このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください
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いつか、虹の向こうへ
【著者】 伊岡 瞬 【装丁】 角川文庫 362頁
【価格】 476円+税 【発行】 平成20年5月
尾木遼平はアルコール中毒気味の中年警備員である。酒場で飲みすぎた帰り道、金がないので泊めてほしいと声をかけられた若い女性をめぐって3人組と乱闘になる。翌朝、目を覚ました尾木は、自分が自宅に帰っていることに気づく。昨夜の若い女性、高瀬早希が連れ帰ってくれたのだ。
尾木の住む一戸建ての家には奇妙な同居人がいる。翻訳者・石渡久典、休学中の国立大生・柳原潤、元主婦・村下恭子の3人だ。
尾木はかつて腕利きの刑事だったが、ひょんなことからひとりの男を死に至らしめてしまった。妻に去られた尾木には、この一軒の家しか残っていない。
早希は4人目の同居人になった。
ところがその早希を追いかけて久保裕也がやってくる。そしてその日の夕方、久保は工事中の陸橋から転落して死んでしまうのだ。状況から何者かに衝き落とされたものらしい。
死んだ久保は、地元暴力団の組長・檜山の甥だった。檜山は、久保の初七日の法要までに犯人を捜すよう尾木に厳命する。
尾木は目撃者捜しなど精力的に動き、思いもかけなかった真実に迫る。
本書は2005年の第25回横溝正史ミステリ大賞とテレビ東京賞をダブル受賞したハードボイルド小説で、受賞から半年あまりでテレビドラマ化された、高い評価を受けた作品である。
題名は、石渡が書いた絵本、「虹売り」の話からとったものである。これがなかなかいい話で、小説全体を引き立てるアクセントになっている。
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