しただけあり、他のロマンスカーと比べるとワンランク音も静かで乗り心地も良く揺れも少ないです。ちなみに展望車最前部は木目調の大きなカウンター(フラットで滑りそうな感じ)になっていますが、私の隣席の人が其処に中の並々と入った生ビールの紙コップを置いており私は零さないか冷や冷やしていましたが、最後まで零れるような事は有りませんでした。
そうこうしている内にVSEはあっと言う間に町田に停車し、新宿に到着です。最速のVSEだと湯本〜新宿間78分ですが、私の乗った列車は86分掛かり今までと所要時間的には殆ど変わらないのですが展望席に居ると時が経つのを忘れる感じで、箱根〜新宿間があっと言う間です。
今まで私はビジネス利用しかなかったので「ロマンスカー=ビールか昼寝かタバコか仕事」と言うのが定番でしたが、今回展望席に乗り「列車に乗って楽しむ」事の面白さを改めて感じました。又ロマンスカーに「乗り飽きた」状態の私にそれだけの感嘆を与えてくれるVSEの魅力に改めて惹かれ「ビジネスユースでもたまには気分転換で展望車に乗るのも有りかな?」と感じました。
※只制度的に問題の有る事では有りませんでしたが、私は指定通りの12A席に座っていましたが、偶々隣の12B席座る人が居ました。指定券を持っていれば問題ありませんが車掌の検札時に車掌が特急券を確認します。今のロマンスカーでは空席の所に座る人が居ると確認するシステムですが、特急券を確認すると言う事は座った人は其の席の特急券を持っていないことを意味します。車掌との会話を聞くと「車掌が空席であれば移動を容認している」事を予め確認のうえ確信犯で移って来た感じでした。(「鉄オタ」の感じのする人だったので知識は有ったのでしょう)普通の席なら別に大騒ぎする必要はありませんが12B席は展望席の中で一番良い席です。本来料金差は有りませんし席移動を完全に規制する事もしてないので制度上問題ないとも言えますが、わざわざ展望席を指定して予約した人より展望席の券を持ってない人の方が良い席に座ると言う事を容認するのは同義的に問題が有ると言えます。確信犯で其処に座った人の良心を疑いますが周りの人の為に車掌が一言言うべきだったかも知れません。
又展望席はロマンスカー最大の売りである特等席なので、プレミアム性を強調する為に特別料金(例えば「前向き展望席+200円・後ろ向き展望室+100円」等)を取るのも一つの検討方策かも知れません。そうすれば私の体験したような不平等な事が発生しなかったですし、車掌はその様な移動を拒否する根拠になり全てが丸く収まると言えると思います。
☆ロマンスカーVSE試乗記「2−観光シーズンのVSEに乗って」
18日に仕事で箱根を往復したあと、23日に其処で打合せした仕事の現地立会があり又箱根に行く事になりました。本当は車で行く事を考えましたが、
3月28日に小田原箱根道路が開通
した為、
幾ら新道開通で渋滞が緩和され
箱根新道須雲川ICそばの目的地に車で行くのに便利になった事を考えても、東名からずっと渋滞のリスクに巻き込まれる事を危惧し定時制に優れるロマンスカーで行く事にしました。
その為予定が決まった3日前の21日午前中に小田急線の駅の券売機で特急券を予約しましたが、今回利用したスーパーはこね9号とスーパーはこね24号を共に「展望席満席・普通席残席少」になっていました。(その日のスーパーはこね全便(全4本共VSE使用)共に同じ状況)。日帰り観光に行くのや泊りがけ旅行で帰るのに便利な時間でしたが、その前後のロマンスカーには未だ空席が多い状況であったので、早めの予約にはVSEを狙った利用が多かった物と思いましたし、それが又VSEの人気を裏付ける物であると言えます。
23日当日朝は予定が無かったので9:00の発車時間より少し早めの8:30頃に早めに新宿駅に行って見ました。その時には未だロマンスカー専用の1番線には未だVSEは入線しておらず、その前の8:40発のさがみ63号(EXE)小田原行きが未だ在線していました。ホームにはかなりの人が居ますがさがみ63号には小田原行きだからか乗りません。殆ど次のVSEのスーパーはこね9号を待つ人みたいです。さがみ63号が出発した後暫くしたらVSEが入線してきました。私はVSEを一番終端部で待ちましたが、その近辺には子供連れを含む多数の観光客がVSEを待ち受けています。入線するとみんな一斉に携帯カメラやデジカメ等で写真を取り出します。又列車が止まると展望席の前で記念撮影をする家族連れも多数居て特急ホームの展望席の周りはずっとごった返していました。やはり新型特急の人気はすごいものが有ると言えます。
