このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

栄光一途

【著者】 雫井 修介     【装丁】 幻灯舎文庫 494頁
【価格】 686円+税    【発行】 平成14年4月

著者のデビュー作で、第4回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞した長編小説である。オリンピックのたびに問題になるドーピングをテーマにしている。
ヒロイン望月篠子は、全日本柔道連盟の若き女子コーチ。世界選手権で金メダルをとりながら、五輪を目前に負傷、リハビリの甲斐なく現役を引退した経験を持つ。海外留学から帰ったばかりの篠子は、ある日全柔連の幹部から呼び出され、極秘裏にドーピング疑惑の調査を行うよう命じられる。
薬物疑惑の嫌疑をかけられているのは、男子81キロ級の五輪代表を争う二人のライバル選手。アキレス腱の負傷から驚異的な回復を果たし、柔道一筋風格を漂わせる吉住新二と、スピードとセンスに秀でた万能選手タイプで、最近メキメキと頭角を現わしている杉園信司。対照的な性格の二人のシンジのいずれがクロなのか?日本柔道界のクリーンなイメージを守るため、国際柔道連盟の抜き打ち検査の結果が出る前に、ドーピング選手を突き止めなければならない。タイムリミットは3週間。
曲がったことが嫌いな篠子は、スポーツ科学に詳しい友人・佐々木深紅と女子学生の堀内絵津子、それに自らの教え子で五輪代表候補の角田志織に協力を求め、素人探偵団を結成する。
ちょうどその頃、夜の街では柔道の使い手による不可解な通り魔事件が頻発していた・・・。
スポーツ界は理屈ではない。強い者が勝ち、勝った者が讃えられる。そのためにあらゆる手段が講じられる。ドーピングも、その一つとしてなかなか絶えることがない。
目をそらすことのできないテーマである。




2012.6.5

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