<313系 直流近郊形電車> |
(撮影:0番台・Y12編成 「普通・163F/岐阜」
愛知御津〜三河大塚
2008/8/11) |
【解説】
313系は、経年により老朽化した国鉄時代の103系・113系・165系車両の置き換え、さらに今後の在来線車両のスタンダートとなる車両として設計されました。
1・2次車は、平成10年から12年にわたり、187両が製造されました。JR化後に製造された電車(211系・311系・213系・373系等)とは連結して運転を行うことができます。制御機器は383系・373系で採用されている、VVVFインバーターを使用していますが、313系では素子をサイリスタからトランジスタに変更し、さらにきめ細かな制御を可能としています。
車体は、平成7年に登場した特急用の373系を基本としています。当初の計画では、373系の車体をそのまま流用する予定でしたが、373系は211系等の一般車両より長さが1m程度長く、ホームの乗車位置案内等を変更する必要があったため、車体が専用に設計され211系・311系と同様の19.5mとなりました。車体高さ・床面高さは373系と同じで、211系と連結の際は高さに差ができるため、先頭車の貫通路にスロープをつけて対応しています。
車体の鋼体(骨組)は腐食対策・軽量化のため、応力を解析し側柱や窓の周囲などの板厚を適正なものにした、ステンレス鋼製薄肉軽量構造を採用しています。天井には2台の冷房ユニットを搭載し、パンタグラフの乗る部分もフラットにし統一化を図っています。側窓はキハ75形気動車と同じ固定構造で窓は開きませんが、車端は非常時の換気用に上部が少し開きます。戸袋部分は311系で不評であったため窓はつけず、また風止めゴムにより隙間風を防止しています。
さらに、平成18年度には3次車として、204両が追加製造されました。3次車は、停止時まで回生ブレーキを使用する純電気ブレーキ、HID及びLEDヘッドライト、フルカラーLED行先表示幕などを採用しています。また、車体強度も1・2次車に比べて向上しています。3次車の登場により、113系、115系といった車両の置換えが行われ、静岡地区ではJR化後に製造された車両に統一されました。平成22年から4次車が投入され、117系、119系の置き換えが行われています。平成26年には武豊線電化開業用に5次車が投入されています。 |
【運用】
313系には、使用線区・列車に応じて多彩なバリエーションがあります。番台で区分をすると0番台・300番台・1000番台(1100番台)・1300番台・1500番台(1600・1700番台)・2300番台・2500番台(2600番台)・3000番台(3100番台)・5000番台・5300番台・8000番台があり、それらを大きく分けると快速列車用・一般通勤用・ワンマン運転用・グレードアップ(セントラルライナー)用となります。
0番台は、313系の標準となるタイプでMc-T-M-Tc'の4両編成です。車内はドア寄1列と車端部を除き転換式クロスシートです。大垣車両区配属され、東海道本線(豊橋・浜松〜大垣・米原)の普通・快速列車に使用されています。
300番台は、0番台の2両編成タイプで、車内も0番台に準じています。0・5000番台の増結用や2両単独で普通列車に使用されることもあります。また、飯田線(豊橋〜豊川・新城・本長篠)で運用されることもあります。
1000番台は、0番台と同様の4両編成ですが、クハ312形を除き車端の座席がロングシートになっています。1100番台は、1000番台の増備車です。神領車両区と大垣車両区にが配属され、中央本線(名古屋〜南木曽)、東海道本線(米原〜浜松)の普通・快速列車に運行されています。
1300番台は、ワンマン運転に対応したMc-Tc'の2両編成です。4・5次車で、神領車両区に配置されています。3000番台とは異なり、車内はドア寄1列と車端部を除き転換式クロスシートです。中央本線(中津川〜松本、名古屋〜中津川)、関西本線(名古屋〜亀山)などにて運行されています。
