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深紅

【著者】 野沢 尚      【装丁】 講談社文庫 454頁
【価格】 695円+税    【発行】 2003年12月

2001年の吉川英治文学新人賞受賞作品である。
小学校6年生の秋葉奏子は修学旅行先で深夜、担任の先生から呼び出され、阿佐ヶ谷の自宅へ帰るよう指示される。家族に大変な事態が起きたらしい。先生の付き添いでタクシーをとばす。着いたところは監察医務院という聞きなれない施設だ。
父母と弟ふたりが無残な姿で亡くなっていた。
一家4人を殺害した犯人は、都築則夫という。都築は奏子の父に騙され、追い詰められて犯行に及んだと訴えている。奏子は一人取り残された形になり、その後、八王子の叔母の家で生活することになった。
大学生になった奏子は東北沢で一人暮らしを始める。折りも折り、テレビのニュースで都築の死刑が確定したことを知る。いまでも心の傷は癒えていない。
奏子は犯人にも自分と同じ年頃の娘がいることを知り、手がかりをえて彼女に会う。もちろん、正体は伏せたままだ。
彼女は国家権力に父親を奪われようとしている。
奏子は自分の気持ちを整理するためにある企てをするのだが・・・。
事件の背景には被害者家族と加害者家族がいて、それぞれ重い荷物を背負うことになる。
この世には、法律では裁ききれないものが多くある。





2012.2.19

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