辞書では「主要駅だけに停車し、高速で運行する列車」と明記されています
特急列車よりは停車駅が多く、快速列車よりは停車駅が少ないのが基本です
特に大手私鉄には多く存在しています
急行列車の誕生は鉄道が誕生した時代になります
私鉄では1894年(明治27年)に山陽電鉄(現在のJR山陽本線)が神戸〜広島に急行を走らせました
国営鉄道では1896年(明治29年)に東海道本線の新橋〜神戸間を走る急行列車が登場しています
1912年(明治45年)には新橋〜下関間を走る特別急行列車が登場して、のちに特急「富士」となります
この時代は特急よりも急行のほうが圧倒的に多く、特急は限られた身分の人しか利用できない高級な列車でした
戦後になると準急行列車が登場して、急行列車から特急列車へ格上げされた列車も多々ありました
1972年(昭和47年)10月30日の国鉄ダイヤ改正で「エル特急」が登場しました
自由席を連結して、列車本数も多いエル特急は特急列車を利用しやすいものしました
エル特急の登場により急行列車が大幅に廃止や特急化されていきます
国鉄民営化後も急行列車の廃止が次々に行われていきました
現在、JRグループで定期運行の急行列車は6本だけになりました
急行「はまなす」札幌〜青森 1日1往復(夜行)
急行「能登」 上野〜金沢 1日1往復(夜行)
急行「きたぐに」大阪〜新潟 1日1往復(夜行)
寝台急行「銀河」東京〜大阪 1日1往復(夜行)
急行「つやま」 岡山〜津山 1日1往復(昼行)
急行「みよし」 広島〜三次 1日4往復(昼行)
いずれの列車も利用率が低めで、車両は国鉄時代の古いものが使用されています
急行は近い将来に全廃される可能性があります
今回の特集では「つやま」と「みよし」を取り上げます
残念ながら「みよし」はH19年6月30日の運転を持って廃止となり、快速「みよしライナー」になりました
急行「つやま」
津山線の岡山〜津山を運行する急行列車です
1日1往復のみ運転で全車自由席です
1962年(昭和37年)に宇野〜鳥取間を走る準急「砂丘」として登場しました
その後「砂丘」は急行列車に格上げされ、山陽と山陰を結ぶ列車として1日5往復も運転されました
この列車は因美線にて走行しながらタブレット(通行票)交換をする列車として鉄道ファンにも人気の列車でした
運転席から身を乗り出してタブレットをホームの輪に引っ掛ける作業は命がけでした
1997年(平成9年)に岡山〜鳥取を走る特急「いなば」が登場しました
「砂丘」は廃止になり、「つやま」として1日1往復の急行になりました
現在使用されている車両はキハ40系の2両編成です
車内販売や自動販売機・電話の設備は一切ありません
急行列車なのに一部座席はロングシートになっています
普通列車や快速列車にも使われる事から優先座席もあります
津山線には快速「ことぶき」が走っていて、法界院駅に止まる他は停車駅が同じです
列車編成と運転時刻は以下のようになっています
1号車2号車自由席自由席 | | | |
岡山<—————>津山
※この画像は2005年撮影です。現在は時刻が変更になっています
下り 津山行き岡山 | 11:14発 | 金川 | 11:37発 | 福渡 | 11:50発 | 弓削 | 12:03発 | 亀甲 | 12:13発 | 津山 | 12:23着 | |
| 上り 岡山行き 津山 | 15:53発 | 亀甲 | 16:03発 | 弓削 | 16:12発 | 福渡 | 16:23発 | 金川 | 16:36発 | 岡山 | 16:59着 | |
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時刻は2007年3月18日ダイヤ改正のものです
利用の際には最新の時刻表で確認をお願いします
急行「みよし」
芸備線の広島〜三次を運行していた急行列車です
1日4往復運転されていて、急行列車の中で最も運行本数が多かったです
1号と6号は三次〜備後落合間を普通列車として運転していました
「みよし」の登場は1985年(昭和60年)で芸備線にはすでに多くの急行列車が存在しました
このうちの「たいしゃく」「ちどり」の1往復が「みよし」となりました
「たいしゃく」「ちどり」「みよし」の運転区間は、広島〜米子・新見・三次でした
その後は運転区間が短縮され、全ての急行列車は広島〜備後落合間の運転になりました
現在と同じように一部区間は普通列車として運転されていました
2002年(平成14年)に「たいしゃく」「ちどり」を廃止にして「みよし」に統合されました
車両は急行形気動車のキハ28系とキハ58系の2両で運転していました
この車両は急行列車の中でも最も大量に生産されて全国で走っていました
みよし号は最後まで急行形列車を「急行」で使用していました
車内販売や自動販売機・電話の設備はありません
トイレには洗面台が備え付けられています
