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笑う警官

【著者】 佐々木 譲    【装丁】 ハルキ文庫448頁
【価格】 686円+税    【発行】 2007年5月

札幌市内のマンションの一室で女性の他殺体が発見された。その部屋は警察が借り上げている秘密アジトで、しかも被害者は道警本部の婦人警官水村朝美巡査だった。
ところが初動捜査にあたった大通署強行犯係の町田警部補がその事実を本部へ報告したところ所轄署は捜査から外され、道警本部が直接捜査するという異例の事態になっていく。
そして水村と付き合っていた銃器対策課の刑事、津久井巡査部長が犯人と断定された。拳銃を所持した危険な覚醒剤中毒患者であるという発表がなされ、射殺命令が下されたのだ。
大通署の盗犯係の佐伯宏一警部補は、道警本部の発表を信じない。かつて二人は人身売買組織摘発のためにおとり捜査に取り組んだ仲だった。佐伯は犯罪組織の人間に疑われ殺されそうになったが、津久井の機転で救われたことがあったのだ。
津久井を信じる佐伯は、部下の植村と新宮、そして大通署の婦警小島百合、事件を外された町田警部補ら有志を募り、秘かに私的捜査隊を結成し、津久井の無実を証明しようと動きだす。
佐伯は、翌日に迫った道議会の百条委員会で、津久井が警察の腐敗問題を証言する秘密証人に選ばれていることを知る。津久井は銃器対策室で実績をあげながら、拳銃と覚醒剤を所持していて逮捕され、自ら命を絶った郡司警部の部下だった。
津久井を犯人に仕立て上げる背景には、道警の恐るべきたくらみが隠されていた。
実際の警察組織を相手に、怯むことのない、作者の気迫に圧倒される一冊である。






2012.8.29

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