このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください
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グラスホッパー
【著者】 伊坂 幸太郎 【装丁】 角川文庫 345頁
【価格】 590円+税 【発行】 平成19年6月
3人の人物が交互に語りを務める。
一人目は「鈴木」。彼は「令嬢」という非合法な手段で金を稼ぐ会社に入るが、実は、この会社の社長・寺原の長男に妻を轢き殺されたため、教師という職を捨てて復讐のために入社したのだ。彼は会社の幹部・比与子とともに、寺原長男が目の前で車に轢かれるのを目撃する。比与子は、それが単なる事故ではなく「押し屋」による殺人だ、と言う。鈴木は現場から立ち去ろうとしていた押し屋らしき人物の後を追う。
二人目は「鯨」。身長が190㌢以上ある大男だ。殺し屋だが、自分で手を下すわけではない。相手に話しかけ自殺を促す。催眠術か超能力のようなものの持ち主だ。
ビルの高層階で33人目の処理をしている最中、偶然、窓から寺原長男が押される場面を目撃する。彼の悩みは、過去に殺した人間の幻影が現れ、生活にも支障がでるようになっていることだ。
三人目は「蝉」。ナイフ使いの殺し屋で、鯨を殺すために雇われた。鯨に殺しを依頼した政治家が鯨を信用できなくなったためだ。蝉は岩西という男から仕事をもらっているが、この男をこころよく思っていない。令嬢が押し屋を捜していることを知り、押し屋を捜して名をあげようとたくらんでいる。
押し屋として疑われている者の名前は「槿」という。「むくげ」ではなく「あさがお」と読むのだそうだが、その正体がまた読者の想像を越えている。
個性あふれるキャラクターによって組み立てられたハードボイルド小説である。
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