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 「5」結論に変えて


 今回鉄道ピクトリアル1月号増刊号で名鉄柚原専務(廃止時の名鉄常務で岐阜事業部のトップ)が「岐阜線 未完のまま消えたLRT」と言う一文を書かれていましたが、「言い訳」と解釈も出来るかも知れませんが、私には「悲鳴」の様に聞こえました。
 名鉄の考え方については「 交通総合フォーラム 」でも約1年前に「 大手民鉄のローカル線廃止問題の根底に有る物を考える (TAKA)」「 譲原発言を意地悪に裏読みする (和寒様)」等で議論してきましたが、名鉄がもはや岐阜市内線に存在価値を見出してなく、その経営に耐えられない状況に有る事は否定する事が出来ません。
 今回の柚原専務の記事を見ても「名鉄の志は岐阜線LRT化に有った」「只LRTの条件(1)停留所の設備(2)走行空間(3)運行系統(4)運行頻度(5)他交通機関との乗換利便性(6)迅速な運賃収受の中で(1)(2)が実現できない以上、LRT未完のまま放置できなかった」と言うのは全く同感だと思います。誰が岐阜4線を運営しても(1)(2)がクリアできなければ成功しないのは明らかです。
 今まで事故が起きても、「安全島は設置できない」とされて、道交法規定の「路面電車乗降客優先」も守らせられず、平成15年の社会実験も「バスレーンは有効でも路面電車は効果が疑問(新聞報道)」と言う状況では、名鉄が撤退するのは当然だと思います。
 

又岐阜市では「 ひと・環境にやさしい路面電車特区 」を構造改革特区として申請していますが、その申請内容は「路面電車運行車両長の緩和・路面電車最高速度及び平均速度の緩和・路面電車無改札乗車方式の導入と無賃乗車罰則規制の強化」と言う内容で、名鉄のニーズ「停留所への安全島設置」「走行空間の確保(路面電車軌道敷への自動車乗り入れ制限」とはかけ離れた内容であり、行政と運行者の噛みあいも出来ていない状況でした。
 (最終的には国交省で「現行法律等(要は特認で)で対応可能」等の理由で却下されている。軌道法適用路線で路面を走る車両で30m以上の車両が走る所は存在するし(江ノ電・京阪)、速度規制も専用軌道では軌道も鉄道も差が無い、これらの事項は特認対応で実現可能と言う事実を知らない岐阜市の無知が明らかになった形で有る。岐阜市は路面電車を有効活用する気なら、特区申請をする前に議会の「撤廃決議」を何とかすべきである)
 正直言って地域がこの様な状況では名鉄が撤退したのは正しいですし、自治体の理解が変わらなければ誰が運営しても名鉄時代と変わりません。最終的には自治体の協力が得られず失敗するだけであると考えます。
 ですから岐阜の交通政策でもう路面電車の活用を考える事は止めた方が正解です。自治体に本当に分かっている人が居なければ路面電車を上手く活用できません。それに軌道敷が残っているから皆で夢を見てしまうのです。今や岐阜の交通政策に取り名鉄岐阜4線の軌道敷は「有害無実」の物です。誰もが変な夢に魘されない為にも、名鉄が速やかに軌道敷を撤去・現況復旧する事が重要です。


 その様な路面電車に対する岐阜市の政策等から考えて、今現実の世界で岐阜の交通政策で必要なことは、路面電車へのノスタルジーから今現実に有る交通機関のバスの活性化策、つまり「名鉄岐阜4線線路敷」を名鉄が速やかに撤去して、円滑なバス運行の為に徹明町〜JR岐阜駅前間を中心に国道248号線等を専用バスレーン化すると同時に、JR岐阜駅前のバスロータリーの早期完成と名鉄岐阜駅前のバス停の整理等、線路敷を利用したバス利便性の向上策です。
 既に自治体として「路面電車」を一度放棄した以上、今更再生することは不可能ですし、元運行組織の名鉄の支援が得られない今となっては路面電車を再生するよりかは、今有るバス路線の活性化を図るほうがはるかに効率的ですし、「点と線」の路面電車より、より広い「面」をカバーできるバスを活性化した方が、より広く中心市街地に集客が出来、広域にメリットを提供する事が出来ます。
 
同時に「実際の商業力」を強化できる住民のニーズにあったしかも「其処にしか無い」と言える個性的な物を売る中心市街地を作る事が重要です。そうすれば路面電車が無くなって多少不便でも「徹明町・柳ヶ瀬にしか無い物」を買いにお客様は来てくれるのではないでしょうか?
 それでもアクセス面に不安なら、バスの活性化に加えて岐阜市が申請した「 駐車場運営特区 (料金設定の緩和が出来る特区)」に加えて、積極的な駐車場整備を行ってあげて、柳ヶ瀬利用者の「駐車場が少ない」等の不満に対応してあげた方が、アクセス面での利用者のニーズに沿った中心市街地活性化に繋がると思います。
 

 今や岐阜の中心市街地の衰退は抜き差しなら無い所まで来ています。その様な状況の中で、「路面電車再生」の様な実現性の乏しい改善策を行っている余裕は残念ながら無いと思います。
 先ずは自治体や地域が現実に即した活性化策を考え、直ぐにでも実行する必要性が有ると言えます。そうでなければ岐阜の中心市街地を活性化させることは出来ません。
 大規模小売店舗がどんどん撤退し中小店舗の空き店舗が増えていると言う典型的衰退の状況では、残念ながら岐阜に残された時間は多く有りません。その事を先ず考える事が今の岐阜に一番必要です。





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