1500番台は、1000番台の3両編成タイプで、Mc-M-Tc'の3両編成です。車内も1000番台と同じです。M車は片方の台車が付随台車になっており、編成全体のMT比は1.5:1.5になります。1600・1700番台は、1500番台の増備車です。神領車両区に配属され、中央本線(名古屋〜南木曽)の普通・快速列車を中心に、211系・213系や他番台を併結して運行されています。なお、1700番台はスノープロウを装備し、飯田線経由でJR東日本の長野駅まで乗り入れます。
2300番台は、平成18年度に増備された3次車で、Mc-Tc'の2両編成です。車内は、オールロングシートで、ワンマン機器の準備工事がされています。なお、架線の霜取り用にパンタグラフを2つ設けた車両は、2350番台と区分されています。静岡車両区に配属され、御殿場線・身延線を中心に静岡地区の普通列車に運用されています。
2500番台は、平成18年度に増備された3次車で、Mc-M-Tc'の3両編成です。基本的な構造は1500番台と同様ですが、車内はオールロングシートです。2600番台は、2500番台に発電ブレーキを追加装備した車両です。静岡車両区に配属され、静岡地区の東海道線を中心とした普通列車に運用されています。
3000番台は、ワンマン運転に対応したMc-Tc'の2両編成です。列車本数の低い線区を走行することを前提に設計されているため、回生ブレーキ失効が起きても空気ブレーキを使用しなくても良いよう、発電ブレーキを積んでいます。車内も、ワンマン用ということで整理券発行機・運賃表示機・運賃箱の設置がされています。座席は、固定式クロスシートとロングシートの組み合わせです。3100番台は、3000番台の増備車です。大垣車両区に配属された車両は、飯田線(豊橋〜辰野・岡谷・上諏訪)、東海道本線(美濃赤坂〜大垣)などに運行されています。一部は0番台等と併結し、特別快速などの運用もされています。静岡車両区に配属された車両は、身延線(富士〜甲府)、御殿場線(沼津〜国府津)などに運行されています。
5000番台は、平成18年度に増備された3次車で、Mc-T-M-T-M-Tc'の6両編成です。快速列車用に設計された車両で、車体間ダンパやセミアクティブダンパ(先頭台車のみ)が装備されています。車内は、ドア寄と車端部を含めて転換式クロスシートです。大垣車両区に配属され、東海道線(米原〜浜松)の快速列車を中心に運用されています。
8000番台は、「セントラルライナー」用のグレードアップ車両で、車体の塗色・室内が他の313系と異なっています。床下機器関連は1500番台と同じで、Mc-M-Tc'の3両編成です。座席は車端部を除き転換式クロスシートとなっており、車端部はテーブル付のボックスシートです。中央本線の「セントラルライナー」で運用されていましたが、平成25年3月で同列車が廃止となったため、現在は中央本線の普通・快速列車、「ホームライナー」にて運行されています。
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(撮影:300番台・Y37編成他 「快速/豊橋」
岐阜〜木曽川
2005/4/9) |
(撮影:1000番台・B1編成 「快速/名古屋」
釜戸〜瑞浪
2006/9/24) |
(撮影:1300番台・B508編成 「ワンマン普通・335G/四日市」
永和〜弥富
2013/6/22) |
(撮影:2350番台・W1編成 「普通・2532M/国府津」
御殿場〜足柄
2008/4/12) |
(撮影:2500番台・T16編成 「普通・965M/浜松」
新居町〜鷲津
2008/8/13) |
(撮影:2600番台・N1編成 「普通・2532M/国府津」
谷峨〜山北
2009/4/7) |
(撮影:3000番台・V10編成 「ワンマン普通・3538G/富士」
入山瀬〜竪堀
2009/1/25) |
(撮影:Y103編成 「新快速・2324F/豊橋」
三河大塚〜愛知御津
2008/8/11) |
(撮影:8000番台・B201編成他 「セントラルライナー10号/名古屋」
釜戸〜瑞浪
2006/9/24) |