このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

最後に 「新自由主義」と動労千葉

 激動の08年

08年はどういう時代になるのか。年頭から経済はガタガタ。株価の大暴落から年が明け、金も石油も暴騰し、資本主義社会がどうなってるのかと。一言でいって08年は、資本主義体制の破局が爆発的に進行する、金融恐慌は避けられない。その中で「労働者、労働組合がいったい何をなすべきなのか」が問われる年になる。
  最近発表された厚労省の報告では、13年ぶりに労組の組合員数が増えたと。「我慢ならない」という労働者が団結して労働組合を結成し声を上げはじめた。世界的には労働者の大反乱が始まり、時代が変わろうとしている。これが08年の特徴ではないか。

今一度国鉄分割民営を問う
 こうした中で、労働組合はなにをすべきなのか、なにができるのか。
  もう一回「国鉄分割・民営化」を問い直すことではないか。、原点に立ち返って一から出発することが必要だ。 
 なぜなのか。現在の格差社会、貧困、非正規職化の原点は国鉄分割民営化攻撃から始まったからだ。国際的に見れば「新自由主義」攻撃が、日本では国鉄分割・民営化から始まった。レーガン、サッチャー、中曽根が登場したところから始まった「新自由主義」攻撃とは、資本にとって自由、支配するものにとって自由、徹底的に弱肉強食の論理で社会全体にローラーをかける。そこで最大の問題は労働組合の団結を破壊すること、もう一つは社会保障制度を解体に焦点があてらてた。だから動労千葉が、この国鉄分割・民営化攻撃の中で団結を守り、いまも闘いを継続していることの意味は決定的に大きい。
  動労は首切りの先兵に、国労は蛸壺にもぐって最後まで闘いを構えられなかった。動労千葉は、闘うという道を選択し、組合員・家族をあげて議論しストライキを打ち抜きました。「わずか1千名の組合がストをうって情勢が変わるのか」という議論をずいぶんした。だが、この小さな闘いが、現在の動労千葉の闘いの土台のすべてを作ったとのだ。
 動労千葉は、 いまの激動の時代に立ち向かっていくためにも、その原点からもう一回再出発すると宣言している。

 「新自由主義」攻撃に勝利
 なぜあの時、動労千葉は「新自由主義」攻撃である国鉄分割・民営化に立ち向かい闘うことができたのか。その根拠は、①反合・運転保安闘争を土台にした強固な団結、②三里塚反対同盟と連帯して三里塚ジェット闘争、③動労本部との分離・独立闘争です。労働組合とは何なのか、その原点とは何なのかを問う闘いだった。
  81年の三里塚ジェット闘争の時に、アメリカでは航空管制官労組(PATCO)への激しい攻撃が加えられていた。国鉄分割民営化攻撃の時、イギリスで炭労ストが激しく闘われていた。



 分割・民営化から約15年間は、動労千葉は困難に困難を極めました。なにをやっても要求は前進をしない。配転攻撃、組織破壊攻撃が加えられたががんばり抜いた。そして01年、業務の全面的外注化を中心とする「第2の分割・民営化」攻撃が始まった。われわれは原点に帰って、腹をすえて闘い抜こうと組合員に訴え、毎年のようなストライキ闘争を始めた。シニア制度を粉砕し、強制配転者を職場に戻し、安全問題で大きな成果をあげ、事故をおこした仲間を守り、館山運転区・木更津支区廃止反対闘争に勝利し、この6年間大きな成果を勝ち取った。
 動労千葉は07年の大会で、「国鉄分割・民営化攻撃に勝利した」と総括した。世界で吹き荒れた新自由主義攻撃に唯一勝利したのは動労千葉だったと確認できるのではないか。

体制内労働運動からの脱却を!

 新自由主義攻撃の最大の攻防点が、4大産別だ。とりわけ自治体をめぐって大きな焦点になっている。
 「公務員制度改革」とは、自治労解体と200万人の公務員の首切りだ。その手法は「民営化」である。そしてその突破口に、社会保険庁の解体・分割・民営化攻撃が位置づけられている。
 ところが、自治労にしても、自治労連にしても、民営化絶対反対を掲げるどころか、民営化に対して「新たな公共サービス論」や「公務・公共部門の民主化」を対置し、一切の職場からの闘いを放棄している。
 民営化による労働者の首切り、公務員労働者の首切りが行うとしているのに、「よりよい民営化」を対置して、どうして首切りを阻止できるのか。社会保険庁労組の協会派は、「真摯(しんし)に反省」「残業は仕方ない」、「一時金の返納にも積極的に応じる」と全面屈服している。組合幹部はこれを「職員の雇用を守るため」と合理化さえしている。
 だが、決戦を回避し、当局・安倍にはいつくばることで職員の雇用が守れるのか! 「日本年金機構」への移行にあたり1万7千人の職員のうち12年度までに4千人のクビが切られようとしているのだ。組合員の怒りを組織し、断固とした反撃に出なければ、労働者の首は切られ、団結をボロボロに崩されてしまうだけだ。協会派は、分割民営化の時の国労本部のたどった歴史を、ここでも繰り返そうとしているのである。

 今の国労本部も、そして「総評運動を継承する」と結成された全労協も、「階級的労働運動」を標榜し結成した全労連も、また、協会派や共産党など全ての党派も、国鉄分割・民営化について総括をすることをしない。いやできなかったのだ。国鉄分割民営化で10万人が首切られることにたいして、一戦も交えることなく屈服し、全部破産・崩壊したからだ。その惨めな破産した姿を想い出したくないのかもしれない。
  しかし、こうした勢力が行っていることは、現場の労働者が「動労千葉のように闘おう」と闘いを始めた瞬間、「動労千葉は過激派だ」「労働組合の仮面をかぶった暴力集団」などという破廉恥な反動労千葉キャンペンーンを繰り返えし、資本と一体となって職場からたたかう労働者を排除をしようとしている。しかし、彼らの破産はすでに国鉄分割民営化攻撃で証明されている。彼らには1ミリたりとも正義も、そして展望も未来もない。

新たな闘いの鼓動!

 07年3月18日、「労働運動で革命をやろう」をスローガンに新たな青年労働者の自己解放的闘いが登場し、大きな渦となってている。その核心は、「体制内労働運動からの脱却」であり「自らの職場で、地域で、動労千葉のように闘おう」という動労千葉労働運動である。
 こうした青年労働者の闘いは、闘わない労働組合を闘う労働組合に変えるために、動労千葉に学び、職場での闘いを始めたことから始まった。そして今、それが大きな団結をつくりだしている。また職場に労働組合のない労働者たちは、自らの職場や地域で労働組合の結成を呼びかけている。
 時代は大きく変わろうとしている。全世界、そして日本で労働者の大反乱が始まっている。これは新自由主義攻撃によって延命しようとしている帝国主義に対する労働者人民の根底からの怒りだ。民営化・規制緩和と労組破壊攻撃のへの怒りの爆発である。この怒りを組織できるのは新自由主義攻撃と対決し勝利している動労千葉の労働運動しかない。
 
 
参考文献
●「俺たちは鉄路に生きる」中野洋著 社会評論社 ●「俺たちは鉄路に生きる2」中野洋著 労働者学習センター●「甦れ労働組合」中野洋著 社会評論社 ●「破防法研究53号」86・2月発行 ●「生涯一労働者」佐藤芳夫著 労働者学習センター ●「戦後労働運動の奇跡と国鉄闘争」中野洋著 アール企画 ●『甦れ鉄輪旗』動労総連合結成10年記念誌●機関誌『動労千葉』●「日刊動労千葉」など 

 

 


 

このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください