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アイルランドの薔薇


【著者】石持 浅海 【装丁】光文社文庫 306頁
【価格】552円+税 【発行】平成2004年9月



作者の処女長編小説である。
南北アイルランドの統一を標榜する武装勢力NCFの副議長が、スライゴーのホテル「レイクサイド・ハウス」で殺害された。
殺されたダグは、NCFの中でも和平反対の立場をとっていた。ダグを放置しておくと、和平妨害工作をしかねない。このため党首のミッキーは彼を殺害すべく、密かに刺客を放っていた。
ところが、ホテルでの殺され方は、刺客のやり方とは異なっている。その殺し屋は事故や自殺に見せかけて殺すのが特技で、殺人と分かるような殺し方はしない。ダグに同行していたNCF参謀長のトムは、犯人探しのため、その日、ホテルに泊まっていた客全員を足止めし、調査する。
対象者は10人。アイルランド人科学者、日本人科学者、アイルランド人会計士、アメリカ人女子大生2人、オーストラリア人ビジネスマン、NCFの2人、それに宿の女主人とコックだ。
本書はフィクションとの断りがあるが、いやでもアイルランドの歴史に興味をもたされてしまう。殺人事件を扱いながらファンタジックな側面も持ち合わせている一冊だ。

2012.9.9

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