このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

鉄道模型おきらく研究室:レイアウトと列車のページ
アイラインがハッキリしない車両の眺め方 第2報
〜旧型客車のレイアウト映え向上の一手法〜


1.はじめに

  今でこそ,「ビジュアル系手放し運転派」などと訳のわからないことをうそぶき,派手な車輌ばかり運転している私ですが,もともとは蒸気機関車と旧型客車(特に茶色)が大好きなんです.しかし,旧型客車は色が暗いうえに,窓の形状(以下「アイライン」)がはっきりしない(注)ために,レイアウト映えに難があります.

  そこで,視点を窓の高さにおくことで,車輌反対側の風景が透け,窓がハッキリするためにアイラインがハッキリして,レイアウト映えが向上することがわかりました.視点の高さを変える以外の方法として,室内灯をつければレイアウト映えがよくなるとは思います.しかし,私の経験では,室内灯がチラつくことがあり,落ち着いて眺めることができません.線路や車輪の保守をじっくりやればいいのかもしれませんが,ものぐさの私には向いていません.

  そこで,今回ご報告するのは,窓ガラスの室内側に色紙を入れて,アイラインを強調することです.
なお,私の知る限り,TOMIXの車輌の一部には,窓ガラスの内側に着色した例があります(画像1).

TOMIXのEF66-100
画像1 EF66−100(TOMIX)
前面の窓ガラスの裏側が着色されています.
 モータを隠すためだと思われます.

注)窓がサッシの旧型客車はレイアウト映えが極端にわるいことはありませんので,本研究では扱いません.

2.基礎実験

2.1供試車輌

レイアウト映えが悪いために休車中の茶色スハ32(GMキット組立)を用いました.

スハ32を真横から
スハ32を斜め上方から
試験用 スハ32 (GMキット組立)


外側に用いた塗料は下表のとおりです.一般的な塗料だと思います.

表1 スハ32の塗装に使用した塗料
部位色の名称メーカー番号
側板・妻板ぶどう2号GM
屋根ねずみ1号GM7
床下黒色GM10


  
2.2.色紙の塗装につかった塗料

手持ちのグレー系統の塗料を用いました.
外板の塗色である茶色の同系色とか,バックの緑系統色とかの使用も考えられますが,他の車輌への応用を考えて無彩色のグレーを用いました.

塗料
塗料B:RLMグレー(グンゼ(現CGク レオス)75)塗料A:ジャーマングレー(タミヤ4)
塗料と色紙

塗料C:エアクラフトグレー(グンゼ(現 CGクレオス)57)塗料D:スカイグレー(タミヤXF19)

色が暗い(明度が低い)順に
・ジャーマングレー(タミヤ4)
・RLMグレー(グンゼ(現CGクレオス)75)
・エアクラフトグレー(グンゼ(現CGクレオス)57)
・スカイグレー(タミヤXF19)

画像2の帯紙をロの字型に組んで室内に入れ,窓ガラスに密着させました.しかし,一部密着していないところがあります(塗料をたっぷり筆塗りしたら,伸びてしまいました).



2.3 装着実験

DD51(KATO)に連結して,レイアウトに置きました.室内の照明は蛍光灯です.なお,色紙の効果の比較用として,色紙の入ってないオハ60も連結してあります.

室内色
画像
ジャーマングレー(タミヤ4)

窓がわかりますね.でも,少し暗いような気がします.
ジャーマングレーの色紙を入れた茶色客車
RLMグレー(グンゼ(現CGクレオス)75)

ジャーマングレーと大差ありませんが,はいでの主観ではこの色がレイアウト映えするように感じました.
RLMグレーの色紙を入れた茶色客車
エアクラフトグレー(グンゼ(現CGクレオス)57)

窓が目立ちすぎますね.
エアクラフトグレーの色紙を入れた茶色客車
スカイグレー(タミヤXF19)


窓が目立ちすぎますね.ただ,真中へんやや左のあたりの色ならいいかもしれません.ここは密着が悪い部分で(塗装で紙が伸びた),色紙と窓セルとの隙間が1〜2mmあります.
スカイグレーの色紙を入れた茶色客車


はいでの主観では,良い順に

 塗料B ≧ 塗料A > 塗料C ≧ 塗料D

 と感じました.
 自分で調色するなら,塗料Bと塗料Cとを混合すると良いと思います.



3.考察

・色紙でアイラインがハッキリします.
・ジャーマングレー(塗料A)とRLMグレー(塗料B)との差は,レイアウトに置いてみるとわかりません.
本来はジャーマングレーのほうがRLMグレーよりも暗いのですが,レイアウト上では明るく見えることがあります.
これは,RLMグレーがガラスに密着していないためだと思われます.

・前項と同様に,エアクラフトグレーとスカイグレーとの差は,レイアウト上ではよくわかりません.
スカイグレーのほうが暗く見えることがありますが,これもガラスに密着していないためです(帯紙を切断・折曲後塗装したため,伸びが生じてしまいました).