[写真14]VSE新宿駅入線状況 [写真15]VSEの周りに集まる乗車客
上記写真を撮影している内に乗車の案内放送が流れ乗客がドアの前に集まります。今回私は10号車3D席が指定されていたので、先頭まで歩く必要が無かったので上記の写真撮影が終わり周りをゆっくり観察しながら車両に乗車しました。只乗客がゆっくり見ながら入っていくので扉周辺で乗客の流れが滞り渋滞気味です。けれども乗車開始から発車まで10分近くは確保されていますし1分1秒を争うビジネス特急ではなく、乗車した瞬間から観光の一環である観光特急では「車両に興味を示してゆっくり見ながら乗車」する事も必要なことでしょう。
私が最後の方で乗車したらすぐ出発の時間になり、静かに発車します。私は作らなければならない資料があったので車内観察は帰りにする事にして早速PCを拡げて仕事を始めましたが、私が場違いで有る以上仕方ないですが乗客にスーツ姿の人間が一人しか居ない完全な観光特急状況であり車内はすでに観光地状況です。隣に座ったおじさんはビールを飲んでいますし、前に座った8人組の観光客(大学の先生と生徒の様な感じ)は席を向かい合わせにして話に盛り上がっています。前のグループの先生(女性)は発車して暫くしたら生徒に「新しいロマンスカーだから車内を見てくる」と言ってカメラを持ち車内散歩に出かけていました。鉄道マニアならいざ知らず女性にもカメラを持たせて車内観察に出かけさせるほど魅力的な車両は今まで有ったでしょうか?
私が仕事が終わったのは発車から50分ぐらい経った新松田辺りでした。少し落ち着いた後10号車なので私の席のすぐ後ろには後部展望席が有るので状況を見てみました。そうしたら後部展望席の人は後ろの景色に見入っていますが、展望席のすぐ近くの普通の座席の人もわざわざ席を後ろに回して過ぎ行く景色に見入っています。この前の時は前の景色に感動した私でしたが、後ろに過ぎ行く景色にみんな見入っている姿を見てやはり展望席の魅力の凄さを再確認しました。
小田原で3分の1程度の乗客が降りた後、箱根登山線に入り箱根湯本に向います。登山線に入ったときから車内はすでに箱根に付いたような感じで段々そわそわして来ます。小田原を出て約15分で箱根湯本に到着です。私は仕事の待ち合わせの時間が迫っていたので写真を多少撮りすぐタクシーに乗り目的地に向いましたが、流石に観光シーズンに突入した箱根だけありこの前の夜と異なり駅構内・コンコース・駅周辺は観光客でラッシュ並みにごった返しています。やはり観光地はこうでなければいけません。
[写真16]VSE後部展望席状況 [写真17]箱根湯本駅前状況
[写真18]箱根湯本駅前状況(写真1とほぼ同じ場所)
奥湯本で仕事を終わらせたあと、13時過ぎに箱根の山から下りてきました。湯本の時々行く洋食屋で海鮮オムライスを食べた後、早川の川縁で乗車予定のスーパーはこね24号が入って来る所を写真に収めます。14:05定時に折返しのVSEが来ましたが、車両の全景を見ると下部まで防音パネルに囲まれ全身が白の車体で非常に綺麗です。山の新緑にシルキーホワイトのVSEが映え、今までのロマンスカーより白の色が強調されているデザインですが、そのカラーデザインの素晴らしさを改めて感じました。
[写真19]箱根湯本に到着するVSE(ちょっと鉄塔が邪魔だが・・・)
折返し時間が少なく写真を取った列車に乗らなければならないため急いで箱根湯本の駅に引き返します。箱根湯本の駅すでにVSEは入線していますが、駅の構内は新宿駅と同じように展望車両周辺は「ミニ撮影会」状態です。
列車に飛び乗り席に着くと程なくして発車です。もう1週間で3度目の乗車ですが、落ち着いて車両を楽しむ事が出来る乗車は此れが初めてです。発車後暫くしてから車内探検に出発です。と言っても実を言うと展望席を見ている以上あと見る所はそんなに有りません。VSEは両端の展望車以外は客席は基本的に同じですし、トイレ・カフェ等は3・8号車に集中的に配置されています。それ以外に特徴的なのは3号車のサルーンだけで実質的は展望車に乗った事が有る以上後は3号車を見てしまえば車内見学は事が足りる事になります。
