このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください
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コールドゲーム
【著者】 荻原 浩 【装丁】 新潮文庫 480頁
【価格】 667円+税 【発行】 平成17年11月
高校3年生の夏、渡辺光也は北中2年生のとき同じクラスだった山岸亮太に呼び出された。
中学時代の同級生が次々と襲われているという。
植村弘樹は深夜、コンビニの駐車場でいきなり背後から一撃された。神野葵は万引き常習犯とのビラを撒かれた。ジャンボ和泉は飼い犬を殺された。
いずれも事前にメールで犯行予告があり、確実に実行されている。メールの内容から犯行は北中のとき同級だった廣吉剛史であることが判明した。
廣吉は当時、トロ吉と呼ばれ、いじめの対象だった。クラスの多くがいじめに加わり、教師の野口さえ例外ではなかった。
光也と亮太は県立高校に行っている小嶋明弘に相談をもちかけ、対策を練る。
警察に相談すれば、中学時代のいじめが表面化してしまう。結局、自分たちで廣吉を見つけよう、ということになった。
しかし、次から次へと事件は続く。緊急の同窓会が開かれたが、意見はまとまらない。その間にも犠牲者が増えていく。
清水郡平は屋上プールから落ちて死亡するという事態にまで至ったが、警察では事件として取り上げられなかった。
まさにコールドゲームの名に背かない物語が展開する。
さて、本書のテーマは“いじめ”である。およそ、いじめる側は、いじめられる者の気持ちが分からない。いじめた側がすぐ忘れても、いじめられた者は忘れることはできない。
両者の落差は、4年という間をおいて事件がおきたことでも明らかだ。
提示されていることは、今日的課題に見えながら、いつの時代にも共通したテーマなのかも知れない。
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