このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

1リットルの涙


【著者】 木藤 亜也     【装丁】 幻冬舎文庫 270頁
【価格】 533円+税    【発行】 平成17年2月

難病と闘い25歳で亡くなった亜也ちゃんの日記を、母親がまとめて一冊の本にした。日記は14歳から手が動かなくなる20歳までの間、ノート46冊に及ぶという。
亜也ちゃんの病気は「脊髄小脳変性症」というもので、小脳・脳幹・脊椎の神経細胞が変化し、ついに消えてしまう難病だ。現在の医学では治療手段がない。
病気のはじめは身体のふらつきだが、次第に歩行困難になり、発音があいまいになり、手の動きも意のままにならなくなる。症状はわずかずつだが確実に進行する。
亜也ちゃんは、志望する豊橋東高校へ合格した。しかし、歩行困難な彼女の行く手には幾多の難関が待ち受けている。階段の上り下りに時間がかかり、教室の移動にも友人の手助けが必要だ。食事にも極端に時間がかかる。甘えてはいけないと思っても、友人に頼らざるをえない毎日はつらい。
二年生になるとき、亜也ちゃんは養護学校へ転校することになった。養護学校へ移っても、亜也ちゃんは決して症状の軽いほうではない。電動車椅子の生活は一時生活空間を広げたが、手の硬直が進み、次第に操作が困難になる。
養護学校卒業時、同級生が「○○会社」や「職業訓練所」へ進むとき、亜也ちゃんの進路は「在宅」だ。次々とつらいことが続く。それでも亜也ちゃんは、たとえどんな小さな弱い力でも誰かの役に立ちたい、と思う。
日記を書き続けることだけを生きる支えとして、最後まで前向きに生き抜いた少女の言葉が読む者の胸を打つ。





2011.11.27

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