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8年


【著者】 堂場 瞬一    【装丁】 集英社文庫 349頁
【価格】 648円+税   【発行】 2004年1月

オリンピックで華々しい活躍をし、プロ入りを期待された投手・藤原雄大は、ある理由から野球を捨てた。
それから8年後、ニューヨークにフリーバーズという球団が設立された。オーナーは日本人だ。30歳を過ぎた藤原は、この球団への入団を志し、3Aのテストを受けて合格する。
オリンピックで打たれたメッツのヘルナンデスというバッターとの対決が夢である。シーズンが始まったが、新興のフリーバーズは既存チームに太刀打ちできない。そこへ藤原の出番が回ってきて、クローザーとしてメジャーへ昇格することになった。同期で若手のパワーヒッター、キャッチャーの常盤も弱点を克服してメジャー入りを果たす。
球団オーナーであるジャパン・ソフト社長・西山の横ヤリに悩まされながらも、チームはシーズン後半に向かって次第に持ち直し、成績をあげていく。
8年待ってやつと望みがかなうところまできた藤原と、妻・瑞希の心情との行き違い、追い求めたライバルの思いがけない姿など、歳月の流れの中で様々な問題を孕みながらも、物語はハッピーな結末に向かっていく。
ハラハラドキドキもよいが、どこか安心しながら読める本書のような作品も、心の薬ということができよう。





2012.1.6

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