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太陽の塔


【著者】 森見 登美彦 【装丁】 新潮文庫 237頁
【価格】 400円+税  【発行】 平成18年6月

京大生の生活記録である。
取り立てて珍しいことがあるわけではない。
モテナイ男子学生が、同級生にフラレタということである。それが面白いのだから、筆の力はあなどれない。
本書は日本ファンタジーノベル大賞を受賞している。
感想は箇条書きで・・・。
①知的ユーモアに富んでいて面白い。夏目漱石が現代に生きていたらかくありなん、といった趣である。
②筆者である“私”を含め、登場する男子学生は女性との付き合いに慣れておらず不器用。受験の弊害か?
③アパート住まいの学生生活の描写であり、経験したことのない者には身近に感じられないかもしれない。
④思うに京大あたりになると、女子学生はとびきり優秀に違いない。振り向くべき男子など、そうそういるものではないのかも。
⑤とは言うものの“私”だって京大生であることにかなりプライドを持っている。京都で「学生」といえば、「京大生」のことと聞いたことがある。
⑥京の町、とりわけ京大近辺が再三登場し、訪れたことのある者には懐かしい。叡山電車も登場する。
⑦著者の文才(語彙の豊富さも含めて)は認めると同時に、どんな些細なテーマでも小説になるものだな、と感心。
⑧時代は変わっても大抵の男は純情で、やっていることに大差はない。団塊世代の物差しと、目盛りは大して変わっていないのかも。





2011.10.25

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