以上をまとめると,
1)色紙でアイラインがハッキリします.
2)色紙を窓にぴったりつけるなら,暗めのグレーであるRLMグレー〜ジャーマングレーの室内色がよさそうです.
3)色紙を窓から1〜2mm浮かすなら,明るめのグレーであるエアクラフトグレー〜スカイグレーの室内色がよさそうです.
4)多少の色の違いはわからないので,神経質になる必要はないでしょう.
5)色紙とガラスとの隙間が一定でなかったり,密着していなかったりすると目立ちます.


4.実用化試験

4.1 色紙の量産
色紙をきちんと切り出して,マスキングテープで止めました.色はジャーマングレーです(本当はRLMグレーがいいのですが,気軽にスプレーできるのでつい怠慢をしてしまいました).

色紙
室内視

色紙の取付要領


4.2 実装

以上を踏まえて,スハ32とオハ60系客車に装着してみました.
スハ32

 色紙装着後の画像です.
 なお,トイレの窓は白くしてみました.

 レイアウト映えの不満が一応解消されましたので,休車だったこのスハ32が現役に復帰しました.
スハ32色紙
色紙密着前の画像です.アイラインが不鮮明ですよね.これでも,近くから見ているから窓がわかりますが,離れるとアイラインはほとんどわからなくなります.色紙なし



オハ60

 スハ32と同様に色紙を窓ガラスに密着させたものです.
 この車輌も,トイレの窓は白くしてみました.
オハ60色紙あり
色紙密着前の画像です.アイラインが不鮮明ですよね.ただし,左側ドアのHゴムは目立っています.色紙なし、側面視

オハフ60

 スハ32と同様に色紙を窓ガラスに密着させたものです.
斜め上方視
色紙密着前です.これもアイラインが不鮮明ですよね.ただし,左側ドアのHゴムは目立っています.側面視

ついでに,休車中のWルーフのスハフ32(ナカセイキット組立)にも装着してみました.こちらも現役復帰です.なお,このスハ32は
 はいでのキット組立て第1号車です.
スハ32(茶)色紙
これまたついでに,余った色紙をKATOの青色客車にも装着してみました.右の画像はスハフ42です.色はジャーマングレーです.まずまずだと思います.本来は,色紙と外板色との相性を確認する必要がありますが,今回は確認していません.完全な手抜きです.しかし,相性はそんなに悪くないと思います.スハフ42(青)色紙

蛇足ですが,内貼があるときは,やや上から見るとよさそうです.
夜間,蛍光灯の下,車輌の窓の高さで見ると窓の上のほうに影ができます.
視点を上におくことで,影が見えにくくなります.また,色紙を窓に密着させない場合,影が多くなると思います.

色紙上の影


4.3 編成としてのレイアウト映え

これらの車輌を,遠くから見て,型式の違いがわかるか試してみました.
三つづつ狭窓が連なっているので,60系客車だとわかります.そして,車掌室の有無で
 オハ60+オハフ60
 ということがわかりますよね.
遠景画像(オハ60+オハフ60)
左の車輌は,窓が均等なので32系客車だとわかります.ですから,
 スハ32+オハフ60
 ということがわかりますよね.
遠景オハフ60+スハ32


60系客車と32系客車とで,窓配置が違うことが一目でわかりますよね.

下の画像も60系客車と32系客車との比較です.窓配置が違うことがわかりますよね.
機関車が違うので正確な比較ではありませんが,表紙の画像とも比べてみてください.
左から,
 スハ32+オハフ60+DD54
遠景画像
左から,
 オハ60+オハフ60+DD54
遠景画像
表紙の画像です.客車だけを一つ上の画像と比べてください.
 左から,
 オハ60(色紙無)+オハフ60(色紙無)+C55流改造九州型
遠景画像


 ここでは,やや遠くから編成を組んだときの画像をごらんにいれます.

32系客車+60系客車の5連

 左の2両が60系客車です.どちらも狭窓客車ですが,窓配
 置が微妙に異なることがお分かり頂けると思います.
遠景画像
32系客車3連

 余談ですが,はいでが初めて作った車輌がこの32系客車3両です.
 今でこそ「ビジュアル系」などとうそぶいている私ですが,もともとはこんな光景が好みです.
 欲を言えば,機関車が蒸機なら大満足なんですが.
遠景画像(茶色)
旧型客車いろいろ

 43系客車,44系客車,10系客車による急行「羽出」(はいで)です.画像が小さくみにくいのですが,狭窓スハニ35(右から2両目)の存在がおわかりになると思います.
遠景画像(青、茶)



 色紙は,旧型客車のレイアウト映えを不満のないレベルまで向上させる効果があると思います.これがはいでの結論です.

5.おわりに

 色紙を内側から貼ることで旧型客車のレイアウト映えが大幅に向上すると思います.皆様もお試しになられてはいかがでしょうか(なお,貼り付けにはマスキングテープを使えば,気に入らないときは簡単にはずすことができます)
 また,旧型客車以外のアイラインがはっきりしない車輌(例えばトワイライトEXPなど)にも応用が利くと思います.お試しになられた方がいらっしゃられたら,ご投稿頂ければ幸いです.

鉄道模型おきらく研究室:レイアウトと列車のページ
「おきらく研究室:レイアウトと列車のページ」のトップへ

このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください