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MOMENT


【著者】 本多 孝好   【装丁】 集英社文庫 330頁
【価格】 533円+税  【発行】 2005年9月

“僕”が清掃員のアルバイトをしている病院では、死の近づいた人の願いをひとつだけ叶えてくれる必殺仕事人がいる、という噂がある。僕がかつて一人の患者の願いをきいたため、こういう噂がたったらしい。
僕のもとへは、次々と患者たちの最後の願いが寄せられるようになった。
三枝老人は喉頭癌で余命いくばくもない。その願いは、戦地で亡くなった戦友の息子の様子を見てきてほしい、というものだ。
14歳の美子ちゃんの願いは、昨年、修学旅行で出会った大学生に、そのときいっしょに撮った写真を渡すこと。
そして、乳癌が再発して入院している上田さんは、医者の目を盗んで買い物に連れて行ってほしい、という。
悔恨、恋心、家族愛など、死を目前にした者にとって悲しみは癒えることがない。人は死を前にして何を思い、何を願うのか。
静かに胸を打つ物語の始まりだ。





2011.10.26

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