3度目は4号車5D席を取った為3号車はすぐ隣です。早速3号車を見に行くとトイレ部分が曲線の迷路になっています。大・小・身障者用トイレと洗面所が設置されていますが、それぞれ大きさが違うスペースを曲線で美味くまとめていて又壁が木目調なので圧迫感がありません。しかもアクセントの洗面所の暖簾がいい味を出しています。この様なデザインは
岡山電軌Momo
や
JR九州800系つばめ等の一連の特急列車をデザインした水戸岡鋭治氏
のデザインと相通ずる物が有ります。
又3号車にはカフェが設置されていますが、実質的には売店+ちょっとお茶を飲めるスペースが有る程度です。「もう少し広くてもいいかな?」とも思いましたが、3号車に3つのトイレ・カフェ・喫煙所・サルーンを詰め込んでいる以上スペース的には厳しいですし、座席へのケータリングが売りであり観光特急と言っても利用時かな長くて90分と言う状況から考えると十分なのかもしれません。
[写真20]3号車トイレスペース付近 [写真21]3号車カフェ付近
そうこう車内を回った後座席に戻ったら、車内販売の取次ぎが回ってきました。座席に置いてある無料配布の「
るるぶFREEロマンスカー・小田原・箱根
」の中に車内販売のリストがあり其処にVSEの形をした「ロマンスカーVSE弁当」なる物が売っていたので、1時間前に昼食を食べたのに「乗った以上一度食べなければいけないだろう」と思い、生ビールと一緒に買ってしまいました。
[写真22]ロマンスカーVSE弁当と車内販売の生ビール
VSE弁当とビールを飲んだら眠くなってしまい、未だ海老名辺りだったので「新宿まで40分以上有るな」と思い、試乗をしているのに睡魔に負けて昼寝に入ってしまいました。通勤車両のロングシートでも平気に寝て移動する私が言っても説得力無いですが良いシートは寝やすい物です。ロングシートで30分以上寝ると首が痛くなりますが、首や腰が痛くなって起きる事も無く快適に過ごす事が出来ました。起きたらすでに参宮橋です。試乗の最後は安眠の旅になってしまいました・・・。
☆試乗を終えて〜VSEは何をもたらしたのか?〜
さて今回仕事に託けて1週間に3回新型ロマンスカーVSEに試乗しましたが、題名の命題に有るとおり果たしてVSEはロマンスカーに何を変えたのでしょうか?私は正直言って「変えた」と「原点回帰」が同時に行われたと感じました。
先ずは原点回帰させた物は「ロマンスカーのイメージ」その物です。前にも述べた通り此の頃霞みつつあるロマンスカーの中で今回のロマンスカーは久しぶりに注目を集めた新型車であったと言えます。VSEは各種最新技術を導入した事もあり営業運転前に1月以来本線上で頻繁に試運転していました。私も小田急線利用中に何回か試運転車両に遭遇しましたが、其処にいた一般乗客から並々ならぬ注目を集めていました。小田急で此れだけ注目を受けた新型車は久しぶりでしょう。(多分3100形NSE以来でしょう)そういう点では花の有る存在で「特急車は常に注目を受ける憧れの存在」と言う小田急の1950〜1960年代の状況に回帰したとも言えます。
VSEも大枠のコンセプト的には今までの20000形・30000形EXEを除く展望席の有るロマンスカーの流れの中に有ります。その大枠のコンセプトの中で今風にアレンジしたのがVSEと言えるでしょう。その点ではVSEはロマンスカーのイメージを原点回帰させたと言う事ができます。
ではVSEは何を変えたのか?先ずミクロ的に言えば「イメージと列車のデザインが重要と言う認識」と言う事でしょう。
デザインに関して言えば過去にSE車のカラーリングで外部の意見を取り入れた事が有りますが、小田急で今まで外部のデザインを車両に取り入れた事は私の知る限りありません。今回JR九州の成功に引かれて外部デザイナーを取り入れたのでしょうが(個人的には水戸岡デザイン(特に「白いかもめ」)と似すぎている嫌いを感じますが)その関東の鉄道車両としては斬新なデザインが今回VSEをそれだけ引き立てた事は間違いありません。これだけ評判がよければデザインの重要性を認識した事は間違いないと言えます。(此の頃の小田急の駅舎改修等のデザインも斬新ですし)その様に考えれば車輌を含め総合的にデザインを重視する姿勢に変えた有る意味象徴がVSEと言えるかも知れません。
