このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

鉄道模型おきらく研究室:レイアウトと列車のページ

カント 補遺

 by Archerさん

(はいでの「カント」に対して,さらに考察を加えてくださいました)

実物をもとに模型のカントの適値を求められている点、敬意を表します。

実物と異なる点として,模型の場合,長編成の列車を走らせると,内側にドサッと倒れる現象があり,この点が気になって,見積もってみました.ご参考になれば幸いです.

<計算>

R:最小半径 240
2a:連結器間距離(最大車長) 140
h:重心高さ
c:連結器(レールからの)高さ 6
F:最大牽引力
m:付随車質量 

Fはモーター車の最大牽引力ではなくて,実際に引っ張られている車両の最大の抵抗.最大値はもちろんモーター車の最大牽引力になる.実際はよくわからないので,ここでは,最大値(最悪値)として,モータ車質量2m、粘着係数0.5として、mgとみつもる。

この時、カプラーからの牽引力による、中心方向への力は(図参照)
記号の定義

2Fa/R=2mga/R

この力が高さcに加わるので重心位置に換算すると,

左右の力=2mga/R*c/h

これをmgでわると

tanθ=2a/R*c/h

レール面上の重心移動に換算するために重心高さhをかけると,

htanθ=2ac/R=3.5mm

この値はゲージの半分(4.5mm)の78%になる.

<考察>

(1)実物では,aが最大10m,Rが最小100mの場合でも,模型の20%程度.実物では,100mのRで長大編成を引くとは思われない,などの理由でこのような計算は考慮されないものと思われる(調べていませんが).
(2)Rが小さいほど,またaが長いほど,この量は大きくなる.
(3)cが高いほど大きくなるので,連結器高さが低い台車マウントは有利.高い車体マウントは不利.
(4)重心高さはこの項に関しては関係がない.
(5)Fを小さくすればこの値は小さくなる.Fを小さくするには,牽引する両数を減らす(押すほうは良い.ただし,この場合はポイント等で脱線しやすくなるのはご存知の通り).走行抵抗を小さくする,等.逆にレール継ぎ目等でひっかかったりすると,最大牽引力がもろに加わるので,ドサッと倒れる危険性は高いかと思えわれる.

結論的に言うと,カントをつけて実感的なレイアウトを目指す場合には,それにあった編成を,ということになるかと思います.頭が西向きなら尾っぽは東向き.小さなカーブに長大編成を走らす場合はカントはやめたほうが,,,となるかもしれません.


(はいでコメント:牽引力によって重心移動換算で,ゲージの半分の78%であるということは,外輪の接地荷重は本来の22%しかありません.ですから,重心高を18mmとすると,カント傾斜が5.5%で列車内側に転倒することになります.長編成かつ色々な列車を走らせる場合は5%以下にしたほうが無難かもしれません.)



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