2号車は喫煙車ですが三次〜備後落合の普通列車区間ではたばこが吸えませんでした
普通列車で使われる事から優先座席もあります
「みよし」は平成19年6月30日の運転を持って廃止になり、快速「みよしライナー」になりました
過去の列車編成と運転時刻は以下のようになっています
1号車2号車自由席自由席 | | | |
広島<—————>三次
みよし1号 広島行き(備後落合) | 6:55発 | (備後庄原) | 7:38発 | (塩町) | 7:58発 | 三次 | 8:14発 | 甲立 | 8:31発 | 向原 | 8:41発 | 志和口 | 8:51発 | 広島 | 9:25着 | |
| みよし3号 広島行き三次 | 10:31発 | 甲立 | 10:49発 | 向原 | 10:59発 | 志和口 | 11:09発 | 下深川 | 11:28発 | 安芸矢口 | 11:36発 | 矢賀 | 11:44発 | 広島 | 11:49着 | |
| みよし5号 広島行き三次 | 15:13発 | 甲立 | 15:30発 | 向原 | 15:40発 | 志和口 | 15:50発 | 広島 | 16:25着 | |
| みよし7号 広島行き三次 | 17:56発 | 甲立 | 18:18発 | 向原 | 18:30発 | 志和口 | 18:40発 | 広島 | 19:15着 | |
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みよし2号 三次行き広島 | 8:38発 | 志和口 | 9:17発 | 向原 | 9:29発 | 甲立 | 9:42発 | 三次 | 9:58着 | |
| みよし4号 三次行き広島 | 12:21発 | 矢賀 | 12:25発 | 安芸矢口 | 12:34発 | 下深川 | 12:41発 | 志和口 | 13:02発 | 向原 | 13:13発 | 甲立 | 13:23発 | 三次 | 13:40着 | |
| みよし6号 備後落合行き広島 | 17:07発 | 志和口 | 17:41発 | 向原 | 17:52発 | 甲立 | 18:02発 | 三次 | 18:24発 | (塩町) | 18:34発 | (備後庄原) | 19:05発 | (備後落合) | 20:03着 | |
| みよし8号 三次行き広島 | 21:03発 | 志和口 | 21:38発 | 向原 | 21:49発 | 甲立 | 21:59発 | 三次 | 22:16着 | |
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みよし1号と6号の三次〜備後落合間は普通列車として各駅に停車していました
時刻は2007年3月18日ダイヤ改正のものです
急行列車の全廃へ
2000年以降に廃止された急行列車の一覧です 「宗谷」札幌〜稚内 2000年廃止→特急列車へ
「アルプス」新宿〜信濃大町 2001年廃止→臨時列車へ
「よねしろ」秋田〜鹿角花輪 2002年廃止→快速列車へ
「陸中」盛岡〜釜石 2002年廃止→快速列車へ
「ちどり」広島〜備後落合 2002年廃止→急行「みよし」と統合
「たいしゃく」広島〜備後落合 2002年廃止→急行「みよし」と統合
「ちくま」大阪〜長野 2003年廃止→臨時列車へ
「だいせん」大阪〜米子 2004年廃止→廃止
「くまがわ」熊本〜人吉 2004年廃止→特急列車へ
「かすが」名古屋〜奈良 2006年廃止→廃止
「みよし」広島〜三次 2007年廃止→快速列車へ
このように急行列車は、ほぼ1年毎に廃止されています
現在残っている急行列車も利用率の低迷や車両の老朽化が進み廃止の可能性が高まっています
快速列車のサービスが向上する現在、中途半端な位置付けにある急行は時代に取り残されてしまいました
おまけ—営業制度上の急行列車
JRグループ各社が共通で定めている「旅客営業制度」ではなんと特急列車という言葉がありませんでした
この制度は輸送サービスの内容・運賃・乗車券類発売方法などのきっぷの販売・払い戻しについての制度です
このなかの急行券をみると2つにグループ分けされています
それは特別急行券と普通急行券です
よく目にする指定席特急券や自由席特急券は特別急行券の中でさらに区分けされています
現在は乗継割引制度などが追加された事により特急列車という言葉が入っていますが
未だに急行列車のほうが上に位置付けられています
これは制度が作られた時代を反映しているものと思われます
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このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください
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