このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

ワーキングガール・ウォーズ

【著者】 柴田 よしき      【装丁】 新潮文庫 369頁
【価格】 552円+税       【発行】 平成19年4月

要するに、いわゆるキャリアウーマンの心情吐露が主題である。
主人公の墨田翔子は37歳。東証1部上場の大手総合音楽企業の企画部勤務で役職は係長、年収は1000万円を超え、しかも都心のマンション暮らしである。
誰しも羨むと同時に嫉妬せずにはいられないが、しかし見方を変えれば、独身、家庭なし、恋人なしで人望もない孤独な女性、と言えなくもない。
本人、他人にどう思われているかは百も承知のうえである。陰口にも、ひとりランチにも慣れているが、それですべてを割り切れるほどの強心臓でもない。職場、イコール生活の毎日では、ストレスはたまる一方だ。
翔子は、積もりに積もった鬱憤を晴らすために、オーストラリアのケアンズへ旅行に出かけることにした。現地旅行会社に勤める嵯峨野愛美とインターネットにより知り合った縁である。
さてそのケアンズではあろうことか、同じツァーの一員で、ふられた男の新婚旅行を追いかけてきた大泉嶺奈と大喧嘩になる。翔子が見ていたペリカンに、嶺奈が石をぶつけたのが原因だ。
そんなこんなで、多少心のよれている3人が、旅行を通じて奇妙な友情により結ばれる。
企画部は社内でも花形の部署である。翔子の企画部在籍が長いということは、それだけ実績をあげてきた、ということだ。実際、翔子の企画力は社内でも一目置かれているところである。
しかし、翔子の職場は問題山積だ。女性特有の意地悪もあれば、男性上司の無理解もある。こうした日常のなかで、様々な事件がおきて翔子を悩ませる。
女性ならではの視点で仕事について考える。身近なテーマだけに、一気に読んでしまう一冊である。





2011.8.15

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