又イメージ戦略の重要性に関しても大きく認識を変えたと言えます。今回VSEの登場に関して小田急は積極的にCMを打ちましたし、沿線でもポスターを出したり新宿駅特急ホームでは大型のVSE解説のボードを作ったりしています。VSEがロマンスカーブランド復権の象徴だからと言う事も有りますが、今までの宣伝に比べ非常に洗練された宣伝戦略の下で宣伝が行われています。この宣伝戦略が成功で有る事は今のVSEの評判から考えて間違いありません。
[写真23]新宿駅特急ホームVSE解説ボード
ブランド戦略にイメージと宣伝とデザインが重要で有る事は言うまでも無い事ですが、正しく言えばVSEがもたらした物ではなく「ブランド戦略の一環として優れたデザインのVSEが登場し上手な宣伝戦略が打たれた」と言う事になるとも言えますが、VSE登場の底流に流れているVSEが小田急にもたらした変革は大きいと言えます。
それからマクロ的な点に関してはVSEが変えた物はロマンスカーを変えたのでなく大げさに言えば「小田急」その物であるかも知れません。正しく言うと「小田急を変えつつ有る流れ」の結果生み出された物がVSEなのかも知れません。
正直言って「小田急」の企業としてのブランドイメージは関東民鉄では頭一つ飛び抜けている事は否定できません。過褒めかも知れませんが「東急」以上です。このブランドイメージは「沿線の高級感」「箱根」「ロマンスカー」等の色々な要因が重なり合って作られた物ですが、小田急が今までそれを有効に利用してこなかった事は否定できません。東京人では「箱根=芦ノ湖にロマンスカー」と言う位高いイメージでも小田急は箱根観光では西武に大きく出遅れていました。つまりそれだけ高いブランドイメージを持ちながら鉄道事業の「運ぶ事」のみに集中し、箱根全体の事業に対し有効利用してこなかったのです。
其の箱根関連事業も近年前述の通り箱根の観光客入れ込み数は低迷しており、ロマンスカーの箱根利用客も減少しています。此れは小田急の箱根のビジネスに関して大きな影響を与えています。箱根関係のグループ各社の業績は低迷し、ロマンスカー其の物でも最大の客単価をもたらす箱根観光客が減る事は大きなボディーブローとなっています。ここ数年小田急も色々な施設を作ったり(湯本や仙石原にミュージアムや日帰り温泉を作っている)していますが、小手先策では如何にもならなくなっています。
それらの事があり最初の登場の背景の所で述べたように「西武と提携」したり「統括会社を作り箱根事業を本社直轄」にしたりして梃入れを図っています。その変革の重要な要素が「お客様を運んできてくれる」と言う点で、グループ全体の箱根事業の根幹のインフラである小田急電鉄のロマンスカー輸送のイメージ改善による活性化であり、其のキーがVSE登場であったと言えます。つまりVSEは小田急箱根事業を変えるキープレーヤーで有ると言えます。
小田急グループの根幹は鉄道事業であり、其の鉄道事業の根幹はロマンスカー輸送で有る事は誰も否定できません。其の事業の根幹を変える物の変化の意味は非常に大きいと言えます。
又其の変化が無ければ、企業は活性化していきません。VSEが今の調子で成功すれば小田急グループ全体を活性化させることは間違いありません。このことは今や「勝ち組と負け組」が明白化しつつあり「大手民鉄15社体制」が維持出来るか際どい状況に追い込まれている今の民鉄業界の中で小田急グループが自力で生き残る為に必要不可欠なことで有ると言えます。見方によっては「高々一新型車輌」と言えますが、よくよく考えれば其の成功の意味はより広く深いものが有るとも言えます。それだけVSEは大きな存在であると言えるかも知れません。
PS: 今回新型ロマンスカーVSE登場時にロマンスカーと箱根・小田原案内の為に「るるぶFREEロマンスカー・小田原・箱根」が作られたりして、色々な箱根・小田原の名店が紹介されています。それ以外にも箱根には結構名店が有ります。今回私が24日に行った時に寄った洋食屋「スコット」さんも其の一つです。此処のオムライス(今回は特選の海鮮オムライスでした)は絶品です。何か有った時寄って見てください。因みに場所は分かり辛いですが湯本駅から宮ノ下へ1号線を少し上った所のセブンイレブン辺りを左に入って早川の川縁の近くです。
[写真24]洋食屋「スコット」の海鮮オムライス(絶品!お勧めです)
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