このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
【著者】 恩田 陸 【装丁】 角川文庫 383頁
【価格】 552円+税 【発行】 平成16年1月
毎日数十万人が利用する東京駅での連鎖人間模様といえば格調高いが、要は三谷幸喜風の喜劇である。
誰が主人公ということはない。
本を開くとまず巻頭に、登場人物27人とペット1匹の紹介がある。これらの人々とペットが東京駅の丸の内口と八重洲口を舞台にパフォーマンスを展開する。
関東生命八重洲支社では7月戦の契約受付最終日にあたるこの日、千葉からの契約書の到着を待っている。
関東劇場では子ども役のオーデションが行われ、多くの受験者に混じり、ライバルの母子2組も参加している。
つきあっている女性と別れようとしている男は、美人のいとこを連れて芝居をうつ。
俳句仲間と会うために茨城から上京してきた老人もいれば、大学のミステリーサークルのメンバーもいる。
そんななか、過激派「まだらの紐」の一人が爆弾試作品を入れた「どらや」の紙袋を、ほかの人の袋と取り違えたため騒ぎが大きくなった。
主人公の多さには圧倒されるが、読者の頭の中は以外と整理された状態で読み進めることができる。
作者の力と工夫の賜物だろうか。
肩がこらずに読めるエンターテイメントである。
2012.3.3
このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |